■コロナ経済支援打ち切りの狙いは中小企業の淘汰!
デービッド・アトキンソン氏「中小は消えてもらうしかない」発言を現実化
エキサイトニュース(2020年12月11日)
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_litera_11405/
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今回の追加経済対策でもっとも菅首相の「自助」思想が全開となっているのが、国民の生活を支えるさまざまな支援策の打ち切り、要件の厳格化だ。
たとえば、「雇用調整助成金」の特例措置は〈来年2月末まで延長のうえ、3月以降、段階的に縮減〉と明言。
「延長」といえば聞こえはいいが、実態はコロナ感染拡大がつづくと予想される時期で縮小させるということ。
さらに、今回の追加経済対策では「持続化給付金」と「家賃支援給付金」についての言及はなく、来年1月に終了する。
また、実質無利子・無担保の融資についても来年3月末までの延長が発表され、それ以降は新たな融資制度が設けるというが、日本経済新聞にはこんなことが書かれていた。
〈民間の金融機関を通じた実質無利子・無担保の融資制度は21年度からは条件を厳しくする。政府は金融機関による融資を保証しつつ、融資先の企業が健全な経営体制かどうかを監視する仕組みにする。〉(日本経済新聞8日付)
帝国データバンクによると、11月に全国で倒産した企業数は563件。
じつはこの数字、11月としては民事再生法が施行された2000年以降でもっとも少ないものだ。
その要因を、帝国データバンクでは〈実質無利子無担保の融資や雇用調整助成金などの資金繰り支援策で倒産が少なくなっている〉と分析している(NHKニュース8日付)。
逆にいえば、支援策の打ち切りや融資条件の厳格化によって、倒産件数が増加することは目に見えているのだ。
実際、東京商工リサーチが10月に公開した倒産状況の分析では、〈全体では倒産は落ち着いているが、零細企業では倒産や廃業が増えている。倒産がより規模の大きい企業にも広がり、増勢をたどる可能性が高まるなかで、次の支援の一手をどうするかが重要になっている〉と指摘。
また、全国労働組合総連合も「雇用調整助成金」の特例措置について「措置が終われば、解雇や雇い止めが広がりかねない」と懸念を示している(東京新聞11月16日付)。
現在の感染拡大の状況から考えても、とりわけ中小・零細企業が大打撃を受けることは必至で、春以降の手厚い支援が必要なのははっきりとしている。
にもかかわらず、菅首相は倒産・廃業や解雇、雇い止めを止めるための支援策を打ち出そうとはしないのだ。
しかも、これはたんに菅首相が支援をケチっているというような問題ではない。
むしろ、支援を打ち切って中小企業の淘汰をおこなうことこそが菅首相の狙いなのだ。
現に「持続化給付金」は、10月26日に開かれた財政制度等審議会の歳出改革部会で「事業が振るわない企業の長い延命に懸念する」「人材の流動化やM&A(合併・買収)が阻害され、経済成長につながらない」などという意見が噴出し、予定通り来年1月までで終了すべきという意見が大勢を占めたといい(日本経済新聞10月26日付)、会合後に部会長代理である土居丈朗・慶應義塾大学教授もこう述べていた。
「期限をずるずると先延ばしすると、本来はよりよく新陳代謝が促される機会が奪われてしまう」
新型コロナという未曾有の“災害”の影響を受け、生活苦や先行き不安で自殺者が増加するなかで、その国民の生活を守るための支援策を「新陳代謝が促される機会が奪われてしまう」と口にする──。
土居教授といえば、政府税制調査会でも、コロナによる景気悪化のために減税措置をとるべきという意見が高まるなかで「消費減税をすることによって格差拡大を助長するということをまず国民にしっかりと訴えるべき」などというトンデモ発言をおこなった人物だが、この「新陳代謝」発言にも新自由主義的な弱者切り捨ての思想がありありと見える。
だが、この財政制度等審議会による「持続化給付金」打ち切りの提言を政府が採用するかどうかは「不透明」だとされていた。
“来年に衆院選を控えるなかで打ち切りは困難”というのがその理由だ(「日経ビジネス」11月9日号)。
しかし、菅首相はこの提言を受け入れ、「持続化給付金」打ち切りを決めた。
菅首相は政権維持のため衆院選に神経を尖らせていると言われているが、その衆院選に悪影響をおよぼしかねないにもかかわらず、だ。
さらに、前述したように、菅首相は「持続化給付金」打ち切りのみならず、企業倒産を防ぐために設けた「家賃支援給付金」の打ち切りや実質無利子・無担保融資の条件厳格化を決めたが、これも、菅首相が「心酔」していると言われる、例のあの人物の“教え”が頭にあるからだろう。
その人物とは、竹中平蔵氏と並ぶ菅首相のブレーンで、「成長戦略会議」のメンバーにも選ばれた、小西美術工藝社社長であるデービッド・アトキンソン氏。
アトキンソン氏はゴールドマン・サックス証券の元アナリストだが、菅首相の入れ込みようは相当で、講演では「私はアトキンソンさんの言うとおりにやっている」と発言しているほど(朝日新聞9月19日付)。
そのアトキンソン氏の主張こそが、“中小企業の淘汰”なのだ。
アトキンソン氏といえば“最低賃金の引き上げをおこなうべき”という主張で知られ、格差是正や貧困問題の観点からもその主張に肯首しそうになるものだ。
しかし、アトキンソン氏の主眼は、最低賃金の引き上げによって中小企業を淘汰することにある。
たとえば、アトキンソン氏はこんな発言をおこなっている。
「人口減少の観点からして、小規模事業者の中でも中堅企業にはならない、なろうとしない、慢性的な赤字企業はただの寄生虫ですから、退場してもらったほうがいい」「中小企業は、小さいこと自体が問題。ですから、中小企業を成長させたり再編したりして、器を大きくすることをまず考えるべきです。それができない中小企業は、どうすべきか。誤解を恐れずに言うと、消えてもらうしかありません」(「プレジデント」5月29日号)
雇用を守ることを最優先すべきこのコロナ禍にあって「ただの寄生虫」「消えてもらうしかない」と言い切ることには背筋が凍るが、恐ろしいことに、菅首相はこうしたアトキンソン氏の考えを政策に反映させ、実行に移そうとしているのだ。
実際、閣議決定された追加経済対策のなかの中小企業の支援策は、事業転換が条件。
わざわざ〈淘汰を目的とするものではない〉と記しているが、体力がないなかでの事業転換は容易なものではなく、〈人材やノウハウの乏しい中小が取り残される懸念がある〉という指摘も出ている(毎日新聞9日付)。
さらに、アトキンソン氏は観光業こそが日本の成長戦略を担うという考えであり、菅首相が官房長官時代の昨年末、「日本各地に世界レベルのホテルを50カ所程度新設する」と言い出した際も、安倍官邸では「アトキンソン案件」と呼ばれていた(前出・朝日新聞9月19日付)。
菅首相が感染拡大中でも固執しつづけ、中小企業の支援策を軒並み打ち切り決定する一方で来年6月までの延長を決めて3000億円もの追加予算をつけようとしている「GoToトラベル」も、ある意味「アトキンソン案件」とも言えるものだが、さらに追加経済対策では〈インバウンドの段階的回復に向けた取組を進める〉とまで明言している。
国内の医療提供・検査体制が危機的状況で、欧米でも感染拡大に歯止めがきかない状態にあるというのに、肝心の感染拡大防止策にわずかな予算しか付けないばかりか、まるで現実味のないインバウンドに力を入れる──。
もはや支離滅裂と言うほかないだろう。
繰り返すが、コロナの影響による生活苦で自殺者が増加するなかで、最優先すべきは国民の暮らしと命を守ることだ。
だが、菅首相が打ち出した経済対策は、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」と銘打ちながら、その実態は中小企業の倒産・廃業、解雇、雇い止めを推進しようという「国民を絶望に追い込むための経済対策」でしかないのである。
菅首相のこの恐ろしい狙いに、国民は気づかなくてはならない。
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菅首相のコロナ経済支援打ち切りの狙いは中小企業の淘汰!
ブレーンの「中小は消えてもらうしかない」発言を現実化
エキサイトニュース(2020年12月11日)
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_litera_11405/
■賃上げ税制:制度が利用できるのはごく一握りの好業績・優良企業
NRI 野村総合研究所 2021/12/8 木内登英
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/1208
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・大幅に引き上げられる賃上げ税制の控除率
12月10日にまとめられる予定の2022年度与野党税制改正大綱の議論が、大詰めを迎えている。
その最大の注目点は、企業の賃上げを促す「賃上げ税制」の強化である。
現在の制度のもとでは、大企業が新規採用者への給与支払い分を前年度比2%以上増やした場合に、その増加分に対して法人税が15%控除される。
中小企業については、給与の支払総額を1.5%以上増やせば増加分の15%が控除される。
さらに教育訓練費を一定額以上増やすと大企業では5%、中小企業では10%の控除率が、それぞれ上乗せされる。
最大の控除率は、大企業で20%、中小企業で25%である。
この制度が修正、拡充される。
大企業については、前年度から継続雇用している従業員に対象を改め、賃上げ率の条件も「2%以上」から「3%以上」へ引き上げる方向で議論が進んでいる。
一方で、賃金を4%以上増やした上に社員教育を充実させると、控除率は最大で30%となる。
中小企業については、控除率を最大40%とする見通しだ。
「賃上げ税制」は、3%の賃上げ目標を掲げた安倍政権が2013年に導入したが、期待された効果はあげられなかった。
その制度を強化するだけで、賃上げを促す効果が果たしてどれほどあるのか疑問、との声に応えるかのように、議論が進む中で控除率がどんどん引き上げられていき、大盤振る舞いとなった印象である。
規模の大きさを求める声が高まる中、過去最大規模にまで膨れ上がっていった先般の経済対策と似た構図だ。
・制度が利用できるのはごく一握りの好業績・優良企業
税制面からの強いインセンティブが与えられることで、企業の賃上げが促されることが全くないとは言わないが、目立った効果はあげられないのではないか。
企業にとって税優遇の効果は一時的である一方、ひとたび基本給を引き上げれば、それは容易には引き下げられず、経営環境によっては収益を圧迫しかねない大きな負担となるからだ。
将来の成長期待が乏しい中、一時的な税優遇だけで、企業が大幅な賃上げを決めるとは考えにくいところである。
こうした小手先の政策ではなく、企業の成長期待を高める政策を進めることこそが、企業に賃上げを促す最良の策であり王道なのではないか。
ところで、企業にとって一人当たりの賃金支払いの増加率は、定期昇給分を除くベースアップ率に近いものとなる。
仮に新卒採用者と定年退職者の数が等しく、雇用者数が一定の場合、年功序列の定期昇給分は、一人当たり平均賃金支払いの上昇にはつながらないからだ。
そしてそのベースアップ率は、安倍政権の下でのピークでも+0.4%台半ばにとどまった。
さらに、新型コロナウイルス問題によって、2021年にはほぼゼロ近傍まで低下した。
そのベースアップ率に近い一人当たり現金給与総額の所定内賃金(毎月勤労統計)は、昨年は前年比+0.2%、今年は最新10月の値で前年同月比-0.2%である。
これが企業の賃上げの平均的な姿である。
+3%、+4%の賃上げができる企業は、相当業績が良く、また将来の売り上げ増加期待が強い、ごく一握りの優良企業であるはずだ。
そうした優良企業が最大40%の税控除を受ける一方、厳しい経営環境で賃上げが実施できない多数の企業は、税控除を受けることができない。
これは、企業の収益格差をさらに拡大させてしまうことになるだろう。
コロナ禍によって、企業間の業績の格差はかなり広がった。
これを縮小させることが短期的には求められる中で、「賃上げ税制」の強化は逆に格差を一段と拡大させる方向に働く、という大きな問題を抱えているのではないか。
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賃上げ税制:制度が利用できるのはごく一握りの好業績・優良企業
NRI 野村総合研究所 2021/12/8 木内登英
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/1208
■国民への給付金は遅滞も…自民党、議員に1人200万円の即時振り込み
2020年6月12日 NEWSポストセブン
https://www.news-postseven.com/archives/20200612_1569947.html?DETAIL
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経済活動が長期にわたってストップし、多くの国民が生活苦に直面するなかで行なわれていたのは、予算流用だけではない。
なんと、身内である自民党議員たちに対しては、“極めてすみやかな支援”が行なわれていたのだ。
全国民に一律10万円を配る「特別定額給付金」の支給が、遅れに遅れている。
オンライン申請のトラブルが相次いでおり、手元に届いた申請書を返送してもいまだ受給できていないケースが大半というのが現状だ。
高市早苗・総務相は5月29日の会見で、「全体の99.9%にあたる1740団体(市区町村)が給付を開始した」と胸を張ったが、実際に給付された世帯はわずか28%(6月5日時点)。
収入が大きく減った中小企業に最大200万円(個人事業主は同100万円)を支給する「持続化給付金」も、「書類を送っては何度も“不備がある”と突き返され、不備の内容を問い合わせようにも電話が何時間もつながらない」(都内の個人事業主)といった悲鳴が相次いでいる。
「必要な方に支援を一日も早くお届けできるよう、全力を尽くします」──5月25日、緊急事態宣言解除の会見で安倍晋三・首相が述べた言葉を信じている人は、もういないだろう。
ところが、である。
総理会見の翌26日、衆参の自民党議員にはいち早く「給付金」が届けられていたのだ。
それも1人あたり200万円の大盤振る舞いだ。
「5月26日に党本部から各政党支部に200万円の支部交付金が振り込まれた。通常の支部交付金は年6回に分けて総額1200万円が配られるが、今回はそれとは別枠の臨時の活動費という説明だった」(自民党ベテラン秘書)
・歳費は減らしたけど……
自民党が配った支部交付金の原資は政党交付金。
国民一人あたり250円の「税金」から捻出されたカネである。
年に一度の使途報告は義務づけられているものの、事務所賃料から人件費、政治活動費としての飲食代(会合費)まで使途に制限はない。
政治家が自身の政治団体(資金管理団体)に寄付することも可能な非課税の収入である。
国民が各種給付金の複雑な手続きに悪戦苦闘している間に、こっそり「申請不要、即時振り込み」の支給がなされていたわけだ。
新型コロナ対策で、国会議員の歳費は2割削減(5月から1年間。
月に約26万円減額)されていたが、結局は政治資金でしっかり補填されており、「身を切るフリ」でしかなかったことがよくわかる。
感染拡大によって自民党議員は地元入り自粛が通達され、議員会館と宿舎を往復する生活が続く。
「支持率も下がっているから、地元活動に励めということだろう」(同前)と受け止められているのだ。
この交付金について、自民党本部に質すと、「日常の支部の政治活動のために、年4回の定期支給分を含め、通例年6回支給している交付金のうちの一つ」「その年によって支給日がずれることがあります」との回答があった。
国から各党への政党交付金の振込は4月、7月、10月、12月の年4回。
自民党ではそれに合わせた各支部への「年4回の定期支給」があり、それ以外の2回の支給は、過去の使途報告を見るとほとんどの年で6月と12月に行なわれている。
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国民への給付金は遅滞も…自民党、議員に1人200万円の即時振り込み
2020年6月12日 NEWSポストセブン
https://www.news-postseven.com/archives/20200612_1569947.html?DETAIL
■アベノミクスで経済が破壊されても真相は報じられない理由
日刊ゲンダイ 2015/05/03
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159524
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黒田日銀による「異次元の金融緩和」がスタートしてから2年が過ぎたが、どの世論調査を見ても「景気回復の実感がない」が8割に達している。
日銀は通貨供給量を150兆円から300兆円へ膨らませたが、実際に世の中に出回るカネは60兆円しか増えていない。
カネやモノの流れは生まれず、デフレ不況はビクとも動かない。
もはや、アベノミクスが失敗に終わったことは、ハッキリしている。
庶民生活は苦しくなる一方だ。
急激な円安は輸入コスト増をもたらし、中小企業を直撃。
労働者の実質賃金は23カ月連続マイナスがつづいている。
ところが、これだけ日本経済がガタガタに破壊されているのに、どういうわけか大手メディアは真相を伝えようとしない。
その理由は明らかだ。
ボロ儲けしている連中がアベノミクスの継続を望み、大手メディアがそのおこぼれにあずかっているからだ。
「この2年間で株価は2倍になり、円安によって自動車などの輸出企業は空前の好決算を記録しています。大手メディアは、そうしたエスタブリッシュメントとばかり付き合っている。彼らの言うことをうのみにしてアベノミクスを評価している。なにより、アベノミクスで潤う大企業は、大手メディアにとっては広告スポンサーです。スポンサーが儲かれば広告収入も増える。アベノミクスの失敗を伝えようとしないのは当たり前です」(民間シンクタンク研究員)
筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)はこう言う。
「一昔前のメディアは、大企業よりも中小企業、経営者よりも労働者の立場に立っていました。でも、最近は常に経営側に立っている。安倍政権が“残業代ゼロ法案”など、労働者を苦しめる政策を進めても強く反対しない。大企業さえ儲かっていればいいと思っているとしか考えられません」
かくして、アベノミクスでは景気は回復しないという正常な見方は、巨大メディアの手によって潰されている。
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アベノミクスで経済が破壊されても真相は報じられない理由
日刊ゲンダイ 2015/05/03
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159524
■「お金がないときこそ、子どもに金を使えば…」明石市長が国会で訴え、SNSで「泣きそう」と話題に。その“子ども支援策”とは
BuzzFeed News(バズフィード)2022年6月8日
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/akashi-child-support
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子どもの数が過去最少の81万人となり、出生率も上がらない。
このまま進めば「日本が存在しなくなる」という声もあがるほど少子化が止まらないなか、国にはどのような具体策が求められているのか。
子ども政策に注力し、出生率の改善と人口増加を達成しているという明石市の泉房穂市長が「こども家庭庁」に関する参考人として国会に呼ばれ、述べた内容がSNS上で90万回以上再生されるなど、話題を呼んでいる。
「とても熱い」「泣きそうになる」「政府には動いてほしい」「未来ある子どもに投資しないと」などの声も寄せられている。
いったい、どのようなことを語ったのか。
「日本は少子化の加速や、経済の停滞と言われておりますが、その原因のひとつは私たちの社会が子どもに冷たすぎるのではないかと思えてなりません。子どもを本気で応援すれば、人口減少の問題に歯止めをかけられますし、経済も良くなっていくと考えております」
2011年から同市の市長を務めている泉氏は、6月7日の参議院内閣委員会に「こども家庭庁」に関する参考人として呼ばれ、陳述の冒頭、そのように強調した。
明石市は人口が9年続けて増え、出生率も2018年に1.70と、全国平均(同年)の1.42よりも高い。
同市の目玉政策は「5つの無料化」。
所得制限なしに
(1)高校3年生までの医療科無料
(2)第2子以降の保育料の完全無料化
(3)1歳までおむつやミルクや子育て用品を毎月配送
(4)中学校の給食費無料化
(5)プールや博物館など公共施設の入場料無料化ーーを行っている。
このほか、子ども園や子ども食堂や病児保育の整備、児童相談所の強化と運用改善、子ども担当部署の「3倍以上」の増員などにも注力。
コロナ禍における給付型の奨学金制度や、ひとり親をめぐる給付の上乗せ、各種学校における生理用品の設置、少人数学級化などの施策も進めているという。
「自慢できることではありません。世界でのグローバルスタンダードが、日本だけやっていない施策ばかりなんです。これらの施策を、ぜひ国でもやっていただきたいと思います」
そう訴えた泉市長がなかでも強調したのは、子育て関連給付の「所得制限」をめぐる問題だ。
同市では一切の所得制限を設けていないという。
10万円給付や児童手当における制限は、働く親を中心にか判の声が相次いであがっていた。
「全ての子どもたちへの支援をお願いしたい。ひとつ制限をしたら予算は減ります。少ないお金で来ます。でも効果は薄いです。そうではなくて、所得制限をしない方がむしろ出生率も上がり、経済も良くなるんです。お金はかかりますけど、より効果が大きいんです。大事なのはせこいお金じゃなくて、思い切った本気の支援策だと思えてなりません」
・「子どもの未来は私たち自身の未来」
こうした施策を続けるなかで、明石市では、結果として市民の住みやすさなどが向上し、人口減が下げ止まって9年連続の過去最高を更新。
出生率も上昇しているという。
泉市長は子ども政策が結果として地域経済の活性化につながり、税収増や借金返済など、行政の財政健全化に結びついたとして、改めてこう訴えた。
「お金がないからせこいことするんじゃなくて、お金がないときこそ子どもに金を使うんです。そうすると地域経済が回り始めて、お金が回り始める。明石では子どものみならず、高齢者、障害者、犯罪被害者やLGBTQ+についても全国初の施策が展開できております。お金ができてきたので、子どもだけじゃなくて、みんなに優しいまちがつくれたということだと理解をしております」
「こういったことをするには、まずは発想の転換が必要です。子どもを応援するのは子どものためだけではありません。私も含めたみんなのための施策という発想の転換が一番大事だと思えてなりません。そして組織の連携、予算の倍増、人の育成、地域の協力も必要です」
そのうえで、国でも「こども家庭庁」で関係省庁の連携強化を進めるとともに、人材育成や予算の増強、国と地方の「横の連携」や財源が必要であると強調。こう訴えた。
「全ての子どもたちを、町のみんなで本気で応援すれば、町のみんなが幸せになる。本気で子どもの応援をするんです。そのことがまさに国民みんなのためだということが、大変重要だと思っています」
「子どもを応援すれば、みんな幸せなんです。子どもや子どもの親だけじゃなく、お年を召した方も、幅広いみんなにとって、私たちの社会にとっていいことなんだという発想の転換をぜひお願いしたい。子どもの未来は私たち自身の未来であり、子どもの未来は日本社会の未来だと、本気で考えております」
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「お金がないときこそ、子どもに金を使えば…」明石市長が国会で訴え、SNSで「泣きそう」と話題に。その“子ども支援策”とは
BuzzFeed News(バズフィード)2022年6月8日
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/akashi-child-support
■バイデン氏、200兆円の追加経済対策案 富裕層に増税
朝日新聞 2021年4月28日
https://www.asahi.com/articles/ASP4X4QJNP4XUHBI00H.html
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バイデン米大統領は28日、育児や教育支援などを軸とした総額1・8兆ドル(約200兆円)規模の追加経済対策案を示し、米議会に検討を促す。
低所得家庭への給付や幼児・大学教育の計4年間の無償化などを盛り込み、財源1・5兆ドルを富裕層増税でまかなう野心的な内容だ。
ただ、野党共和党の激しい抵抗は必至で、実現は容易ではない。
バイデン氏は28日夜の施政方針演説でもこの案に言及し、空前の財政出動を通じた「大きな政府」への転換を打ち出す。
バイデン氏は、3月末に示した2兆ドル超のインフラ投資案とともに経済政策の「2本柱」と位置づける。
バイデン氏は「未来のため双方が必須だ」と述べていた。
ただ、社会保障給付を中心とするこの案には、インフラ投資案以上に共和党の抵抗が強い。
米政権高官は「早期の児童支援は1ドルあたり7ドル以上の効果が見込める」とのデータを挙げ「将来の競争力を高める上で最高の投資だ」と強調した。
3~4歳の児童教育と2年制の地域大学の無償化のほか、低所得家庭への給付や減税の拡充が柱。
子育てや介護のための12週間の有給家族休暇や、児童への食事補助も盛り込んだ。
富裕層増税で格差是正も目指す。
所得税の最高税率を37%から39・6%に引き上げるほか、富裕投資家のキャピタルゲイン(金融資産の値上がり益)に対する税率も、現在の約2倍の39・6%に引き上げる。
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バイデン氏、200兆円の追加経済対策案 富裕層に増税
朝日新聞 2021年4月28日
https://www.asahi.com/articles/ASP4X4QJNP4XUHBI00H.html
■米、教育支援に108兆円 バイデン大統領が表明 幼児向け無償化、保育も拡充
産経新聞 2021/4/28
https://www.sankei.com/article/20210428-BXWIYBPEAJNXZGYTM3MZ4SXIRQ/
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バイデン米政権は28日、幼児教育の無償化や保育制度の拡充を柱とする計約1兆ドル(約108兆円)の教育支援策を発表した。
将来世代への投資と位置づけ、中間層や低所得層の育児環境の改善に力を入れるとしている。
2兆ドル超のインフラ投資計画に続く成長戦略の「第2弾」で、主に富裕層への増税で財源をまかなう方針を示した。
「米国の家族のための計画」と銘打ち、バイデン米大統領が28日夜の施政方針演説で説明する。
約1兆ドルの支出に加え、子育て世代への約8千億ドルの税額控除を盛り込み、総額1兆8千億ドル程度の支援策となる。
ホワイトハウスの発表では、3~4歳児向けの幼稚園前教育の無償化と、地域の高等教育機関「コミュニティーカレッジ」の2年間の学費を無料にするため、計約3千億ドルを充てる。
子育て世代の労働者を支えるため、2250億ドルを投じて保育・託児施設を拡充。
中間層や低所得層による費用負担の低減も図る。
財源に充てるための富裕層向けの課税強化に、株式売却益にかけるキャピタルゲイン課税の最高税率を39・6%へ引き上げることを盛り込む。
所得税の最高税率も「トランプ減税」前の39・6%に戻す。
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米、教育支援に108兆円 バイデン大統領が表明 幼児向け無償化、保育も拡充
産経新聞 2021/4/28
https://www.sankei.com/article/20210428-BXWIYBPEAJNXZGYTM3MZ4SXIRQ/
■米、毎月定額の「子ども手当」 税額控除制度を活用
「ベーシックインカム」に類似 7月から1人最大300ドル
日本経済新聞 2021年5月19日
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72022570Y1A510C2FF8000/
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バイデン米政権は、最低限の所得をあらゆる家庭に保障する「ベーシックインカム」に似た制度づくりを進めている。
3月に2021年に限って拡充を決めた子育て世帯に対する税額控除を使い、7月から毎月一定額を対象家庭に給付する。
「およそ3900万世帯、全米の子供の88%が対象になる」。
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米、毎月定額の「子ども手当」 税額控除制度を活用「ベーシックインカム」に類似 7月から1人最大300ドル
日本経済新聞 2021年5月19日
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72022570Y1A510C2FF8000/
■米国経済、早くもコロナ脱出で好景気真っただ中…政府、日本と真逆の大胆&迅速な対応
Business Journal(ビジネスジャーナル) 2021.05.13
https://biz-journal.jp/2021/05/post_225585.html
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4月25日に、東京・大阪・京都・兵庫の4都府県で緊急事態宣言が発令されました。
その他の地域でもまん延防止等重点措置が適用されているところがあり、飲食業や観光業にとっては大きな打撃です。
コロナ禍で昨年は景気が大幅に悪化しましたが、今年も変異種の感染拡大で、景気回復には時間がかかりそうです。
ところが、海外に目を転じると、すでに“好景気”となっている国もあります。
IMF(国際通貨基金)の4月時点での予想によると、2021年のアメリカのGDP(国内総生産)の成長率は6.4%となっています。
昨年のマイナス成長(▲3.5%)から回復しているのはもちろん、コロナ前の4年間(2016-2019年)の平均(2.3%)と比べてもかなり高い数値です。
中国も2021年は8.4%と高い予想です。
ヨーロッパや日本も、その国の平均と比べると高い予想となっていますが、最近の変異種による感染拡大を踏まえると、下方修正が懸念されます。
アメリカではコロナ禍による景気低迷はすでに過去のものとなっていて、今は好景気の真っただ中です。
3月には供給管理協会(ISM)が調査している製造業景気指数が37年ぶりの高い数値になりました。
半導体を中心に部品や原材料の需給がひっ迫し、価格が上昇しています。
3月の消費者物価の上昇率は8年ぶりの高水準となりました。
昨年に15%近くまで上昇した失業率も、今年の2月には6.2%と半減しています。
景気が良すぎてインフレが心配されているなんて、日本にいるとにわかには信じられないのですが。
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米国経済、早くもコロナ脱出で好景気真っただ中…政府、日本と真逆の大胆&迅速な対応
Business Journal(ビジネスジャーナル) 2021.05.13
https://biz-journal.jp/2021/05/post_225585.html
■欧米各国はコロナ禍で手厚い給付金 10万円+マスク2枚だけとは歴然の差
長周新聞 2021年6月8日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/21124
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新型コロナウイルスが全世界で猛威を振るい始めて2年目に入っている。
昨年末からのワクチン接種開始で欧米ではコロナ禍からの出口が見えてきた国もあるなかで、日本ではまだまだ出口は見えず、緊急事態宣言延長で自粛や休業要請が続き、どうやって生活を維持し、事業を継続していけばいいのか途方に暮れる声が巷には溢れている。
1年目はなんとか耐えしのいだものの、2年目に入って行く先が見えずやむなく店を閉めたという事例も多い。
失業したり収入が大きく減少するなかで自殺者が増大している。
生活保護申請もリーマン・ショック以来11年ぶりに増えている。
菅首相は就任当初から「自助、共助、公助」を掲げてきたが、コロナ禍という非常事態下においても「自助・自粛」を強いるばかりで公的な支援・救済策はゼロに等しい。コロナ禍における公的な支援策、救済策を欧米をはじめ世界各国と比較してみた。
・アメリカの場合 給付金は3回で35万円超
感染者数、死者数とも世界最大のアメリカでは日本の定額給付金にあたる直接給付を3回実施している。
1回目は2020年4月で、確定申告の年収が独身者7万5000㌦以下、夫婦の場合は合計で15万ドル以下であれば、大人一人当り1200ドル(約13万2000円)、未成年者(17歳以下)に500ドル(約5万5000円)が支給された。
2回目は2020年12月で、成人・非成人ともに一人当り600ドル(約6万6000円)。
3回目は今年3月で、給付条件は1回目とほぼ同じで成人・非成人ともに1400ドル(15万4000円)が給付された。
給付総額は成人で一人当り3200ドル(約35万2000円)となっている。
第1回目の大型支援策は、新型コロナウイルス経済救済法として2020年3月に成立し、史上最高額の2兆ドル(約220兆円)を投入した。
直接給付のほかに失業者への失業保険も増額した。
コロナ禍で世界恐慌以来の雇用危機に陥ったアメリカでは、失業保険として従来の支払い額に毎週600ドル(約6万6000円)が一律に加算された。
平均的な働き手は就業時よりも収入が増えることになったケースもある。
また、通常は失業保険を申請できない個人事業主(フリーランス、自営業、個人請負業者)にも失業保険が適用された。
2020年2月2日~12月31日の期間で、最長39週間まで給付金を受けることができた。
失業保険には総額2500億ドル(約27兆円)が投じられた。
中小企業救済策としては3500億㌦(約37・6兆円)を融資し、雇用を維持すれば返済不要とした。
従業員の給与、賃料、保険、公共料金等の支払いのために一事業者当り最大1000万㌦のローンを提供した。
中小企業が事業と雇用を維持すれば、年1%の利払いだけで元本の返済が必要ない融資を2年間受けることができる。
返済免除となる対象の内訳の一部は、給与、健康保険、年金プラン、退職金、給与税、オフィス賃料、電気・ガスなどの光熱費など。
企業が支払う給与などを事実上政府が肩代わりするシステムで、融資の形をとった実質的な補償措置だ。
従業員数500人以下の企業や個人事業主・自営業者、宿泊・外食サービス業で従業員が500人未満の企業等が対象となる。
今年1月に登場したバイデン政府は、3月にコロナ禍で打撃を受けた国民への支援を目的として1兆9000億ドル(約200兆円)規模の新型コロナウイルス経済対策法を成立させた。
3月から一人最大1400ドル(約15万4000円)の支給を開始し、週300ドル(約3万3000円)の失業保険の追加給付期間を9月6日まで延長させる。
州政府や自治体には3500億ドル(約38兆5000億円)、学校には1300億ドル(約14兆3000億円)を支給する。
また、影響の大きい飲食店向けには3兆円規模の経済支援策を発表した。
従業員の給与の支払いや家賃の補填などにあてられる。
現金給付の総額は4000億ドル(約44兆円)規模、失業給付の特例加算も2000億ドル(22兆円)規模の追加財政出動になる。
また、子育て世帯への1000億ドル(約11兆円)規模の税制優遇措置も加えると、家計支援は1兆ドル(約110兆円)弱となっている。
・ヨーロッパ 国が従業員の給料補償
イギリスでは、今年1月に3度目のロックダウンを実施し、飲食店や生活必需品以外を扱う店舗は営業停止、不要不急の外出も禁止された。
同時に昨年末からワクチン接種を開始し、今月1日には死者ゼロとなった。
これは昨年7月以来のことだ。
ロックダウン中は政府は小売や飲食、観光などの企業に対して一店舗当り4000(約56万円)~9000ポンド(約126万円)の支援金を支払った。
従業員の賃金の8割を肩代わりする以前からの制度も4月末まで延長した。
支給は一度きりだが、月額で最大42万円の補助や、従業員の給与80%の肩代わり継続はこれらへの上乗せになる。
イギリスでは、昨年3月のロックダウン中には小売・観光・娯楽事業者に対し、一社当り最大2万5000ポンド(約331万円)の助成金が給付された。
このとき全事業者を対象に、休業をよぎなくされる従業員の給与の80%を一人当り月2500ポンド(約33万円)を上限に政府が肩代わりすることを発表した。
予算規模は3500億ポンド(約47兆円)にのぼる。
加えて、低所得者の住宅賃料支払い支援など家計に向けた直接的な支援もうち出している。
フランスでも昨年3月にロックダウンを実施し、食料品店と薬局以外すべての店舗が強制休業となった。
休業した場合、従業員の給料は国が補償し、手取りの84%が休業期間中支給された。
オーナーには所得補償はないが、1500ユーロ(約18万円)の補助金が出た。
加えて月の売上の3倍程度の額の融資が出た。
1年で返済すれば利息なし。
6年以内での返済で、2年目から通常通りの1・5~2%の金利となる。
また、昨年11月末に外出制限や小売店の営業制限は大幅に緩和したが、レストランやカフェは店内での営業が引き続き禁止された。
政府は飲食店やホテルを対象に休ませている従業員の給与の70%を肩代わりする対策を続け、昨年11月末に店の規模や売上の減少幅に応じて最大で20万ユーロ(約2500万円)を支給した。
フランスの経済・財務相は「支援が必要なすべての分野に措置をおこなう意志がある」と表明して以下のような政策を出した。
▼企業が休職する従業員に支払う手当を法定最低賃金の4・5倍を上限に国が100%補填する
▼企業倒産を避けるために設立する連帯基金に2カ月間で約20億ユーロ(約2400億円)を拠出
▼コロナ対策で休業をよぎなくされたレストラン、食品を扱わない小売、観光関連業のうち年間売上高が100万ユーロ?(約1・1億円)に満たない企業に1500ユーロ(約17万5000円)の支援金を即時支給
▼法人向けの新規銀行融資に総額3000億ユーロ(約35兆円)の公的保証を付与。
ドイツでは、従業員が5人までの自営業者・企業には最大9000ユーロ(約105万円)を補助、10人までの企業には最大1万5000ユーロ(約175万円)を補助した。
そのほか、保育設備・学校の閉鎖や労働時間短縮により収入が減った家庭への経済支援もうち出した。
また、仕事が減った従業員について、賃金が減った分の最低60%を国が雇用主を通じて給付する制度を拡充し、支給期間を最大24カ月に延長して、雇用の維持を図った。
昨年11月から営業が禁止されている飲食店などに対しては、前の年の同じ月の売上の最大75%を支給し、今年1月からは賃料など店舗を維持する経費の最大90%を支援している。
カナダでは、売上が3割減少したすべての企業と非営利団体の従業員の給与75%を3カ月補償した。
また収入を失った個人(フリーランス・個人事業主含む)に対して月2000㌦(約15万円)を最長4カ月間給付した。
・世界19カ国が消費税の減税を実施
このほか、日本の消費税にあたる間接税=付加価値税の減税の動きが世界各国であいついでいるのも特徴だ。
昨年7月段階ですでに19カ国が減税措置を実施している。
イギリスでは昨年7月15日から今年1月12日までの半年間、飲食や宿泊、娯楽などの業種に限って付加価値税を20%から5%に引き下げた。
ドイツは昨年6月、付加価値税を昨年末までの期間限定で19%から16%に引き下げ、食品などに適用される軽減税率は7%から5%に引き下げた。
オーストリアは昨年7月から年末まで飲食や出版などの付加価値税を20%から5%に削減した。
ブルガリアも2021年末まで飲食店などの税率を20%から9%に引き下げる。
韓国は年間売上6000万ウォン(約540万円)以下の個人事業主の付加価値税納税を免除した。
ウクライナは文化イベントについて20%から0%に減税、チェコもスポーツや文化イベントで15%から10%に減税している。
このほかベルギー、コロンビア、コスタリカ、キプロス、ギリシャ、ケニア、リトアニア、モルドバ、ノルウェー、トルコ、ポルトガル、中国などが付加価値税減税措置をとっている。
・コロナ対策せぬ日本 GDPも最悪の落込み
こうした各国のコロナ対策とは対照的に日本政府は前の安倍政府時代に一人10万円の定額給付とマスク2枚を配った以外は、国民の手に確実に届いた支援策はないといえる。
ただ財政出動の額だけ見ると、次のような状況だ。
IMF(国際通貨基金)が1月28日に公表した財政報告によると、昨年9月以降の新型コロナに関連した世界各国の経済対策は昨年末時点で総額13兆8750億ドル(約1445兆円)に達した。
大半が先進国による支出で、日本はアメリカの4兆130億ドルについで二番目で2兆2100億ドル規模の財政支出となっている。
しかし内訳を見ると、アメリカが失業給付の拡充や中小企業への融資、現金給付を3回実施しているのに対し、日本はGoToトラベル延長費用がおもで、それも途中で感染拡大の要因になっているとしてうち切られており、国民生活の救済には回らず、大部分は大企業が吸収した結果になっている。
厚生労働省の調査で、2020年度の1年間の生活保護申請件数が22万8081件となり、前年比で2・3%(5039件)増えている。
申請件数増加はリーマン・ショックによる世界金融危機の影響が出た09年度以来11年ぶりのことだ。
同省は、コロナ禍で失業や収入減少となった「働き手世代」の申請や受給が増えたとしている。
申請が急増したのは政府が初めて緊急事態宣言を出した昨年4月で、1カ月で約2万1000件にのぼった。
前年の同月と比べて25%(4287件)増えた。飲食や観光関係の経営者や従業員の申請が目立った。
9月以降は7カ月連続で申請が増加した(対前年比)。
とくに「第三波」により一部の自治体で飲食店への時短要請がおこなわれた12月からは各月約1100~1800件増えた。
生活保護受給世帯は今年3月時点で164万1536世帯(前年同月比6336世帯増)となった。
このうち高齢者や母子世帯などを除いた「その他世帯」が24万7682世帯で、前年同月比で6521世帯増えたのが目立っている。
また、コロナ禍の影響を受けた倒産は6月2日現在で、全国で1553件。
そのうち1億円未満の小規模倒産が876件で56・4%を占め、負債100億円以上の大型倒産は5件(0・3%)にとどまっている。
業種別では「飲食店」(259件)がもっとも多く、「建設・工事業」(150件)、「ホテル・旅館」(90件)、「アパレル小売」(77件)と続いている。
また、厚労省が今年3月に発表した昨年1年間の自殺者数は2万1081人で、前年から912人、率として4%余り増えた。
自殺者が増加するのはリーマン・ショック直後の2009年以来のことだ。
とくに女性の自殺者が7026人で前年より935人、率として15%も増加したことが目立っている。
目立って増えたのが若い世代で、20歳未満が311人で44%、20代が837人で32%増加した。
高校生までの児童・生徒の自殺も過去最多となっている。
こうした数字はかならずしも実態を正確に反映しているとはいえないが、コロナ禍のもとで国民生活が極限的に逼迫している実情を映し出している。
新型コロナウイルスの感染拡大という世界的にも国内的にもこれまで経験したことのない非常事態に直面するなかで、政府が国民の命と安全を守り、安心して生活を送れるように補償するのは当然のことであるし、世界の各国政府はそのために国家財政を大規模に支出している。
日本政府の一人10万円とマスク2枚だけの給付は世界的に見ても異様な対応と受け止められている。
国民生活を困窮のどん底に陥らせている政府のコロナ対策はGDP(国内総生産)も戦後最悪に落ち込ませている。
2021年の1~3月期のGDPは前期より1・3%減少、年率換算では5・1%減少し、リーマン・ショックが起きた08年の3・6%減少も上回った。
大きく落ち込んだ要因は個人消費が1・4%減、設備投資も1・4%減、政府支出は1・8%減と、内需の大幅な落ち込みだ。
日本とは対照的にアメリカの1~3月期のGDPは年率換算で6・4%増となった。
内需の7割を占める個人消費が10・7%増と大幅に伸び、住宅投資も10・8%、設備投資も9・9%伸び、政府の大型経済対策効果が消費に反映している。
国民の生活を安定させ消費購買力を伸ばすことは、国全体の経済成長にも深くかかわっている。
安倍前政府は消費税5%を8%に上げ、さらに10%に上げるなど国民から絞り上げることには熱心だったが、コロナ禍のなかで国民が死活の局面にあっても、国民を救済するために国家財政を支出することはことごとくしぶってきた。
それを継承した菅政府も同様だが、無謀なコロナ禍でのオリンピックなど即座に中止し、その金を国民救済のために回すべきだ。
まずなにより国民の生活を守るために、国民が必要とする十分な生活補償を出すことが差し迫って求められている。
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欧米各国はコロナ禍で手厚い給付金 10万円+マスク2枚だけとは歴然の差
長周新聞 2021年6月8日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/21124
■コロナ禍の今こそ、国民全員に毎月10万・年間120万円の現金給付を行え!
ハーバー・ビジネス・オンライン 2021.01.18
https://hbol.jp/pc/236695/
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・一律現金給付の効果で、GDP押し上げ・失業率低下
新型コロナウイルス感染拡大で、リーマンショック時をはるかに超える大きな打撃を受けている日本経済。
厚労省によれば、2020年1月から2021年1月6日までの失業者数は8万人を超えたとのこと。
さらに、1月8日に発令された2度目の緊急事態宣言で経済の落ち込みは深刻化し、失業数が増えることが危惧されている。
こうした中、2020年2月から何度も政府に対して国民全員への現金給付を求めてきたのが、「日本経済復活の会」会長で、日本ベーシックインカム学会理事の小野盛司氏だ。
同氏は国内で最も歴史が長く信頼性の高い経済シミュレーションツール「日経NEEDS 日本経済モデル」を用い、政府が国民への現金給付を行った場合の経済予測を行っている。
小野氏は「少なくとも日本経済が完全に復活するまで、政府支出で毎月10万円、国民全員に現金給付を行うべきです」と強調する。
「給付が行われなければ、落ち込んだ日本経済は復活しません。もし給付が行われたら、GDPが押し上げられて失業率も低下します」と訴えている。
現金給付の額が多ければ多いほど、日本経済の回復は早くなる
日経NEEDSを用いた経済予測・分析による政策提言を2002年より行い続けてきた小野氏。
コロナ禍を受けて、同氏は「現金給付こそが日本経済の復活のカギである」と、その主張を著書『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』(扶桑社)にまとめた。
「政府からの1人あたりの年間給付額を、40万円(月3.3万円)、80万円(月6.6万円)、120万円(10万円)と、パターンごとにシミュレーションを行いました。その結果は劇的なものでした。2020年の10~12月から給付したと仮定した場合、年40万円のケースでも約1年後の2022年の1~3月には、日本の名目GDPはコロナ以前の日本の名目GDP(約550兆円)まで回復します。年80万円のケースならさらに早く、2021年の4月~6月か7月~9月頃には、コロナ以前の水準まで戻ります。つまり、給付額が多ければ多いほど日本経済の回復は早くなるのです」(小野氏)
・給付が行われなかった場合、経済の落ち込みは長期間にわたる
一方、給付が行われなかった場合、コロナ禍による経済の落ち込みは長期間にわたるという。
「コロナ以前の水準には、今後2年経っても、つまり2023年の1~3月になっても戻らず、日本経済は低迷し続けます」(小野氏)。
失業対策としても、給付金は効果的だ。
個人消費が伸び経済が活性化することによって求人が増えるからである。
「シミュレーションによれば、2021年の1~3月の失業率は3.8%。給付なしの場合では、2年後の2023年1~3月でも失業率は3.4%と深刻です。これに対し、1人あたり年間80万円給付の場合には、2023年の1~3月には、失業率は2.52%まで低下するとの結果を得ています。
年間120万円の場合は、2022年10~12月以降は日経NEEDSでも計算不能ですが、少なくとも給付1年で失業率が大幅に低下することは確実です」(小野氏)
・企業にお金をばらまくよりも、個人に直接ばらまいたほうが効果的
「政府が広く給付金を各個人に配るべき」という小野氏の提案に対して「財源はどうするのか」という指摘は当然あるだろう。
日本政府として財政健全化を目指す中で、特に財務官僚やその影響を受けた政治家やメディアは「ばらまき」に対して批判的だ。
だが、前掲の書籍『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』の共著者である井上智洋・駒澤大学経済学部准教授は「実は、企業に対する『ばらまき』はこれまでも行われ続けてきたのですよね」と指摘する。
「日銀やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、ETF(上場投資信託)を大量に買い入れ、株価をつり上げるということがこの間、ずっと行われているのです」(井上氏)
つまり、政府と日銀は公的資金を用いて日本株を「爆買い」して、支え続けてきたということなのである。
特に日銀の年間ETFの買い入れ限度額は拡大され続け、12兆円にも達している。
企業や株主にばらまくのがOKなら、国民全体に直接ばらまいて生活を支えてもいいのでは?
「日銀などのETF買いを全面否定はしませんが、『生活を守る』という点においては、政府が人々へ給付を行ったほうが有効なのではないかと思います。財源は国債を発行すれば良いでしょう。大量に発行された国債を、いったん民間銀行を介しつつ最終的には日銀が引き受けるということも、この間行われ続けていますから」(井上氏)
コロナ禍は「100年に1度の経済危機」と言われたリーマンショックの倍以上の経済的な損失を日本経済にもたらしていると言われる。
それならば政府としての対策も、それに相応する思い切ったものであるべきだろう。
小野氏や井上氏が求めている国民への継続的な定額給付を、緊急に検討することが必要なのではないか。
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コロナ禍の今こそ、国民全員に毎月10万・年間120万円の現金給付を行え!
ハーバー・ビジネス・オンライン 2021.01.18
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