・・・ってネタをNIH(米国国立衛生研究所)が取り上げているってのが凄いなと思います。
生物って、生死に関わらない程度にそこそこ苛める(=ストレスを加える)のが成長の鍵です。
米国国立衛生研究所 Reserch Matters(2015年7月13日付)
断食を模した食生活が健康に及ぼす影響
(原文:http://www.nih.gov/researchmatters/july2015/07132015fasting.htm)
【摘要】
・断食を模した低カロリー食を周期的に実践することにより、代謝/免疫を始めとする諸機能が改善すること
が、マウスを対象とした実験で確かめられた。
・人間に同様の食事を5日間/月摂取させるという予備実験でも、同様の効果が確かめられた。
・断食を模した低カロリー食のメカニズムを解明する為には、更なる研究が必要である。
【本文】
すでに多くの動物実験を通じ、食事制限に健康上の様々な利点があることは明らかにされている。断食(食品は摂取しないが、水分は摂取する)は、究極の食事制限である。これまでの動物実験/臨床試験を通じ、定期的/周期的に断食をすることで代謝/免疫機能が向上する可能性が示されている。しかしながら、2日間以上の断食は多くの人にとっては困難なことであり、何らかの副作用が現れる可能性もある。
Valter Longo博士(南カリフォルニア大学所属)を代表とする研究グループは、断食の効果を模すると同時にその危険性/困難さを最小限とする食事方法の効果を研究した。当研究に対しては、米国国立衛生研究所傘下の国立加齢研究所(National Institute on Aging, 略称NIA)が資金を提供し、結果はCell Metabolism誌(2015年7月7日付)で発表された。
研究グループはまず最初に、酵母(単細胞生物)を材料として、長期間の周期的断食を試験した。栄養豊富な培地での培養→水中での培養を複数回/周期的に繰り返した酵母は、
・生存期間の延長
・毒物を含む培地で培養した場合の生存能力の向上(=ストレス耐性の向上)
といった特徴を示した。
次に研究グループはマウスを対象とし、超低カロリー&低タンパク質食の効果を調査した。具体的には、長寿/代謝能力の向上を含む、断食の好影響を模するように実験食を作成し、試験区のマウス(出生から16ヶ月、人間では中年期に相当)に「実験食を4日間連続摂取→制限の無い食事を10日間摂取」というサイクルを実践させた。なお、対照区のマウスでは食事を制限しなかった。制限の無い食事を摂取する期間に於いてマウスは過食していたので、14日間の摂取エネルギー量の合計では、試験区/対照区(実験食の摂取無し)で差は見られなかった。
試験区のマウスは、実験食を2サイクル/月×数ヶ月間摂取することになったが、その結果、対照区のマウスと比較して代謝に関し様々な変化が見られた。具体的には、
・血中グルコース濃度の低下
・インスリンレベルの低下
等である。なお、これらの変化は全て、制限の無い食事を摂取する期間に元のレベルに戻った。また、試験区のマウスでは出生から28ヶ月の時点で、内臓脂肪量が減少した。更に試験区のマウスでは、骨密度が増大すると共に、脳における神経細胞の発達が促進していた。自然死した後にマウスを解剖すると、試験区のマウスでは腫瘍/皮膚病変の発生率が(対照区のマウスと比較して)低かった。
次に研究グループは予備的な臨床試験を実施した。健康な成人38名を被験者(試験区/対照区各19名)とし、野菜を主体とした実験食(通常の食事に比べエネルギー量は34~54%、構成比は炭水化物34~47%/タンパク質9~10%/脂質44~56%)を摂取させた。試験区の被験者は実験食を5日間/月摂取する(月の残りの日数は通常食を摂取)ことを3ヶ月間(=3サイクル)繰り返した。なお、対照区の被験者は通常食のみを摂取した。
実験食を摂取した試験区の被験者では、対照区の被験者に比べて
・血糖値が改善した
・体重が減少した
という結果が見られた。また、臨床試験開始前の時点でC反応性タンパク質レベル(心臓疾患リスクのマーカー)が高かった被験者ではレベルが低下した(もともと正常値だった被験者では変化しなかった)。実験食の摂取に伴う副作用の報告例は少なかったが、疲労感/虚弱感/頭痛などが報告された。
上記の食事法が長期的に人体に及ぼす影響を知る為には、及びいつ/どのように実践すれば適切なのかに関する情報を得るには、更なる研究が必要と考えられる。
生物って、生死に関わらない程度にそこそこ苛める(=ストレスを加える)のが成長の鍵です。
米国国立衛生研究所 Reserch Matters(2015年7月13日付)
断食を模した食生活が健康に及ぼす影響
(原文:http://www.nih.gov/researchmatters/july2015/07132015fasting.htm)
【摘要】
・断食を模した低カロリー食を周期的に実践することにより、代謝/免疫を始めとする諸機能が改善すること
が、マウスを対象とした実験で確かめられた。
・人間に同様の食事を5日間/月摂取させるという予備実験でも、同様の効果が確かめられた。
・断食を模した低カロリー食のメカニズムを解明する為には、更なる研究が必要である。
【本文】
すでに多くの動物実験を通じ、食事制限に健康上の様々な利点があることは明らかにされている。断食(食品は摂取しないが、水分は摂取する)は、究極の食事制限である。これまでの動物実験/臨床試験を通じ、定期的/周期的に断食をすることで代謝/免疫機能が向上する可能性が示されている。しかしながら、2日間以上の断食は多くの人にとっては困難なことであり、何らかの副作用が現れる可能性もある。
Valter Longo博士(南カリフォルニア大学所属)を代表とする研究グループは、断食の効果を模すると同時にその危険性/困難さを最小限とする食事方法の効果を研究した。当研究に対しては、米国国立衛生研究所傘下の国立加齢研究所(National Institute on Aging, 略称NIA)が資金を提供し、結果はCell Metabolism誌(2015年7月7日付)で発表された。
研究グループはまず最初に、酵母(単細胞生物)を材料として、長期間の周期的断食を試験した。栄養豊富な培地での培養→水中での培養を複数回/周期的に繰り返した酵母は、
・生存期間の延長
・毒物を含む培地で培養した場合の生存能力の向上(=ストレス耐性の向上)
といった特徴を示した。
次に研究グループはマウスを対象とし、超低カロリー&低タンパク質食の効果を調査した。具体的には、長寿/代謝能力の向上を含む、断食の好影響を模するように実験食を作成し、試験区のマウス(出生から16ヶ月、人間では中年期に相当)に「実験食を4日間連続摂取→制限の無い食事を10日間摂取」というサイクルを実践させた。なお、対照区のマウスでは食事を制限しなかった。制限の無い食事を摂取する期間に於いてマウスは過食していたので、14日間の摂取エネルギー量の合計では、試験区/対照区(実験食の摂取無し)で差は見られなかった。
試験区のマウスは、実験食を2サイクル/月×数ヶ月間摂取することになったが、その結果、対照区のマウスと比較して代謝に関し様々な変化が見られた。具体的には、
・血中グルコース濃度の低下
・インスリンレベルの低下
等である。なお、これらの変化は全て、制限の無い食事を摂取する期間に元のレベルに戻った。また、試験区のマウスでは出生から28ヶ月の時点で、内臓脂肪量が減少した。更に試験区のマウスでは、骨密度が増大すると共に、脳における神経細胞の発達が促進していた。自然死した後にマウスを解剖すると、試験区のマウスでは腫瘍/皮膚病変の発生率が(対照区のマウスと比較して)低かった。
次に研究グループは予備的な臨床試験を実施した。健康な成人38名を被験者(試験区/対照区各19名)とし、野菜を主体とした実験食(通常の食事に比べエネルギー量は34~54%、構成比は炭水化物34~47%/タンパク質9~10%/脂質44~56%)を摂取させた。試験区の被験者は実験食を5日間/月摂取する(月の残りの日数は通常食を摂取)ことを3ヶ月間(=3サイクル)繰り返した。なお、対照区の被験者は通常食のみを摂取した。
実験食を摂取した試験区の被験者では、対照区の被験者に比べて
・血糖値が改善した
・体重が減少した
という結果が見られた。また、臨床試験開始前の時点でC反応性タンパク質レベル(心臓疾患リスクのマーカー)が高かった被験者ではレベルが低下した(もともと正常値だった被験者では変化しなかった)。実験食の摂取に伴う副作用の報告例は少なかったが、疲労感/虚弱感/頭痛などが報告された。
上記の食事法が長期的に人体に及ぼす影響を知る為には、及びいつ/どのように実践すれば適切なのかに関する情報を得るには、更なる研究が必要と考えられる。