断食の効果

2015年07月19日 | 食事
・・・ってネタをNIH(米国国立衛生研究所)が取り上げているってのが凄いなと思います。
生物って、生死に関わらない程度にそこそこ苛める(=ストレスを加える)のが成長の鍵です。


米国国立衛生研究所 Reserch Matters(2015年7月13日付)
断食を模した食生活が健康に及ぼす影響
(原文:http://www.nih.gov/researchmatters/july2015/07132015fasting.htm)

【摘要】
・断食を模した低カロリー食を周期的に実践することにより、代謝/免疫を始めとする諸機能が改善すること
 が、マウスを対象とした実験で確かめられた。
・人間に同様の食事を5日間/月摂取させるという予備実験でも、同様の効果が確かめられた。
・断食を模した低カロリー食のメカニズムを解明する為には、更なる研究が必要である。

【本文】
 すでに多くの動物実験を通じ、食事制限に健康上の様々な利点があることは明らかにされている。断食(食品は摂取しないが、水分は摂取する)は、究極の食事制限である。これまでの動物実験/臨床試験を通じ、定期的/周期的に断食をすることで代謝/免疫機能が向上する可能性が示されている。しかしながら、2日間以上の断食は多くの人にとっては困難なことであり、何らかの副作用が現れる可能性もある。

 Valter Longo博士(南カリフォルニア大学所属)を代表とする研究グループは、断食の効果を模すると同時にその危険性/困難さを最小限とする食事方法の効果を研究した。当研究に対しては、米国国立衛生研究所傘下の国立加齢研究所(National Institute on Aging, 略称NIA)が資金を提供し、結果はCell Metabolism誌(2015年7月7日付)で発表された。

 研究グループはまず最初に、酵母(単細胞生物)を材料として、長期間の周期的断食を試験した。栄養豊富な培地での培養→水中での培養を複数回/周期的に繰り返した酵母は、
・生存期間の延長
・毒物を含む培地で培養した場合の生存能力の向上(=ストレス耐性の向上)
といった特徴を示した。

 次に研究グループはマウスを対象とし、超低カロリー&低タンパク質食の効果を調査した。具体的には、長寿/代謝能力の向上を含む、断食の好影響を模するように実験食を作成し、試験区のマウス(出生から16ヶ月、人間では中年期に相当)に「実験食を4日間連続摂取→制限の無い食事を10日間摂取」というサイクルを実践させた。なお、対照区のマウスでは食事を制限しなかった。制限の無い食事を摂取する期間に於いてマウスは過食していたので、14日間の摂取エネルギー量の合計では、試験区/対照区(実験食の摂取無し)で差は見られなかった。

 試験区のマウスは、実験食を2サイクル/月×数ヶ月間摂取することになったが、その結果、対照区のマウスと比較して代謝に関し様々な変化が見られた。具体的には、
・血中グルコース濃度の低下
・インスリンレベルの低下
等である。なお、これらの変化は全て、制限の無い食事を摂取する期間に元のレベルに戻った。また、試験区のマウスでは出生から28ヶ月の時点で、内臓脂肪量が減少した。更に試験区のマウスでは、骨密度が増大すると共に、脳における神経細胞の発達が促進していた。自然死した後にマウスを解剖すると、試験区のマウスでは腫瘍/皮膚病変の発生率が(対照区のマウスと比較して)低かった。

 次に研究グループは予備的な臨床試験を実施した。健康な成人38名を被験者(試験区/対照区各19名)とし、野菜を主体とした実験食(通常の食事に比べエネルギー量は34~54%、構成比は炭水化物34~47%/タンパク質9~10%/脂質44~56%)を摂取させた。試験区の被験者は実験食を5日間/月摂取する(月の残りの日数は通常食を摂取)ことを3ヶ月間(=3サイクル)繰り返した。なお、対照区の被験者は通常食のみを摂取した。

 実験食を摂取した試験区の被験者では、対照区の被験者に比べて
・血糖値が改善した
・体重が減少した
という結果が見られた。また、臨床試験開始前の時点でC反応性タンパク質レベル(心臓疾患リスクのマーカー)が高かった被験者ではレベルが低下した(もともと正常値だった被験者では変化しなかった)。実験食の摂取に伴う副作用の報告例は少なかったが、疲労感/虚弱感/頭痛などが報告された。

 上記の食事法が長期的に人体に及ぼす影響を知る為には、及びいつ/どのように実践すれば適切なのかに関する情報を得るには、更なる研究が必要と考えられる。


土曜日はLSD/タンパク質を摂る必然性は無いかも・・・

2015年05月30日 | 食事
歳を取ると季節が進むに連れ、朝は早く目が覚めます。
ま、4日連続真夏日(予)の大阪市、出来るだけ早い内にラントレーニングをこなしておくのが得策です。

【今朝の体組成】(5日間移動平均値)
除脂肪体重:56.93kg(前日比△0.24kg)
体脂肪  : 4.71kg(前日比▼0.01kg)
------------------------------
体重   :61.64kg(前日比△0.23kg)
体脂肪率 : 7.6%(前日比▼0.1%)

良い太り方です♪。

【今日の昼稽古】
内容 :LSDペース(HR=最大心拍数の70~79%キープ)で12マイル走
コース:

走行時間   :1時間43分57秒
走行距離   :19.3km(月間累計:289.4km)
消費エネルギー:948kcal(月間累計:14,582kcal)

※※※※※※※※※※※※※※※※
昨日の続きです。
基礎から学ぶ!スポーツ栄養学」(鈴木志保子著、ベースボール・マガジン社)によると、持久力系競技(自転車ロードレース、陸上長距離など)を嗜むアスリートは、一日当り体重1kgに付き
炭水化物 :8g
タンパク質:1.2~1.4g

摂るのを目安とすべし、だそうです。
これを吾輩(体重約60kg)に当て嵌めると、一日に
炭水化物 :480g
タンパク質:72~84g
を摂ることになります。

仮に炭水化物を4食(朝食/昼食/夕食/間食)に分けて摂る=120g/食摂取するとし、それぞれを
朝食:食パン
昼食:そば
夕食:精白米
間食:芋類若しくは果物
とすれば、付随的に摂取するタンパク質の量を昨日掲載したタンパク質/炭水化物比から計算すると

朝食:0.199×120=23.9g
昼食:0.210×120=25.2g
夕食:0.079×120=9.5g
間食:(芋類/果実類なら、タンパク質は無視して構わない量です)

となり、合計は58.6gとなります。
なので、肉類/魚類などのタンパク質食品から摂るべきタンパク質の量は
72~84gー58.6g=13.4~25.4g
となります。
このタンパク質量を実際の食品に当て嵌めると
牛もも     :68~128g
豚もも     :62~118g
鶏もも     :83~156g
鶏ささみ    :58~110g
鶏卵(茹で)  :103~196g
牛乳      :406~770g
まぐろ(赤身) :51~96g
さば(水煮缶詰):64~121g
いわし(煮干し):20~39g
豆腐(木綿)  :203~384g
となります。

つまり、持久力系競技を嗜むアスリートの場合、穀類をしっかり食べれば、タンパク質食品は「ちょっとつまめ」ば充分ではないか、と思うのです。
例えば、それぞれ一日に
・牛乳コップ一杯(200ml)+茹で卵(M玉)1~2個
・さば水煮缶詰(190g)の1/3~1/2缶
・鶏ささみ(約40g/本)を1~3本
・豆腐(木綿)(約340g/丁)を1/2~1丁
を食べればOKになります。
仮に間食でも穀類を摂れば、タンパク質食品を摂る必要性はますます減ります。

どの穀類を摂るかは個人差がありますが、「穀類は精白米のみ食べる」という人以外は、少なくとも積極的にタンパク質食品を摂る必要性は薄いと考えます。
(ただし、必須アミノ酸の摂取を考慮すれば、若干でもタンパク質食品は摂る必要は有ります)

ということで、今日の結論は「持久力系競技を嗜むアスリートは、タンパク質はちょっとつまめばOK」としておきます。

結構刺激的でしたでしょうか?。



穀類のタンパク質/炭水化物比

2015年05月29日 | 食事
今日はラントレーニング休み日です。明日から再開です。

【今朝の体組成】(5日間移動平均値)
除脂肪体重:56.69kg(前日比△0.01kg)
体脂肪  : 4.72kg(前日比△0.02kg)
------------------------------
体重   :61.41kg(前日比△0.03kg)
体脂肪率 : 7.7%(前日比変化なし)

気持ち悪い?位、安定してます。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
休みの日で時間がちょっと空いたので、標記の件について考えてみました。

炭水化物は基本的に穀類から摂りますが、穀類には炭水化物だけでなくタンパク質も含まれています。

では、その割合はどれ位なのか?と気になったので、代表的な(と吾輩が思う)穀類食品について、そのタンパク質/炭水化物比の値を調べてみました。データは五訂食品成分表から計算しました。

で、結果を、タンパク質/炭水化物比が高い順に並べてみました。

そば(乾)    :0.210
食パン      :0.199
オートミール   :0.198
強力粉(全粒粉) :0.188
そば(茹で)   :0.185
スパゲッティ   :0.180
強力粉      :0.163
うどん(茹で、乾):0.120
玄米       :0.092
精白米      :0.079

洋食系の穀類が上位を占める中、そばが大健闘していました。
逆に、米の数値が低いのも注目です。

明日は、一日に摂るタンパク質食品の量について考えてみます。

メリハリを付けて走る/「朝食抜き」が運動能力に及ぼす影響について

2015年05月22日 | 食事
そろそろ、ラントレーニングについても、その内容にメリハリを付けようかと思い立ちました。
ということで、今日は軽くJogで。

【今朝の体組成】(5日間移動平均値)
除脂肪体重:57.12kg(前日比▼0.02kg)
体脂肪  : 4.22kg(前日比▼0.32kg)
----------------------------------------
体重   :61.34kg(前日比▼0.34kg)
体脂肪率 : 6.9%(前日比▼0.5%)

【今朝の昼稽古】
内容 :軽くJog。
コース:

走行時間   :1時間0分42秒
走行距離   :11.0km(月間累計:198.5km)
消費エネルギー:557kcal(月間累計:9,947kcal)

明日は乳酸閾値ラン@大阪城公園×1周の予定です。
(ここで明言しておけば、よもやサボる訳にもいくまい・・・、です)

【今日の補強運動】
懸垂         :14
クランチ       :60
ペダリング      :20回☓3
バックエクステンション:20回☓3
四股         :100

肩甲骨~背骨~骨盤周囲の安定性強化を目標とします。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
標記の件、”Sweat Science"からの転載です。
やっぱり朝食は大切です。しっかり炭水化物を摂りたいです。


「朝食抜き」が運動能力に及ぼす影響について
by Alex Hutchinson
Published May 21, 2015 on "Sweat Science"


 「一日の食事の内でも、朝食が一番大切である」と良く言われている。筆者もその通りだと思う。朝食抜きの一日なんて想像出来ない。しかし、話はもっと複雑なようだ。朝食を摂るのが習慣である人達は痩せている傾向にある、ということは多くの研究を通じて立証されている。しかしこのことは必ずしも、朝食を摂ると痩せられるというのを意味しない。実際、朝食を摂らないと一日当りの総摂取エネルギー量は少なくなることが多くの研究を通じて明らかとなっている(ただ、その結果として、一日の活動量も低下する→消費エネルギー量も少なくなる可能性は考えられる)。

 では、朝食を摂取することが運動能力に及ぼす影響についてはどうだろうか?。朝食を摂らなければ、午前中の運動能力が低下することは明白である。というのも、脳を始めとする身体中の各器官は睡眠中に炭水化物を燃焼してエネルギーを獲得→消費しているので、朝食を摂って炭水化物を再補充しなければ、炭水化物が枯渇した状態で運動しなければならないからだ。

 ラフボロー大学(英国、Loughborough Univ)の研究グループが"Medicine & Science in Sports & Exercise"誌で発表した実験結果は、上記の問いに対する答えになるかもしれない。実験では、朝食摂取の有無で被験者を試験群/対照群に分け、17時に被験者に運動試験(エアロバイクを用いて一定強度の運動を30分間→30分間のタイムトライアル)をさせた。なお、昼食は自由に摂取させた(朝食を摂らなかった群の被験者は、朝食を摂った群の被験者に比べ平均して200kcal多く摂取していた)が、それでは朝食摂取の有無に因る差を埋めるには至っていなかった。で、運動試験の成績であるが、朝食を摂らなかった群は、朝食を摂った群に比べ約4.5%劣っていた

 一つ注意しておきたいのは、被験者は全て、普段は朝食を摂取する習慣があるという点である。なので、普段は朝食を摂取しない習慣の人が同じ試験をすると、結果が異なる可能性は考えられる。ただ、その点を差し引いても、朝食摂取の有無が運動能力に及ぼす影響は大きいと思われる。恐らく、朝食を摂取しなかった場合、その後の昼食のみで炭水化物の枯渇分を埋めるのは難しいのであろう。減量に関しては、朝食抜きの効果はよく分かっていない。しかし運動能力に関しては、朝食は欠かす訳にはいかないだろう。

炭水化物が枯渇した状態でのトレーニングの効果

2015年05月18日 | 食事
走る際には、ビルの窓ガラスに映る自分の姿を見て、フォームを確認します。
注意しないと、電信柱にぶつかりそうになります。

【今朝の体組成】(5日間移動平均値)
除脂肪体重:56.28kg(前日比▼0.03kg)
体脂肪  : 4.35kg(前日比△0.28kg)
----------------------------------------
体重   :60.63kg(前日比△0.25kg)
体脂肪率 :  7.2%(前日比△0.5%)

【今日の昼稽古】
内容 :LSDペース走
コース:

走行時間   :1時間22分58秒
走行距離   :15.9km(月間累計:187.5km)
消費エネルギー:778kcal(月間累計:9,390kcal)
四天王寺さんへ通うのは、もう日課です。

【今日の補強運動】
懸垂         :14
クランチ       :80回/20
ジャンピングスクワット:50

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
標記の件、”Sweat Science"からの転載です。
興味深くて応用出来そうな内容です。

炭水化物が枯渇した状態でのトレーニングについて
by Alex Hutchinson
Published May 16, 2015 on "SWEAT SCIENCE"


 いわゆる”Train low, Race high"というフレーズについては、ここ数年間議論の的である。このフレーズは、炭水化物が枯渇した状態でトレーニングを行うと、身体が脂肪をエネルギー源としてより効率良く利用出来るようになり、その上でレースに臨む際に炭水化物をきちんと摂取しておけば、炭水化物/脂肪を両方共臨機応変に代謝してエネルギー源として利用出来る、ということを表現している。
(ここで指摘すべきことがある。それは、”Train low"とは、慢性的に炭水化物摂取量が少ない食生活を営む事ではない、ということである。”Train low"とは、週に数回、特定のトレーニングを低炭水化物状態で行う事を意味する)

 ”Train low”に関する実験結果は様々である。初期の実験では、それが運動能力を増強するという結果が報告された。しかし、その実験方法は極めて特殊な条件であった。その後に行われた実験の結果からは、”Train low”はエネルギー代謝に好影響を及ぼし得るが、その好影響が実際の運動能力には反映されないことが示された。一方、”Train low”によって免疫力が低下すること、及び筋肉のタンパク質が分解される(訳者注:恐らくエネルギー源として消費されると思われます)というデメリットが指摘された。結果、現在でも”Train low"の効果については、明確な結論は打ち出されていない。

 Martin Gibala(McMaster大学)らの研究グループによる実験結果(”Manipulating Carbohydrate Availability Between Twice-Daily Sessions of High-intensity Interval Training Over Two Weeks Improves Time-trial Performance.International." Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2015 Mar 26)は興味深い結果を提示している。実験方法は以下の通り。

被験者 :18名(これを試験群/対照群に分ける)
実験方法:(最大パワーの60%で4分間サイクリング+2分間休憩)×5反復と
     いう運動を、2回/日×3回/週×2週間させる。2回/日の運動の
     合間は3時間とし、その間に試験群には炭水化物を17g摂取させ、
     対照群には炭水化物を195g摂取させた。

 実験開始から2週間後、被験者に20分間のタイムトライアルをさせたところ、試験群ではその成績が16%向上した一方、対照群では8%向上した。この結果は、”Train low"によって全身運動の能力が向上することを初めて示すものである。興味深いことに、短時間のダッシュを繰り返す反復スプリントの成績は、試験群/対照群で有意差は見られなかった。従って、”Train low"は持久力の向上に特に有効である可能性が示唆された。

 また、予想とは異なり、筋肉中のミトコンドリア含有量(多い程持久力にとっては有利)でも違いは見られなかった。では、今回の実験結果はどう解釈すべきであろうか?。最初に思いつくのは、何らかの結論を導き出すのは難しい、ということである。例えば、運動強度が固定されている点である。被験者が試験中に覚える感覚に関係無く、運動強度は最大パワーの60%で固定されている。従って、試験群にとっては対照群に比べ運動がよりキツく感じられ、その結果としてトレーニングに因る刺激はより大きいと推測される。実験の報告者らも、「結果として、試験群はタイムトライアルでより”頑張る”準備が出来ていた可能性は考えられる」と記している。

 別の見方をすれば、試験期間が2週間と比較的短い点も重要と思われる。免疫力の低下を考慮すれば、長期間に渡って”Train low"を継続するのは、運動能力の向上というメリットより様々なデメリットの方が大きい危険性が懸念される。また、今回の被験者はホビーとして運動に取り組む人達であり、トレーニング歴の長いアスリートではなかった。ホビーとして運動に取り組む人の方がトレーニングに因る運動能力の向上程度が大きい点については、論文の執筆者らも考慮している。

 では結局、今回の結果はどう解釈すればいいのだろうか?。”Train low"の有効性及びその理由については、解明すべき課題が多く残されている。しかし、”Train low"の期間を短く限定すれば、その効果についてはある程度期待出来ると思われる。そこで、2週間の”Train low"の期間を、レース前のどのタイミングに設定すべきなのだろうか、という疑問が生じる。

オーバートレーニング状態から脱する為の食事方法

2015年05月17日 | 食事
昨日は午前中だったので、ラントレーニングはお休み。今日は一転して絶好のランニング日和だったので、当然!走ってきました。

【今朝の体組成】(5日間移動平均値)
(データを家に置いて来てしまったので、割愛させて下さい)

【今日の昼稽古】
内容 :LSDペース走
コース:

走行時間   :1時間38分15秒
走行距離   :18.4km(月間累計:171.6km)
消費エネルギー:983kcal(月間累計:8,612kcal)

【今日の補強運動】
懸垂         :12
ジャンピングスクワット:50
クランチ       :70回/30回   

※※※※※※※※※※※※※※※※
標記の件、”Competitor Running"誌からの転載です。
日本人なら、魚と緑黄色野菜と大豆をしっかり摂ることです。
吉野家のベジ丼なんか良さそうです。

オーバートレーニング状態から脱する為の食事方法
by Jeff Gaudette
Published Feb. 27, 2014 on "Competitor Running"


 ランニングに真剣に取り組んでいるランナーは、トレーニングをやり過ぎる危険性とは常に隣り合わせである。コーチが身体の状態をチェックしているエリートランナーであっても、時としてトレーニングをやり過ぎるという罠に陥り、心身を限界を超えるレベル迄追い込むことがある。

 全てのランナーにとって、トレーニング量と完璧な回復のバランスを最適に保つというのは、困難な探求の対象である。現実は、最適なトレーニングという綱渡りで足を踏み外し、オーバートレーニング状態に陥るランナーが多い。

 オーバートレーニング状態に陥るのを恐れるのであれば、トレーニングを手控えるというのは唯一の解決策ではないし、そうしたからといって事態が改善されるという保証もない。トレーニングの前後(特に後)に摂取する食物の量と質次第で回復過程は促進され得る。以下に、オーバートレーニング状態から抜け出るのに単純ではあるが有効な食事方法を3つ紹介する。

1:とにかくエネルギー摂取量を増やす
 ランナーが疲れた(最悪、オーバートレーニング状態に陥った)場合に、最初に見直すべきはエネルギー摂取量である。大抵の場合、日常生活+ラントレーニングで必要となるエネルギー量が摂取出来ていないランナーが殆どである。摂取エネルギー量が少ないということは、筋肉が適切に回復するのに必要なエネルギー&栄養素がきちんと摂取出来ていないことを意味する。
 通常、エネルギー摂取量が少ない理由は減量若しくは健康状態の維持が目的である。しかし、減量と高強度のトレーニングは本来、その目的は真逆である。つまり、減量の為には摂取エネルギー量を制限する必要がある一方、高強度のトレーニングを遂行する為にはきちんとエネルギーを摂取する必要がある。
 従って、やる気が湧かないと感じたり、オーバートレーニング状態に陥る一歩手前と感じた場合は、減量という目標を2~3週間は一旦棚上げにし、身体を回復させるのに必要なエネルギー量をきちんと摂取するのが重要となる。

<摂取エネルギー量を賢く増やす>
 最初に、一日に消費しているエネルギー量を決定する。具体的には、消費エネルギー量=基礎代謝量+トレーニングで消費するエネルギー量である。
 次に、身体を適切に回復させるには、上記の消費エネルギー量に300~500 kcal/日を加えたものを一日当たりの摂取エネルギー量とする。摂取エネルギー量を増やすのは、減量という目標に反するように思われるだろう。しかし実際には、短期的に摂取エネルギー量を増やすのは代謝をリセットする効果があり、結果的には減量過程で見られる停滞期を打破する効果が期待出来る。
 また、「何を」「何時に」食べるかも重要である。夕食でドカ食いをしたり、仕事中にジャンクフードをつまみ食いするのは駄目である。トレーニングの直前/直後に栄養成分に富む/タンパク質を多く含む食品を摂取するか、朝食/夕食にタンパク質をサプリメントの形で摂取するのが望ましい。適切な食品を適切なタイミングで摂取することにより、身体の回復スピードは増大する。

2:健康に良い、脂質の少ないタンパク質源を食べる
 タンパク質は筋肉を構成する主たる栄養成分であり、トレーニングで生じた微細な筋断裂を修復するのに必要である。なので、オーバートレーニング状態に陥りかけているランナーは、脂質の少ないタンパク質食品をしっかり摂取するのが重要となる。

<+αでタンパク質を摂取する方法>
 最も完璧なタンパク質食品は、動物由来のもの(魚類/鳥類/赤身肉)である。オーバートレーニング状態に陥りかけていると感じたランナーは、普段の食生活で鮭/鮪/鳥類を積極的に摂取したい。これらにはタンパク質以外に、ω-3脂肪酸/鉄分といった重要な栄養成分が含まれている。
 惣菜/加工肉といった形の”人工的な”動物性蛋白質は避けるべきである。昼食で網焼きの鶏胸肉を摂ったり(この場合、サラダ/サンドウィッチという形でも構わない)、夕食で鮭/赤身肉を摂るので充分である。
 菜食主義者の場合、様々なタンパク質食品を組み合わせて、必須アミノ酸をきちんと摂取するよう務める必要がある。例えば、
・穀類+豆類/乳製品
・野菜類+大豆/乳製品
・豆類+種実類
といった形である。どういった組み合わせでも構わない。要は、オーバートレーニング状態に陥りかけていると感じたら、+αとしてタンパク質を摂るのが大切である。

<どれ位摂るべきなのか?>
 一般的には、ランナーは一日にタンパク質を体重1kg当たり1.2~1.7g摂取する必要があるとされている。しかし、疲労回復を促進させるのであれば、一日にタンパク質を体重1kg当たり2gは摂取するべきである。

3:栄養成分を多く含む果物/野菜をもっと摂る
 オーバートレーニング状態を打破する為には、タンパク質以外にも、野菜/果物類を摂取する必要がある。大半の野菜/果物類は、疲労回復を欲するランナーにとっては重要な食物である。というのも、それらは栄養成分、特に筋肉の修復に必要なビタミン類/ミネラル類を多く含むからである。

<手軽に果物類/野菜類を食事で摂取する方法>
 毎食少なくとも一種類以上の果物類/野菜類を摂取するよう努めたい。そうすることで、筋肉の修復/エネルギー補給に必要なビタミン類/ミネラル類/抗酸化物質が漏れ無くきちんと摂れる。
 以下に、摂取するのが望ましい果物類/野菜類を列挙する。

・芥子菜、蕪菜
・ケール(緑葉カンラン、キャベツの原種とされる)
・クレソン
・チンゲンサイ
・ほうれん草
・芽キャベツ
・フダンソウ
・ルッコラ
・大根
・キャベツ
・豆もやし
・唐辛子
・ロメインレタス
・ブロッコリー
・にんじんジュース
・トマト(加工品を含む)
・カリフラワー
・いちご
・ザクロ果汁
・ブラックベリー
・セイヨウスモモ
・ラズベリー
・ブルーベリー
・パパイヤ
・ブラジルナッツ
・オレンジ類
・豆腐
・豆類(全て)
・種実類(亜麻仁/ヒマワリ/ゴマ等)
・クルミ

※食事例
 これ迄、栄養面でのアドバイスを列記してきたが、これだけだと少し分かり難いと感じる向きもいるだろう。
 そこで以下に、食事例を挙げることにする。ここでは量については記載していないが、これは各人が必要とする摂取エネルギー量を考慮して決定してもらいたい。

起床直後      :ホエイプロテインのシェイク
朝食        :オートミールにベリー類/小麦胚芽をトッピング。
間食①       :ヨーグルト(低脂肪タイプ)に果物をトッピング
昼食        :網焼きチキンのサンドウィッチ、ほうれん草/ピーマン/
           ブロッコリー/人参/トマト/鮪(ツナ缶)のサラダ
間食②       :オレンジ類、ナッツ類一掴み
夕食        :鮭、玄米、アスパラガス
間食③       :カッテージチーズにいちごをトッピング
トレーニング後の軽食:リカバリードリンクやスポーツドリンク、エナジーバー

 各人の好みに合わせ、食材は適宜入れ替えてもらって構わない。大切なのは、普段に比べ300~500kcal/日多く摂ることである。身体が回復し、気分がリフレッシュし、高強度のトレーニングを実践出来るようになったら、元の食生活に戻そう。


ファストフードは”スポーツ用”補給食の代替になりえるか?

2015年04月05日 | 食事
今日はぐずついた天気@大阪市でした。なので、スパッと思い切り良く朝稽古は中止しました。
こういう時だけ決断が速いってのも考えものですが・・・。

標記の件、出典は”Runner's World"誌です。
要は総エネルギー量と炭水化物/タンパク質/脂質の割合が大切、って話です。
個人的な経験でも、HA◯EOとかMUS◯SHIといったサプリメントが宣伝文句ほど効いた覚えはありません。
唯一「効いたかな?」と思えたのは、DNSのホエイ+カゼインプロテイン位だったかと・・・。

ファストフードはスポーツ向けサプリメントの代替になるか?
by Amby Burfoot , April 02 , 2015 on "Runner's World"


 "International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism"誌で発表された研究結果によると、グリコーゲンの再合成及びその結果として身体能力に及ぼす影響という観点からすると、マクドナルド製品とスポーツ向けサプリメントとはほぼ同じ効果を発揮するとのことである。研究結果を報告した研究グループは、疲労回復に関連する指標(血中コレステロール値/下腿三頭筋のグリコーゲン含有量等)とタイムトライアルの成績との関連を調べ、その結果から上記の結論を導き出した。
 
 同研究は11名のホビーアスリートを被験者とし、エアロバイクを用いて90分間の運動(途中で高強度のインターバル走を含む)試験をさせた。試験後、下腿三頭筋のグリコーゲン含有量を測定した。その後4時間休息させ、その間にファストフード(試験群)とスポーツ向けサプリメント食(対照群)をそれぞれ摂取させた。休息後、再び下腿三頭筋のグリコーゲン含有量を測定し、それから運動能力試験(20kmタイムトライアル)をさせた。

 1回目の試験から1週間後、今度は試験群と対照群を入れ替えて(=摂取する食事を入れ替えて)同じ試験を行った。なお、被験者は自分が何を食べたのかが分かるようになっていた。

 被験者に提供した食事(ファストフード/スポーツ向けサプリメント食)は、炭水化物/タンパク質/脂質の含有量及びエネルギー量は同一とした。なお成分構成比は炭水化物70%/タンパク質10%/脂質20%であった。

 試験結果は、グリコーゲンの再合成/血糖値/血中インスリン濃度/血中コレステロール値/タイムトライアルの成績といった各指標いずれにおいても、ファストフード/スポーツ向けサプリメント食の間に差は見られなかった。

 研究グループの代表であるBrent Ruby博士は、「グリコーゲンの再合成については差は見られないと予想していたが、その他の血液検査結果/タイムトライアルの成績については何らかの差が見られるのではと予想していたのだが…」と語っている。Ruby博士は続けて、「今回の結果からすると、炭水化物/タンパク質/脂質等の量が同一であれば、ファストフードは(より高価な)スポーツ向けサプリメント食と同じ効果を発揮すると考えられる」と語る。

 ファストフードとスポーツ向けサプリメント食について、健康という観点から何らかの違いがあるのかどうかという疑問に対し、Ruby博士は「健康という観点からすると、摂取する食物の質云々以前に、運動量とエネルギー摂取量のバランスが重要だと思う」と答えている。

 また、ボストンマラソンの完走者/栄養士であるNancy Clark氏は、今回の研究結果は特に驚くに当たらないと指摘している。Clark氏は、「市販されているスポーツ向けサプリメント食が天然物に比べ、著しく高い効果を発揮するという研究結果を見たことは無い。スポーツ向けサプリメントは『炭水化物とタンパク質の比率を最適にした』等の宣伝文句を高らかに謳っているが、それならより美味しく/安価な天然物でも再現可能である」と語っている。

 研究グループも、「今回の結果からすると、グリコーゲンの再合成という点に関しては、スポーツ向けサプリメント食とファストフードの間に差は無い」と結論づけている。

トレーニング後の身体を最大限回復させる為の栄養補給

2015年03月23日 | 食事
今日から明後日迄は冬が逆戻り@大阪市、だそうです。
まだまだ長袖アンダー&タイツは必要みたいです。

標記の件、出典は”Training Peaks”のWebサイトです。
例えば、牛乳300ml(=タンパク質10g/炭水化物15g)にマルトデキストリン25~35gを溶かすのがいいのかもしれません。溶けたかどうかは分かり難いのですが・・・。
これから準備して、試してみます。

トレーニング後の身体を最大限回復させる為に
Tuesday, March 10, 2015 / by Dr. Rick Kattouf


 トレーニングについての関心はとても高い。アスリートたる者、どうやったら身体能力/体組成/持久力/筋力/パワー/スピードが向上するかについては四六時中考えていることだろう。

 トレーニング以外の方法でそれらの要素全てを向上させられるとすれば、どう思うだろう?。実際、それは可能である。トレーニングに先立ってどうやって栄養補給をするか、ということもそのような方法の一つである。また、フルタイムワーカーの場合、非常に忙しい日々を送っているだろうので、トレーニングの後は直ぐに次の用事をこなさねばならないであろう。そして大抵の場合、トレーニング後の身体を最大限回復させるのに必要な栄養補給はなおざりにされる。しかし、トレーニング後に摂取した栄養は、トレーニングで疲労した身体の回復に資するだけではない。むしろ、翌日以降のトレーニングに備えるためのものである。以下に、そのような観点に立脚した、トレーニング後の栄養補給方法を述べる。

(1)まずはグリコーゲンの補充から
 グリコーゲンとは、グルコースを肝臓/筋肉に貯蔵される際に変化した物質である(訳者注:グリコーゲンとは、α-D-グルコースがグリコシド結合によって重合した高分子/多糖)。トレーニングで消費したグリコーゲンを補給/再貯蔵することは、身体の疲労を回復させる主な方法の一つである。実際には、炭水化物を摂取すれば良い。トレーニング後に炭水化物を摂取すれば、インスリンの生成が促進され、その結果として筋グリコーゲンの生成も促進される。

(2)グリコーゲンの補充をより効率良く行う為に
 上記(1)をより効率良く行うためには、炭水化物のみを摂取するのでなく、炭水化物とタンパク質を同時に摂取すれば、インスリンの生成が2倍になる≒グリコーゲンがより多く貯蔵されるという実験結果が報告されている。更に、タンパク質を摂取すると、それらは消化/分解されてアミノ酸となり、トレーニングで損傷した筋肉の回復(修復)に資する。

(3)(炭水化物+タンパク質)の適切な摂取量/摂取タイミング
 上記(1)(2)で、トレーニング後に(炭水化物+タンパク質)を摂取する重要性は理解してもらえたと思う。では、適切な摂取量はどれ位か?。ある実験では、炭水化物:タンパク質=4:1~5:1(質量比)が適切であると報告されている。

(4)タンパク質は過大評価されている
 「タンパク質をより多く摂取すれば、身体はより速く/きちんと回復する」、と一般には考えられがちである。しかし、これは誤りである。タンパク質を過剰に摂取すると、グリコーゲン/水分の再補充のスピードは低下する。これは身体の回復という点では逆効果である。炭水化物等は、液体状で摂取する方がより早急に消化/吸収される。なので、最も適切なリカバリードリンク/エネルギー源とは、(炭水化物40~50g+タンパク質10g)を含む飲料となる。そして、グリコーゲンの再補充という観点からすると、トレーニング終了から15~30分後にそのような飲料を摂取するのが最適である。

(5)兎にも角にも水分補給
 トレーニング後に於いては、グリコーゲンと同様に水分を摂取するのも重要となる。トレーニング後に炭水化物を摂取することが、身体の疲労回復だけでなく、次のトレーニングに対する準備という点で重要であることは、水分補給についても当て嵌まる。トレーニング後にきちんと水分を補給して置かなければ、次のトレーニングには若干の脱水状態で臨むことになる。それ自体良くないことだし、そのような状態が続くと、やがて慢性的な脱水状態に陥ることになる。
 トレーニング後に摂取する必要がある水分の量を把握するには、トレーニング前後で体重を測定するのが最も簡単かつ正確な方法である。簡単に言えば、摂取する必要がある水分量=トレーニング前後で減少した体重(kg)×1~1.5L、である。少し多いように思われるかもしれないが、きちんと水分を補給するのであればこれ位が必要となる。また、水分だけでなく、電解質(ナトリウム/カリウム/マグネシウム/カルシウムなど)も補給する必要がある(その量については走行距離/走行時間/トレーニング強度/気候等に拠る)。電解質については、トレーニングの後であれば容易に吸収され得る。方法については、サプリメントという形でもいいだろう。

 
 

乳化剤と腸管の炎症/メタボリックシンドロームの関係について

2015年03月19日 | 食事
という実験結果を紹介する、米国国立衛生研究所のニュースレターです。原文はこちらです。

マウスでの結果なので即断は出来ませんが、可能なら加工食品は摂らない方が無難でしょう。

NIH Reserch Matters(2015年3月16日付)
食品添加物がマウスの腸内細菌叢を変え、その結果病気が発生する
by Carol Torgan博士


【摘要】

・食品添加物である乳化剤をマウスに与えると、腸内細菌叢が変化し、大腸炎/メタボリックシンドロームの発生を促進する

・今回の実験結果は、特定の食品添加物が肥満/慢性炎症性腸疾患の発生率を増大させる役割を果たしている可能性を示唆する。

【本文】
 消化管に存在する腸内細菌叢は摂取した食物の消化/代謝に関与し、健全な免疫系の維持に役立っている。逆に、腸内細菌叢の変化は慢性病が発生する原因となる。

 腸管は厚い粘液層に覆われており、腸内細菌叢は腸管と直接接触していない。Andrew T. Gewirtz博士(ジョージア州立大学)を代表とする研究グループは、粘液層を破壊する効果のある化学物質が腸内細菌叢を変化せしめ、その結果炎症性疾患(炎症性腸疾患/メタボリックシンドローム等)が発症するという仮説を検証する実験を行った。

 食品添加物としての乳化剤は、食感の向上/品質保持期限の延長を目的として使用されている。乳化剤が腸管の粘液層を破壊すること、及び腸内細菌叢を変化させることは既に確かめられている。そのような乳化剤の作用が慢性疾患の発生と何らかの関係があるかどうかを確かめる目的で、研究グループは以下の実験を行った。なお、この実験には、米国国立衛生研究所傘下の米国糖尿病・消化器病・腎臓病研究所(NIDDK)が資金を提供している。研究結果はNature誌(2015年3月5日付)で発表された。

<実験方法>
・用いた乳化剤:カルボキシメチルセルロース/ポリソルベート-80の2種

・実験材料:
①普通のマウス
②腸内細菌叢を有しない”無菌マウス”

・実験方法:
実験材料に低濃度の乳化剤溶液を12週間に渡って摂取させた。

<結果>
(1)①では、
・腸管の粘液層が薄くなり、腸内細菌叢が結腸の内壁に接近した
・腸内細菌叢の組成が変化した
・体重が増えた/食事の摂取量が増えた/体脂肪量が増えた/グルコースの
 代謝異常が発生した、といったメタボリックシンドロームの症状が発生した
・低レベルの消化管の炎症が発生した
といった変化が見られた。

(2)②では、 
・腸管には炎症の徴候は見られなかった
・粘液層の厚みは薄くならなかった
・メタボリックシンドロームの症状も発生しなかった
という結果だった。

(3)①の腸内細菌叢を②に移植すると、
・低レベルの消化管の炎症が発生した
・体脂肪量が増えた
・グルコース不耐性となった
といった状態になった。

<考察>
 結果(1)~(3)から、乳化剤を摂取したことで見られた影響(消化管の炎症の発生/代謝の変化)の原因は、腸内細菌叢(の組成)が変化したことと考えられた。
 
 Gewitz博士は、「一般には、肥満/メタボリックシンドロームの原因は過食にあると考えられているし、我々もそうだと考える」と語る。しかし今回の実験結果は、食品添加物が腸内細菌叢に作用し、その結果として炎症の発生/代謝/体重の変化に何らかの影響を及ぼし得ることを示唆している。

 研究グループは現在も、乳化剤に関する実験を遂行している。また、食品添加物が人体に及ぼす影響を調査する臨床試験も計画している.

 

摂取エネルギー量の制限が生物に及ぼす影響

2015年01月26日 | 食事
という、米国国立衛生研究所のニュースレター記事です。

「腹八分目」は正解みたいです。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
NIH Reserch Matters, January 12, 2015

代謝から見た、摂取エネルギー量制限の有効性について
by Carol Torgan博士(Ph. D. )

(原文:http://www.nih.gov/researchmatters/january2015/01122015calorie.htm)

【摘要】

・動物(マウス)実験の結果から、摂取エネルギー量の制限が健康に有利に作用する理由の一部は、硫化水素ガスの生成量の増大によるものである事が明らかとなった。

・硫化水素ガスの生成に関与する代謝経路は酵母/蠕虫(蠕動によって移動する虫の総称、ミミズなどの環形動物/回虫などの線形動物/条虫などの扁形動物が含まれる)/マウスに存在することから、その代謝経路は生物に基本的なものである(=だから人間にも存在すると思われる)。そして今回の研究結果は根本的に臨床応用が可能であると考えられる。

【本文】
 摂取エネルギー量制限とは、栄養不足に陥ることなく、摂取エネルギー量を30%以上減らす手法である。この食事方法が健康に様々な利点をもたらすことについては、1930年代から広く知られている。酵母/蠕虫/ハエ/マウスを用いた動物実験では、その寿命を延ばす効果が確認されている。また摂取エネルギー量制限は、幾つかの代謝経路に於いてそのストレス耐性を高め得る可能性も示唆されている。

 ハーバード大学公衆衛生学部のChristopher Hine博士/James Mitchell博士を代表とする研究チームは、摂取エネルギー量制限が健康に及ぼす利点について、分子レベルでのメカニズムを解明する実験を行った。なお、この研究には米国国立衛生研究所傘下の
・国立加齢研究所(National Institute of Aging)
・国立糖尿病/消化器病/腎臓病研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases)
・国立癌研究所(National Cancer Institute)
が資金を提供した。実験結果はCell誌(オンライン版、2014年12月23日号)で発表された。

 実験はマウスを材料とし、次の実験水準を設定した。

試験区①:摂取エネルギー量を対照区の50%とした
試験区②:摂取エネルギー量を対照区の50%とし、更に追加でメチオニン/システインを摂取させた
(メチオニン/システイン:含硫アミノ酸の一種)
対照区:マウスに自由に食事を摂取させた

 上記の食事を1週間摂取させた後、手術によって肝臓への血流を制限してストレスを加えた。肝臓への血流を制限すると、肝臓の組織は損傷して炎症が発生する。この状態は、人間に置き換えると臓器移植/脳卒中/心臓発作の際に見られる症状に類似する「虚血再かん流障害モデル」である。

 実験結果は、
・肝臓の組織で発生した損傷の程度は、試験区①<試験区②≒対照区
であった。

 研究チームは、メチオニン/システインの摂取を制限した結果、トランス硫化経路と称される代謝経路が活性化され、その結果として硫化水素の生成が増大したと考察した。そこで、マウスから硫化水素の生成に関与する遺伝子を除去すると、上述の摂取エネルギー量制限の効果は見られなくなった。逆に、硫化水素の生成を増大させるように遺伝子操作したマウスでは、摂取エネルギー量を制限しなくても、虚血再かん流障害による組織の障害は減少した。従って、「摂取エネルギー量を制限する→硫化水素の生成が増大する→手術によるストレスへの耐性が高まる」、という図式が成立すると考えられた。

 別の実験では、酵母/蠕虫/ショウジョウバエ/マウスで摂取エネルギー量を制限するとその寿命が伸びたが、この過程にも硫化水素の生成が何らかの関与をしていることが示唆された。このように摂取エネルギー量を制限することは、代謝経路に何らかの好影響を及ぼし得ると推定される。

 Mitchell博士は、「今回の結果から、齧歯類及びそれより下等な生物に於いては、摂取エネルギー量の制限による好影響には硫化水素が重要な鍵を握っていることが示唆された。この関係をより深く解明するには更なる研究が必要だが、今回の結果は人間に於いても、その疾患/加齢を治療する際のターゲットを選定する参考になる」と語る。