神奈川絵美の「えみごのみ」

カーシュのジョアン・ミロ

もう3週間ほど前の話になりますが



5月上旬に、東京ミッドタウンに行った際



フジフィルムスクエアで開催中だった、こちらの写真展を
観ました(会期は終了しています)。

20世紀に撮影された海外写真家の名作がズラリ。
時代を反映してか、モノクロのポートレートが多かったです。


こちらはアウグスト・ザンダーが自分の妻を撮った
「写真家の妻」なんと1902年の作品で
写真の黎明期といっていいころでは…。

むかーし、横浜美術館で1905年ごろのフランスの街の
写真を観たことがありますが、
映画のセットなどではない、リアルな息遣いが聞こえてくるようで
ドキドキしたのを覚えています。
こちらも、生身のやわらかさというのか、
時代の空気感が伝わってくるようでした。

少し前に山田五郎さんのYoutubeチャンネルで
明治初期の開港まもないころの要人のポートレートが
紹介されており、
露光が長いので被写体はじーっと我慢し動かずにいなければ
ならず、体を固定するための仕掛けもあったなんて
耳にしましたが
このご婦人も絵画のモデルみたいに、長時間このポーズを
取り続けなければならなかったのかしら。

この写真展で私が一番、気に入ったのは……

タイトルにも書いた、ジョアン・ミロ(ホアン・ミロ)の写真。

こちらです。



ちょっとおどけたような、子どものような表情が
なんとも心を和ませます。
撮影はユーサフ・カーシュというトルコ出身のカナダ人写真家。
1920年代から写真の勉強を始め、
ちょうど戦後から頭角をあらわしはじめた、という時代的な幸運もあり
1950年代以降、映画スターや芸術家、有名人のポートレートを
数多く手がけ、カナダから勲章ももらうなどたいへん活躍したそう。

今回の展示にもほかに、ピカソやシャガール、ヘミングウェイ、
モハメド・アリも!

同じ芸術家でもピカソはやっぱりちょっと、
一筋縄ではいかないとんがった感じが写真から見て取れましたが
それに対しミロのなんと天真爛漫なこと。

私はこのニコッとした表情に一瞬で魅せられ、癒され
今でもパソコンのデスクトップに、いつでも開けるよう
アイコンを置いています。

たかが写真、という人もいるかも知れないけれど
何だかお向かいの窓から挨拶されているような
そんなあたたかみがこのモノクロームから
私には感じられ、
それも名写真家の手腕なのかも知れないな、と思ったりするのです。

コメント一覧

kanagawa_emi
まるたけさん、ありがとうございます!
ネットフリックス契約していないので、
アマプラで探してみます💕
まるたけ
絵美さんに情報💛※お返事は無用ですので。

モノクロで思い出しました。ネットフリックスの「リプリー」
観ましたか?原作はあの「太陽がいっぱい」と同じ方。
全編モノクロなんです。イタリアのあちこちの都市が舞台。
雨に濡れたモノクロの石畳が美しいの~。
香水の一瓶をとっても、モノクロってドキドキしますよ。
kanagawa_emi
まるたけさん、こんにちは!
そうなんですよね~なんなんでしょうね、
想像の余地が大きいからかしら。
この写真のミロは、何を語り掛けようと
しているのでしょう、というお題だけで
半日くらい、考えていられそうです^^;
まるたけ
ほんとだ~、モノクロってつくづく物語が感じられますね。
ニュアンスがあるというかなんというか。
kanagawa_emi
香子さん、こんにちは!
モノクロームって色の想像をするのも楽しいし
私などは色以外の構図とか人の表情とか、
シチュエーションを勝手に想像することに
楽しみを見出しています^^;

5月まで月1冊ペースで書き続けてきたのですが
6月はこちらから版元にお願いし、執筆のない月に
しました(フリーなのに贅沢ですが…)。
とはいえ今、雑誌のゲラ待ち^^; 書籍も執筆はないものの
往訪の取材が結構入るので、なんだかなあな感じでは
あります…。
香子
モノクロの写真っていいですよね。
色はないけど温かみがあるというか・・・

少しお仕事が一段落つかれました?
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