【麻薬】パチンコ依存【癌】

米国政府の調査で麻薬、癌といわれているギャンブル・マシーン。パチンコの問題で調べた事、考えた事を書いていきます。

社会学的アプローチのまとめ

2010年02月10日 | パチンコ

社会学的アプローチの部分の翻訳が終了したので、感想をまとめたい。
これまで多くの調査や研究で判然としなかった問題がだいぶ整理された。

①有効な分析の上に、有効な対策が可能となる。
REMモデルとして示されたような調査が、非常に重要である。
1)投与量(ギャンブル施設の数と規模)
2)有効性(ギャンブルのタイプ)
3)持続期間(設立されて以来の時間)

②レジャーギャンブルには社会的な制度として有効な面もある。
1)日常生活で満たされない成功願望の一時的充足
2)コミュニケーション
3)職業としてギャンブルが捉えられると、反社会的様相を帯びる。

③パチンコ、スロットマシンのようなEGMの危険さ
1)EGMそれ自体が閉鎖的・個人的ギャンブルであり、レジャーギャンブルの持つそれなりの有効性を持っていない。
   1.フロー理論(いわゆるハマリの理論)はハイスキル、ハイチャレンジな領域に有効な理論。
   2.箱積みなどの顕示的演出は、物理的な危険性を伴う店側の演出であって、EGM自体が持つ特性ではない。
2)REMモデルでの毒素としての要素が非常に高いと想定される。
   1.教育の必要性がなく、短期間に大量に多地点に展開可能であること。
   2.青少年サブカルチャーをまぶし、糖衣とすることで大量に摂取可能とすること。
   3.糖衣を変えることで、持続期間を無制限に延長可能であること。

次回より、経済的アプローチの翻訳を続けます。


ギャンブルの動機と関与・・・⑥

2010年02月10日 | パチンコ

地理的な分析

ギャンブルの社会学上の研究は、しばしばギャンブラーの社会的、人口統計的特徴に関心をもちます。
そのような特徴が地理的な場所に配置されるなら、ギャンブルへの異なった関与のパターンと方法が浮かび上がります。
吟味可能な争点は、ギャンブルの可用性がどのようにそのようなパターンに関連するかということです。
ギャンブルの可用性と地理的な場所における社会経済的変数との関連性が予想される理由が、少なくとも3つあります。
まず第一に、ギャンブルは多面的活動であり、そして、ギャンブルの様々な形式の消費者は、特定の人口統計上の、そして、社会経済的な特徴を持っています。
例えば、ビンゴプレーヤーは、伝統的に賃金労働者階級の、より高齢の婦人である傾向があり、同時に、今日のポーカープレーヤーは、若く教養のある男性である傾向があります。
また、頻繁に賭博場を訪れ、スロットマシンをプレイする人は独特の特徴を持っています。
国の人口は、その領土にわたって無秩序には分散しておらず、社会経済的、人口統計的特徴に従って集まる傾向があり、ギャンブル事業家は、利益率を理由として、大きい見込み客基盤がある地域でギャンブル施設を開設し、見込み客が少ない地域を避けることが予想されます。
第二に、西側諸国で一貫して行われたギャンブル依存の普及研究は、問題ギャンブラーが、他の人達と比較して一定の特徴をもっていることを示しています。
例えば、彼らは、より若く、女性よりしばしば男性である傾向があって、教育程度が標準より低く、未婚であり、より少数民族に属する割合が大きいです。
ギャンブルがこれらの特徴を彼らが獲得するように導くことは、明らかにないので、(ギャンブル関連の離婚の結果として未婚であることを除いて)、そのような特徴をもっている人々が、問題ギャンブラーになるというリスクが平均より高いグループを構成するということであるに違いありません。
重度なギャンブル問題をもっている人は、その人の可処分所得の大きな割合をギャンブルに費やします。
ローンと犯罪活動でお金を入手してでも、彼らは可処分所得以上に消費するかもしれません。
これは、ギャンブル運営者の収益の不釣り合いともいえる大きな部分が、問題ギャンブラーからの収益であることを意味します。
その結果、利益率の関係で、ギャンブル開催地は、平均よりかなり多い問題ギャンブラー数の地域にある傾向が強い事が共通しています。
三番目に、ギャンブル供給者は、なんらかの理由で、彼らのマーケティングの努力と開催地を特定の地理的な地域に結集することを選択したり、制限されたりするかもしれません。
ギャンブルの機会が増大し、ギャンブルを刺激する商業的試みが実行されるにつれ、ギャンブルは増大すると予想されます。
また、少なくとも、初期のフェーズで、そのような問題を発生させる、比較的高いリスクがあるなら、ギャンブル依存の増大が当然生じるかもしれません。
多くの研究が、ギャンブルの機会を地理的に配置し、ギャンブルの社会経済的な変数とギャンブルパターンを比較しました。
ニュージーランドの研究によって、貧困地域でギャンブルの機会が、より一般的であることがわかりました [120, 121]。
しかしながら、オーストラリアの研究では、社会的隔離地域とスロットマシンへの高い支出の間の間接的な関連性についてのみ、制限された、弱くて間接的な関係が判っただけでした。
後者の研究は、スロットマシンの密度は、ギャンブルの可用性の基準として簡単すぎ、そして、「EGMへの支出の激しさの減少は、社会の被害を受け易い区分がギャンブル関連の害からより保護されているという仮定に導くことはできない」、と結論を下します。
報告書の著者は、将来の研究は、開催地の管理や、販売活動や、責任あるギャンブル実践の実現の程度などの問題を考慮に入れるべきであると示唆します。
ニュージーランドの最近の研究 [123]は、ギャンブル開催地から比較的遠い地域の人々と比較して、ギャンブル開催地の隣接地の近所に住んでいる人々が、ギャンブル問題を持つリスクがかなり高いことを示しました。
オーストラリアのデータは、地域のスロットマシンの数が増大に従って、ギャンブル支出と参加頻度が増大することを示唆します[124]。
米国では、ギャンブル開催地から50マイル以内で暮らす回答者の中では、病的賭博の普及が2倍以上高かったのがわかりました[125Ch. 5]。
同様の調査結果では、カジノの近くに住むことは、成人男子の場合、ギャンブル問題が予測されることが判っています[126]。
国勢調査データを使用して、別のアメリカの研究は、ギャンブルが貧困地域とギャンブル頻度と病的賭博/ギャンブル依存との有意な関連性をもつことを示しました[127]。
この関係は、「貧困地域の生態がギャンブルの病理を助長し、そして、ギャンブルの機会の可用性はギャンブルへの参加と病理を助長する」という意味にに解釈されました(p. 405)。
しかしながら、「個々の特性には、地理的要因よりギャンブル病理に強い関係がある」と指摘されました (p. 422)。
カリフォルニアでは、そのような開催地の地理的空間での高密度さと、比較的均質の分布ためか、ギャンブル開催地への距離とギャンブル依存の割合の間には関係が見られませんでした [128]。
ルイジアナで行われた研究は、ビデオスロットマシンでの一人当たりの出費とギャンブラー更生会ミーティングの数の間に、顕著だが僅かな水準の相関関係を示しました[129]。
しかしながら、ミーティングの数や、一人当たりのマシンの数やマシン施設数間の相関は見られませんでした。
カナダの研究によって、薬物乱用や体の健康状態のように、ギャンブル依存の普及が多数の人口統計的要因に関連しているのがわかりました。
しかしながら、ギャンブル開催地への近接性は弱い関連性だけを示しました[130]。
これまでのところ参照された研究は、比較的狭い地理的な単位に関係がありましたが、より大きいスケールの調査があります。
米国各州を比較した、そのような研究の1つ[131]は、ギャンブル依存の割合が、ギャンブルの合法化が10年未満であった州と比較してギャンブルの合法化から20年以上たった州でかなり高いのを観測しました。
ギャンブルの可用性の増大は、ギャンブル関連の問題の増加の原因となるという主張を支持すると結論づけられました。

2番目に大規模な研究[132]は、米国州と郡の両方に関係し、Regional Exposure Model(REM)を使用し、そこでは、被爆(exposure)が十分高いなら、人々に害を引き起こす公衆衛生上の毒素として見なされます。
REMモデルは投与量、有効性、およびギャンブルへの被爆時間の持続量の変数を含み、Regional Index of Gambling Exposure (RIGE)を計算するのに使用されます。
郡のレベルでギャンブル依存普及データとRIGE値を比較して、正相関の一定の基準が見つけられました。

著者は、例えば、両親のギャンブル、家庭のギャンブル、およびゲーミング産業への就職といった個人的レベルを含むPersonal Exposure Model (PEM)でREMモデルを補う意向です。
要するに、地理的なマッピングと分析は、社会的要因と、ギャンブルの可用性とギャンブル依存の普及との関係に関する貴重な知識を加えると断言します。
しかしながら、可用性とギャンブル依存の間の関連が単純ではなく、それは、いくつかの研究が言及した外見上相容れない結果によって示されます。
例えば、REMモデルが示すように、ギャンブルを公衆衛生上の毒素であるとみなすとき、投与量(ギャンブル施設の数と規模)が重要であるだけではなく、有効性(ギャンブルのタイプ)と持続期間(設立されて以来の時間)も重要である。
その上、地域における、ギャンブルの機会と問題ギャンブラーの頻度の高さの間の正相関は原因と結果に関しては何も語りません。
また、機会がギャンブル依存を引き起こすとしても、上記に示唆されるとおり、社会的地理的空間に密集する傾向がある一定の人口統計上の特徴がある人々は、比較的高いギャンブル依存の割合を持っているということかもしれません。
ギャンブルの機会は、そのような人々がいる地域では、より多くなる傾向があり、よって、ゲーミング運営者は、そのような地域にギャンブルに対する需要がほかの場所より高いと認識しています。
長期的な研究が、原因と結果に関する問題を明らかにするには必要となります。
また、そのような研究は、被爆とギャンブルの機会への適応が、ある一定の地理的な地域の人々に持っている影響に関する洞察を提供するかもしれません。
増大する被爆は、初期的には、ギャンブル依存の発生率を増大させそうですが、長期間にわたる適応過程は、発生率と有病率を以前の水準に減少させるかもしれません。
例えば、ギャンブル依存の高いリスクがあるゲームの新しい形式を導入するなら、以前は問題ギャンブラーでなかった人々が多分問題ギャンブラーになるでしょう。

しかしながら、しばらくして、少なくとも何人かのこれらの人々が、ゲームの危険がわかって、それらに対処する方法を進展させるでしょう。
その上また、信頼できるゲーミング政策と、ゲーム供給者と公的機関による予防と治療努力が実施されることにより、論議されている、ゲームに関連する問題を減少させるかもしれません。
Shafferと同僚[132]によると、「被爆と社会的適応モデルは動的、疫学的なギャンブル関連の傾向について説明する2本柱を代表する」かもしれない。(p.46)
例えば、巨大なカジノの設立をとおして、ギャンブル機会が甚だしく増加している共同体で実施される普及調査は、長期的「事前/事後」計画を使用した方がよいでしょう。
その結果、そのような研究はギャンブルの可用性とギャンブル依存に関して原因と結果の関係性を明らかにするかもしれません。
可用性の急増は、ギャンブル依存の決定因の自然実験を構成します。
しかしながら、そのような研究の弱点は、それらが1回か数回の場合に制限され、その一般化は不明瞭です。
多地点に基づく地理的な研究は、よりすばらしい適用性の結果を約束します。

ギャンブル依存研究への関連性
ギャンブルの社会的、地理的な研究は、公衆衛生観点の不可欠の部分です。
そのような研究は、僅かしかギャンブルに関する動機にについて述べませんが、それらは、ギャンブルの可用性、社会的要因、ギャンブル関与のレベル、ギャンブル依存の普及との関係に関する貴重な知識を加えると断言します。
心理学的な構成や個人的、病理学的な特性の可能性(予防における集合的なスケールで影響を及ぼすのが困難である要因)に焦点を合わせるよりむしろ、それらは社会的地理的な空間に分散されてしまうので、その焦点は社会的、人口統計上のリスクと保護因子の上にあります。