紙芝居ボランティア(ページ1)(他の語りと比べて)

 紙芝居ボランティア
             2005.8.16 石倉恵子
目次 ( )内はページ

1  紙芝居ボランティアとは (1)
2  他の語りと比べて (1)
3  紙芝居の特徴・問題点とその解決(2)
4  紙芝居の価値 (3)
5  紙芝居を選ぶ(4)
6  プログラムを作る(5) 
7  練習 (6)
8  準備 (6)  
9  本番 (6)
10 紙芝居を作る (7) 
11 紙芝居の歴史とこれから (7)
12 会の運営 (8)
13 学校や園、図書館の現場で (8)

1 紙芝居ボランティアとは

 紙芝居は絵を見せて物語る道具です。寄席芸のようにおはなしを楽しむ場合や、大道芸のように楽しくざっくばらんに情報を届けるときに使えます。
 次に、ボランティアという言葉を考えてみましょう。これには「他の人に貢献することを自分の喜びにする」というような大前提があるように思います。
 人により価値観が違い、年代により紙芝居というものに対するイメージも違います。厳格に分けて考えたりひとつに固定するのは無理があることがわかってきました。けれど紙芝居本来の形を学び歴史の流れを引き寄せてそれに乗れば、多くの人が受け入れやすい形になっていきます。
歩行者天国のスクランブル交差点で人々が行き交う様子を心に思い描いてみてください。人々がその交差するところでわずかな時間立ち止まって、空中に浮かんでいる絵を楽しみ、また四方に散っていく。少し違和感があってもわずかな時間で、枠の中に収まっているのでなんとなく許せる。紙芝居はそこにふさわしく、それを動かすのが紙芝居ボランティアだと思っています。

2 他の語りと比べて

① 集団相手の絵本の読み聞かせと比べて
紙芝居は舞台を使うことにより、「覗く」「飛び出す」感じが大きくなります。紙芝居は一枚の中で一場面が展開しますが、絵本は一見開きの中に数場面に絵が別れる場合もあり、それが原因と結果の場面にあたることもあり、受ける人が自分で場面を探すことになります。
絵本はもともと個人で楽しむために作られたものですが、紙芝居は人が引き抜き語りかけ相手のために形にしていきます。絵本の読み聞かせは、集団に対して一度聞かせただけでも分かりやすくて遠目がきく本を探し出し、紙芝居的利用法で使っているのです。絵本を紙芝居に作り変えるのは、絵が進む方向が絵本と紙芝居舞台は逆の場合が多く、著作権問題もあります。

② ストーリーテリングと比べて
昔語りでは聞き手が「さんすけ」などと合いの手を入れさえしたそうです。実際に返事の声が聞こえなくても、紙芝居はそれと同じく、合いの手を待つように聞き手の気持ちを常に確かめようとする感覚があります。聞き手を見て感じ、聞き手から学びながら語り、それは無言のうちに対話しているのです。瞽女の語りでは三味線、講談師は扇子で、そして街頭紙芝居のおじさんは太鼓を鳴らして、間を取り、合いの手の代りにしたように思えるのですが、今の図書館のストーリーテリングはどうでしょうか。
また、紙芝居は絵があるので、おはなしの雰囲気をつかむことの他に、絵の雰囲気に合わせる必要があります。例えば軽妙な絵に重々しい語りは合わせません。

③ 演劇や朗読と比べて
 やはり絵があるということに注目したいものです。紙芝居は動かない絵が動いているように語ります。演じ手は黒子でしかなく、また黒子としてしっかり存在します。具体的には、絵と自分の割合を8対2位と考えて演じると、見る人は5対5位に感じるようです。絵に描かれた人の表情や遠近の感じを声や間で表現するので、練習するときも反省するときも絵に対応させたかが焦点です。録音しても反省するときに絵を見ないと、勘違いしたり、派手な声色・語り口のみに執着し技比べになり、絵や聞き手を置き去りにしやすいのです。紙芝居は朗読や演劇の一部分でなくそれぞれ別のジャンルであり少しづつ重なったところがあると認識し、紙芝居独自の視点に立ち、誰かを手本にするというより自分を大切にして伸ばす感覚を持ちましょう。
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