3隻の八幡船に荷を積み込み、平戸を出帆する。
五島で唐人達を乗せる。
月代をそり、髭面で足軽具足をつけ、大和男の格好をしている。
北東風の乗り、中国沿岸の舟山群島を目指す。
船首には“八幡大菩薩”の白旗が風にはためいている。
船は東シナ海の大きなうねりの中を進む。
隼人達は、たちまち船酔いに苦しめられた。
「足を踏ん張り、遠くを見るんだ。すぐに馴れる。」
4,5日で多くの島影が見えてきた。
島影に隠れ停泊し、荷集めの商人達を降ろす。
一週間ほどして、密貿易の段取りが付いた。
夜、隼人達の乗った船は、海賊や明の軍船の襲撃に備えた。
荷をのせた小舟が慌ただしく行き交っているとき、“警戒”の火矢が上がった。
島影から黒い大型船が現れ、近づいてくる。
「明の軍船だ!戦闘用意!」
軍船の脇腹から閃光が光り、大砲の弾丸が降ってきた。
敵船に接舷し、切り込もうとするが、敵船は近づかず、砲撃してくる。
こちらの火矢も届かない。
「ダメダ、撤退ダ!」
隼人達の船は荷を積んだ小舟を見捨て、遁走した。
参考図:ジャンク(船)-Wikipedia
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