脚本 『とりかえっこ』 

まわってるよシリーズ3  とりかえっこ
                        石倉恵子/脚本・線画
                        佐藤義二/彩色

1 ある回転すし屋さんに、さびてっか兄弟とさびぬき兄弟がいました。さびてっか兄弟はわさびをもっていましたし、さびぬき兄弟は立派な旗をもっていました。
ところがどちらも相手のものがほしくてたまりません。
「子どもに人気の旗がいいな。どうしたらあの旗がもらえるかなあ」
「大人に食べてもらいたいな。どうしたらあのわさびがもらえるかなあ」
「そうだ、とりかえっこすればいい」「そうだ、旗とわさびのとりかえっこだ」

2 さっそく
「わさ、わさ、わさび。いま、わさびをあげるともれなく旗がもらえます、っと」
  さびてっかたちは、わさびをひっぱりだしました。

3 一方、こちらはさびぬき兄弟です。
 「はた、はた、はーたはた。」「どれ、この旗とるぞ。しっかりふんばってろよ」「うん」「えいっ、と」

4 「さあ、旗をあげるから、わさびをおくれ」「いいよ、わさびをあげるから、旗をおくれ」
  「こうかんしよう、そうしよう」

5 さて、さびてっかたちは、さっそくそうだんをはじめました。「おれたち6人、旗ひとつ。おい、だれに立てる?」「ぼくだよ」「だめだ、おれだよ」「きまってるじゃん、おれさ」

6 「こら押すなよ」「だめだ、いちばんちからのつよい、ぼくのだ」「いたいよ、おすなってば」
  兄弟たちは大喧嘩をはじめました。「たいへんだ、のりがやぶけてきた」「まぐろもはみだしてる」
  「仲間同士まとまろう」

7  こうしててっかたちは、ひとつになっててっか手巻きになりました。「公平公平」

8 さて、こちらは わさびをもらったさびぬき兄弟です。
「一人ひとつずつ、みんなでわけあおう」

9 「おーい、はいったか?」「はいらないよ。」「だれだ、こんなに堅く巻いたの。ぜんぜんすきまがないじゃないか」

10 「しかたない、ひとつにまとめてみんなで見てるだけにしよう」「なんだか、ざんねんだな」
   「でも、公平公平」

11 こうしててっか兄弟たちは、またぐるぐる回るようになったということです。 
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