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第2話(6)

初陣(6)

 10月13日、連合軍はヴォルトゥルノ川渡河作戦を開始する。
第100大隊は予備となり、後方に待機した。

 夜中、激しい砲撃音と地響きに起こされる。皆、テントから這い出し、川の方向を見る。
川向こう一帯が爆発と炎に包まれ、オレンジ色に輝いている。

 その内、砲弾の爆発が味方のいる川岸にも起こり、青白い機関銃の曳光弾が飛びかう。
信号弾が上がる。金、緑、赤。
見ている分にはきれいだ。しかし、その下では-------。

 渡河した部隊は橋頭堡を確保したものの、地雷と泥で戦車を渡河させることができず、苦戦を強いられた。昼ごろ、ようやく工兵が河岸を整備し、戦車を渡すことができた。

 第100大隊は2度目のヴォルトゥルノ川渡河作戦に加わった。
ドイツ軍は1度目の渡河の時のような抵抗をせず、後退した。

 ゴトーらは、破壊された町に入った。
突然、くずれた建物から人々が出てきた。
「ビーバ! ビーバ!」
年寄りや子供たちが両手を挙げ、歓迎してくれる。
神父がお祈りを始めた。
皆、ひどくやつれ、よごれている。

 タンッ、タンッ
皆、クモの子を散らすように逃げ去る。
「敗残兵だ!」

 道の両側の壁にへばりつき、敵の姿をさがす。
分隊員の1人が動いたとき、バシッと銃弾が壁をえぐる。

 「あそこだ!」
町の真中にある教会の塔に閃光が走った。

 慎重に塔を包囲した。
擲弾筒手のスズキがライフル・グレネードを撃ち込み、かたづけた。
塔に上がって確認すると、敗残兵ではなく、ドイツ軍に協力していたファシストだった。

     
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