上北沢暗室雑記帳

写真に関するよしなしごとを

新鋭展 山田省吾「影の栞」正岡絵理子「目の前の川で漕ぐ」奈良市写真美術館

2023年07月04日 22時27分50秒 | 写真展



 6月初めの帰省予定が台風2号で新幹線が動かず、この週末に日延べしたら、奈良市写真美術館の企画展がちょうど入れ替わっていた。くしくも初日で、出展作家二人と百々俊二もと館長のギャラリートークが聞けた。百々もと館長が企画する最後の新鋭展。45年間写真の教鞭をとって来て、3千人からの教え子の中の十指に入るお二人だとか。
 山田の展示作はこれまでの集大成で、もうこれが最後のような語り口に会場から笑いが。ビジュアルアーツ卒業後のインド、パリフォト滞在中の短期決戦でまとめたパリ、そして大阪。黒の効いた大量のストリートスナップ群に圧倒される。カラーも少しあるのは、やはり展示より、後に残る写真集作りをと考え、一定のペースで出版していくにはデジタルでないと回らないから。近作は、モノクロもデジタルから変換、とのこと。スナップで作家として生計を立てるのはやはり難しくて、期間工とか米の配達とかしながら作品作りをしてきたそう。
 正岡は、2016年の東川のポートフォリオオーデイションのグランプリ作品と、近年の家庭でのスナップ。結婚し、子を産み、夫とともにドイツへ、フランスへ、また子が生まれ、離婚して、の日常非日常。一眼レフを肩から下げて子供と出かけるのは、カメラが子供に当たるので無理。には大共感。私もよく息子に叱られた。それでスマホのスナップ作品。普段自分がパチパチと子供を撮るのとどこが違うのか何が違うのか、じっくり眺める時間がその日はなくてもったいなかった。
 長年撮り続けていけば誰しもひとかどのものができるもの、との百々もと館長の言は、一瞬嬉しい気分にさせられつつも、拙作の羅列が果たしてそのようなものかとすぐに思い至った。


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