宮崎日日新聞 「社説」より (7月14日付)
カツオ食卓に支援広げよう
宮城県気仙沼市の気仙沼港で、カツオ一本釣り漁船としては東日本大震災後に全国で初めて
本県の第28一丸(いちまる)(116トン、21人乗り組み)=日南市.南郷漁協所属=が昨日早朝に水揚げした。
既に水揚げした巻き網船より地域経済への波及効果が見込まれるとあって、気仙沼市内は歓迎ムードに包まれた。
震災からの復興に弾みがつくことを祈りたい。
■「海の男」の心意気■
本紙も現地に記者を派遣して、詳報を伝えている。第28一丸は13日午前5時40分に入港。
12番ホームに接岸すると、早速水揚げ作業が始まった。作業の最中、初水揚げを記念してセレモニーがあり、
第28一丸の渡辺明漁労長が「一番に水揚げできてよかった。全国の漁師が気仙沼の一日も早い復興を
願っている」と海の男の心意気を伝えた。
「一番じゃなくちゃだめ」なわけではないが、やはり気分が違う。
気仙沼と縁の深い本県の漁船が他県に先駆けて、カツオ漁の代名詞ともいえる一本釣りのカツオを
水揚げできたことに胸を熱くした県民も多かろう。
1994年、本県の近海カツオ一本釣り漁業の漁獲量は、それまで全国一だった高知県を抜いてトップに躍り出た。
以来、昨年まで17年間連続で日本一。
気仙沼市では、そんな本県のカツオ船団が水揚げにやってくるのを「復興の象徴」として心待ちにしていたという。
カツオ一本釣り漁は2月から始まる。
所属港を拠点に北上するカツオを追い、4月までは南西諸島や沖縄、屋久島周辺で操業する。
5月は北への長い船旅の始まり。6月中旬までは勝浦港(千葉県)、11月までは気仙沼港で水揚げする。
■たゆまぬ努力重ねる■
本県の近海カツオ一本釣り漁業が、長く日本一に君臨している理由は、さまざまな要因が積み重なった結果だ。
燃油高騰や魚価低迷で減船していった他県に比べ、後継者育成に取り組み隻数を維持。
さらに、同漁業の中心を担う日南市の4漁協(大堂津、南郷、栄松、外浦)が陸送による共同出荷体制を
構築するなどたゆまぬ努力もあった。
それでも83年に約120あった経営体は2002年までの20年間で約60%減少。
現在は、日南市の4漁協に近海カツオ一本釣り漁船32隻(20トン以上)が所属する。
本県は11年度一般会計補正予算で、東日本大震災支援対策事業に力を入れている。
「がんばれ宮城!水産業による経済復興支援事業」では5500万円を計上した。
気仙沼市の被災港への水揚げなどに取り組む団体に対して助成する。
苦しい時ほど他人(他地域)を助ける心を失いたくない。
「いざ気仙沼!」と真っ先にはせ参じた漁業者を県民全体でバックアップしよう。
カツオを食卓に載せるように心掛けることも支援の道につながる。
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私は、どちらかといえば、油ののった戻り鰹よりもさっぱりした初鰹のほうが好きです。
皆さんは?