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第4話(3)

攻撃(3)

 日本軍のコロンバンガラ島への増援、「東京急行」を阻止するため、連合軍は駆逐艦隊をベラ湾に配備していた。これに少しでも打撃を与えて、輸送作戦をスムーズに進めようと魚雷艇隊による攻撃命令が出されたのだ。

 6隻が出動した。2つの艇隊に別れ、1つの艇隊が湾を横切りながら、索敵をおこなう。同時に、他の艇隊が1キロ北を反対方向から横切る。敵と接触したら、即、攻撃行動に移る。その隊がおとりになって敵の注意を引き付けている間に、もう一方の隊が肉薄して、魚雷攻撃を行う、という作戦だ。

 403号艇は暗い海面を進んだ。トットットットッというエンジン音がやけに大きく聞こえる。湾を何回か横切った。

 「右前方40度に艦影!」その大きさから、敵の駆逐艦隊だ。
「前進一杯!」
エンジンの轟音と共に、船体が浮き上がる。
間髪をいれず、敵艦から次々と照明弾が打ち出される。
前を行く魚雷艇のグレーの姿がほんのりと照らし出された。

 敵艦から多数の閃光がきらめき、空気を切り裂く、神経を逆なでするような鋭い摩擦音が迫ってきた。と、思う間もなく、前方海上にドカ、ドカ、ドカッと砲弾が爆発し、大きな水柱がいくつも壁のように立ちはだかった。

 各艇は水柱が崩れて波立つ海面を突っ走る。
敵艦に1キロ程近づいたところで、各艇が順次、魚雷発射の動作をして、左旋回する。
敵艦は幻の魚雷を避けるため、左舷よりに方向を変えた。

     
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