絵本BOOKEND 2015

毎年この本が出るのを楽しみにしています。・・・といっても ちょっと落ち着く冬に、図書館にあるのを取り寄せて読みます。

今年は「赤ちゃん絵本とブックスタート」「次世代に伝えたい絵本」の特集でした。
特に、佐々木宏子さんの文章が気に入っています。そうそう、そのとおり、という感じ。

 先に正置友子さんの文章を読んだのですが、気持ちは分かるけど、どうしてこんなに硬直してバカ真面目に絵本に向き合うんだろう、という印象でした。これじゃあ若いお母さんたちに引かれてしまうよね。お母さんたちは不安や忙しさやすごい情報に振り回されてとっても大変なんだから、気楽にその辺のものから手に取ってもらえばいいのにと思っています。ブックスタートみたいに税金を使っておカミが本を配るようなシステムはそこそこ選べばいいけど、普通の遊びの中に、普通のいろいろな本があればそれで十分という気がします。私なんか、本をたくさんたてかけてドミノ遊びまでやったもんね(個人の本です、はい)。

前置きはさておき、村中李衣さんの「読みあい」という言葉は、たしかに赤ちゃんにとって「読み聞かせ」より的を射ていると思います。赤ちゃん絵本は、淡々と文字の通り読んでもしょうもない感じですよね。誰かが言っていた「読み散らかす」と他の人に思われるくらい、間にあれこれ言ったり赤ちゃんの反応にこっちも反応した方がいい。
 「ちゃんと読みましょう」的な図書館の読み聞かせのイベントが嫌われるのは、「活字の通りにきちんと読む」ところに問題の一つがあると思います。とにかく活字以外のことを口にしないで、習った通りにやるという人が多い。読むスタイルも、相手が一組の親子なのに、自分は30センチもあるような椅子に座って絵本をひろげている様子が新聞に出て西区の図書館に貼ってありましたが、自分で相手の高さに近づこうという気持ちを実際に体で表すといいと思います。いくらやさしい声色を使っても効果半減だと思う。でも、もしかしたらそのボランティアは膝が悪いのかも知れないので、これ以上つっこみませんが、せめて正座椅子くらいの椅子を自分で用意したほうがいいよね。

 どうも脱線気味です・・・。佐々木さんの10ページからの論考は、よく言ってくださったと思います。子どもの生活は家庭文庫の蛸壺の中より、もっと生々しい。
それから、140ページの『近代の本の<絵解き空間>ー幼年用メディアを介した子どもと母親の国民化』という本にも興味がわきました。県内の図書館に無いようで残念です。それで、児童文学の歴史では、赤本や雑誌もちゃんと範疇にいれているのに、絵本の中に絵雑誌などを含めて研究されている本は今までなかったように、私も思いました。
 「ごめんなさいね、あーいうの、私、絵本の中に入れないの」という言葉も時々聞かれますが、家庭の中にはそれらはちゃんと存在しているわけで、そういうのを毛嫌いする家庭もあるでしょうが、数百円位の中にたくさんの絵やおはなしが入っている雑誌はとってもお得ですから、購入される家庭も多いのではないでしょうか。実際に活用されているのに研究の中に入れないというのは、ちょっとひどいな、と思っていました。「絵本研究の分野においても『蛸壺化』は大きな流れですすんでいるが、」と書かれているので、やっぱりそうなんだなと暗い気分です。

「次世代に伝えたい絵本」も、これからいろいろ取り寄せてのお楽しみです。絵本ベストという順位づけでなく、次世代に伝えたい絵本を選ぶという物差しは、とても大事だと思います。とにかく良し悪しを言いたい人はたくさんいて、権力者もそう言いたい人ばかりです。でもそんな中で、私は私と みんなが言えるようになればいいと思います。

 

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