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全体主義と良い本

 良い本を揃えれば、人間のレベルが上がる、都市のレベルが上がる、町が良くなる、などという考え方があります。読み聞かせ講座の最後に、講師が「良い本を選んで、地域を引っ張って欲しい」などと言って締めくくることがよくありました。受講生は「なんて崇高なこころざし!」と深く頷く。実は、これは全体のために、本が限定排除されるということです。
 また、図書館で活動する約束がないと受講できないというシステムも、全体のために人間が選別される、ということです。
 これは、かつて戦争中、人々を戦争に駆り立てた全体主義に傾いているのではないかと思っています。

 全体が良くなる・地域が良くなるために個人を犠牲にするというのは「お国のために個人は我慢します」ということです。ある意味とても張り合いがあり、戦争中の日本国内では、人々の心は一つになり、明るく活気に満ちていたそうです。
 地域の図書館に奉仕するボランティアで、みなさん活発に活動するのは楽しく張り合いがありますが、ポイントを押えないと全体主義バンザイになってしまいます。

「全体主義」・・・・ウィキペディアを参考に書きました。

・個人の権利や考えよりも、全体の利益が優先されてしまう。
(図書館で活動するのが条件とか、個人的な好みを排除するというのが、これにあたります)
・弱者が、ひいき(この場合は図書館や司書やリーダー)に寄りかかり、その指揮下に入って助けてもらおうとして自ら奴隷になる。
・新しい時代の希望やユートピアが唱えられる。(この場合は地域活性化とか地域文化向上)
・異端を排除していき、考えが一元化、集約化されていく。
・個人のわがままを取り締まりながら、みんなで問題解決しようというのがきっかけになりやすい。(私も気をつけますっ)
・仮想の敵を作って攻撃することで、心を一つにしていく。
・批判者の口を封じるうちに、中心人物のグループが先端化して、暴走する。
・最初は善意から始まり、大衆から好まれる。
・完全主義の人がリーダーになりやすい。


 これらの問題を解決するためには、地域全体をもう少し細分化して、地域の人それぞれにというふうに、個人にスポットライトを当てるといいと思いました。「個人主義」「民主主義」「人間主体型」に変えることです。価値観も分散させましょう。もともと人それぞれ価値観は違うので、個人に分かれれば思いも分散すると思います。
プログラムを作って「まとまりの良いプログラムにする」ことが、全体主義になるような気がしてならないのです。

 
それから、良い本を揃えれば人間のレベルが上がるか、という問題です。
良い本とは何かということについて。絵本は、文・絵・構成 と3つの柱があると考えています。それらが「良い」ということですが、

① 深い感動を与える本
② 絵の表現レベルが高い本
③ 文章がしっかりしている本
④ 構成が確かな本

そういうものを子どもに与えれば、子どもは人間として良く成長できる、という考えですが、ほとんど根拠が無いと思います。それらは、全て、大人から見た評価でしかないからです。
 ①②は特に大人の偏った感覚で支配されるようです。③④は、訓練を積むと分かるけど、その代わり表現を工夫しようという改革者を排除することになる。本選びの、全体主義です。

新潟市の図書館も、元館長の考えで、最初は図書館でやることを目的にボランティアを養成しました。初期のボランティアは図書館に依存して、「指揮下に入って奴隷になる」感覚に浸ってしまい、自立させるのに図書館はおおわらわです。
 他の図書館も、ボランティアがそうならないように、早めに切り替えた方が良いかと思います。
旧新潟市や豊栄図書館で、聞き手がとても少ないのにボランティアはおはなし会を必死に継続している。全体主義のある種の面がボランティアに働きかけているのでしょう。全体主義を唱えた講師に依存する図書館の責任は、誰が追求するのでしょうか。ボランティアは人権に気づけば、やっていられないと思うし、図書館は自分の失敗を認めながら、修正していかなくてはならないと私は思います。

 高卒の私がどうしてこんな言葉を知ってるか、というと、戦争を考える新聞や雑誌の論評によく出てきた言葉だから。自分のかつて受けたことにそっくりだったから、とても印象に残っていました。だから、私の思い込みかも知れません。
  
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