有川浩さんの最新刊「県庁おもてなし課」を読みました。
先々週末、テレビで紹介されていたのをチラっと見て、内容までは確認できなかったものの早速本屋に行ってみました。
目次をめくると…
「この物語はフィクションです。しかし、高知県庁におもてなし課は実在します。」と書かれてあり、とても興味をそそられ購入しました。
少々分厚さが気になりましたが、思ったほどの圧迫もなく、スムーズに読み進めることが出来ました。
「史上初、恋する観光小説」…なるほど。
有川さんの表現はストレートでないところに共感を覚えます。
言いたいことを素直に言えないもどかしさが何とも言えず…。
高知県の方言を読み進めるのには、慣れるまで少し時間がかかりましたが、会話の言い回しも、天然ボケと素直じゃないところがとても好きです。
そして…
「多分、同時に目を閉じた。」
それ以上の言葉を排除し、読者の空想力に任せるあたりも良いなぁと思いました。
ただ、こんな風な出会いって…
やっぱり本の中だけなのかなぁ~って…
いやいや、現実にはもっと素敵な出会いを経験している人もいるんだろうなぁ~。
仕事との向き合い方自体も考えさせられる場面もあり、なかなか面白かったです。
後半のスペシャルトークの中で、金丸弘美さんと有川浩さんが「さるく」のことにふれられていて、次回作とは言わないまでも、いつか長崎を題材にした本を書いてくださらないかなぁと、ついつい思ってしまいました。
この本にも出会えてよかったです。
正直、驚いたのは、本を読み終えて数日後にわかったことなのですが、地方を応援するために書いたこの小説の印税はすべて東北地方太平洋沖地震の被災地に義援金として送られるのだそうです。
間接的ではありますが、また少しだけ協力できたことをとても嬉しく思いました。
東日本の大震災以降、ずっとブログを綴れずにいました。
どんな言葉を並べても、上手く伝えられる自信が全くありませんでした。
東北に嫁いだ友人とは当日と翌日までには無事の確認が取れたものの、繰り返し報道される被害状況に、すっかり言葉を失くしてしまっていました。
いったい私に何が出来るのだろう…
あちこちで支援の輪が広がり、いろんな形での取り組みが行われています。
今日も同僚が福島に向けて出発しました。
お仕事で知り合った方は、市が支援物資の受付をはじめると仕分けがしやすいように…と気遣いながらタオルの箱詰めをされ、また別の方は、一度はお祝いの行事を取りやめることも考えたが、集まってもらった人に募金をお願いし、元気な自分たちがもっともっと元気を出して頑張って、どんどん東北を支援できるように頑張らなくてはいけないとお話をされてました。
このままでは日本が本当に沈んでしまう。そうならないために、何が必要か!
日常を当たり前に過ごすこと。東北の方々にも一日でも早く日常を取り戻してもらえるように…。
私に出来ることといえば、募金をすることくらい…。東北地方の商品を購入することくらい…。そして、心から祈りを捧げること…。
あまりのことに言葉もなく、見上げた空に想いを込めて…。