かなぶち鍼灸調体堂の「先ずは只管打歩」なほぼ毎日譚

基盤を追求すると、ついに「歩く」迄遡ってきました。

C型肝炎とサプリメント

2013年05月20日 | 米国補完代替医療研究センター公開文書
米国補完代替医療研究センターのニュースレターから転載します。原文(英語)はこちら

結論は「効くものは無い」です。溺れそうだからといって、藁を高値掴みしませんように。
第一、本当に効くんだったらサプリメントでなく、医薬品の認証を取得していますしね。

いつもいつも書きますが、こんなネタまで取り上げるところにアメリカの豊かさを感じます。

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C型肝炎とサプリメント

 C型肝炎(伝染性の肝臓病)はC型肝炎ウィルスが引き起こす病気である。既にC型肝炎に感染した人との間における血液感染が主で、稀に性的接触により感染する。感染した場合、通常は慢性化する。慢性C型肝炎の治療は、ウィルスの排除を目的とした薬物療法が主となる。それによって肝臓に対するダメージの進行が抑制される/停止する可能性があるが、同時に副作用が発生する例もあるし、中には薬物療法が無効な例も見られる。

 C型肝炎患者の中には補完代替医療を試みる者もおり、その多くはサプリメントの摂取を試みている。C型肝炎に対するサプリメントの効果を調べた研究は複数見られるし、かなりの人数のC型肝炎患者がサプリメントを試している。例えば、C型肝炎が原因である肝硬変の長期治療を受けている患者1,145名を対象とした調査(米国国立衛生研究所が支援)では、23%がサプリメントを服用していた。サプリメントの種類は様々であったが、最も普遍的に服用されていたのはシリマリン(マリアアザミからの抽出物)であった。但し、いずれのサプリメントも、C型肝炎に対する有効性は認められなかった。

 本文書では、マリアアザミ抽出物を始めとする様々なサプリメントについて、C型肝炎を対象に有効性と安全性に関する科学的事実に基づく情報を提供する。

マリアアザミ
 マリアアザミ(学名Silybum marianum)はキク科の植物である。シリマリン(Silymarin)はマリアアザミ抽出物に含まれる主要活性成分である。マリアアザミは16世紀以降のヨーロッパにおいて、肝臓障害/黄疸の治療に用いられている。アメリカ合衆国においても、シリマリンは肝臓障害を患う人が摂取するサプリメントの内、最も普遍的なものである。

●科学的証拠の確からしさ
 殆ど全ての研究結果では、C型肝炎に対するマリアアザミの有効性は認められなかった。

●研究結果について
・米国国立補完代替医療センター(NCCAM)と米国国立糖尿病/消化器病/腎臓病研究所(NIDDK)が資金提供した臨床試験(2012年実施)では、シリマリンの投与量を通常の2倍にしても、肝臓の損傷程度の指標となる酵素の血液中の濃度(肝臓が損傷していると高い)は対照群(プラシーボ)と差が見られなかった。具体的には、慢性C型肝炎に対する通常の抗ウィルス薬治療が有効でなかった154名を被験者とし、ランダムに
・シリマリンを700mg/回投与
・シリマリンを420mg/回投与
・プラシーボを投与
の3グループに分け、24週間に渡って3回/日投与した。臨床試験が終了した時点で、酵素の血中濃度を測定したが、グループ間で有意差は見られなかった。

・C型肝炎が原因である肝硬変の長期治療を受けている患者を対象とした調査の結果では、シリマリンの摂取によって症状が若干改善した/生活の質がいくらか向上したことが示唆されているが、同時に肝炎の症状/ウィルスの活性には変化が見られないことも報告されている。この調査を担当した研究者達は、この調査が遡及的研究(レトロスペクティブ研究)であることを強調している。なお、2012年に実施された上記の研究では、シリマリンの摂取によって患者の生活の質が向上したという結果は追認されていない。

・2009年に実施されたコクラン系統的レビューでは、アルコール摂取による肝臓病/B及びC型肝炎の患者を対象として、マリアアザミの有効性/有害性を評価しているが、それによると、マリアアザミの摂取を強力に支持する証拠は存在しないと結論づけている。

●安全性について
・肝臓病患者を対象とした臨床試験の結果からは、マリアアザミの摂取は一般的に問題無い事が示唆されている。

・副作用としては、緩下効果/吐き気/下痢/腹部膨満感及び痛み/場合によってはアレルギー反応が見られる。

・2010年に実施された、C型肝炎患者を対象としたシリマリンの研究(米国国立衛生研究所が資金提供)によると、副作用の発生頻度は、シリマリン摂取群/プラシーボ摂取群の間で差は見られなかった。しかしながら、この研究は規模が小さく、慢性C型肝炎患者を対象にシリマリンの摂取が安全であることを保証するものではない。

その他のサプリメント
 その他のサプリメントについても、C型肝炎との関係が調べられている。しかし結果としては、その有効性が明確に証明されたものはない。

プロビオティクス
 プロビオティクスとは、摂取することで健康上何らかの利益をもたらしうる微生物のことである。

●科学的証拠の確からしさ
 C型肝炎に対するプロビオティクスの効果について試験した研究例はごく僅かである。

●研究結果について
 プロビオティクスがC型肝炎患者にとって有益であるという明確な証拠は報告されていない。

●安全性について
 プロビオティクスの摂取による副作用は殆ど見られない。しかし、健康上何らかの重大な問題を抱えている人がプロビオティクスを摂取した場合、重大な副作用が発生したとする報告が複数発表されている。

亜鉛

●科学的証拠の確からしさ
 予備実験(その大半はアメリカ合衆国以外で実施)のレベルで、C型肝炎に対する亜鉛の効果を調べた研究が複数報告されている。

●研究結果について
・亜鉛を摂取することにより、C型肝炎に伴う亜鉛欠乏症などの症状が改善/低減する可能性が考えられるが、その可能性を支持する報告例は少ない。

・(ラクトフェリン+亜鉛)の組み合わせによる、C型肝炎の治療効果を調べた研究例が複数報告されている。それらからは、何らかの効果/安全性を結論づけるだけの証拠は得られなかった。

●安全性について
 適正な摂取量を守っている限り、亜鉛の摂取は一般的に安全と考えられている。但し、過剰摂取は有害となる。

グリシルリジン(もしくはグリシルリジン酸)
 グリシルリジンは甘草の根に含まれる化合物である。
 
●科学的証拠の確からしさ
 グリシルリジンをC型肝炎患者に投与した臨床試験例はほんの僅かしか無い。

●研究結果について
 現時点では、グリシルリジンがC型肝炎に対して有効であるとするに充分な証拠は無い。

●安全性について
 高血圧/腎臓障害/循環器病を患った経験のある人がグリシルリジン/甘草を大量に摂取するのは危険な場合がある。

銀コロイド
 銀コロイドとは、銀の微粒子が懸濁した液体のことである。銀コロイドは様々な病気(C型肝炎を含む)の治療効果があると宣伝されている。

●科学的証拠の確からしさ
 銀コロイドの治療効果を裏付ける科学的証拠は存在しない。そして、その服用による重大かつ不可逆的な副作用が報告されている。

●研究結果について
 現時点では、C型肝炎に対する銀コロイドの使用を支持する研究結果は報告されていない。

●安全性について
 銀コロイドは重大な副作用を引き起こすことで知られている。具体的には、銀沈着症と呼ばれる、皮膚に不可逆的な(≒永久的な)青みがかった変色をもたらす症状を引き起こす。

 
 

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