【麻薬】パチンコ依存【癌】

米国政府の調査で麻薬、癌といわれているギャンブル・マシーン。パチンコの問題で調べた事、考えた事を書いていきます。

ギャンブルの動機と関与・・・⑧

2010年02月13日 | パチンコ

貯蓄の形式としてのギャンブル

標準的な効用理論の労作の1つは、支出の不可分性の考え方の導入でした[148]。
標準的な経済学理論は、限界効用が絶えず減少し、ともすればいくつかの区間で増大すると想定します。例えば、効用曲線は、滑らかであって、ぎざぎざではありません。
この仮定は、消費者が可能な購買は、無限に分割可能だという前提に依っています。
例えば、あなたが10分の1のテレビや休暇旅行を買うことはできないので、これは明確には真実ではありません。
クレジットや、分割払い購入制度や、個人が10分の1を支払い、商品を受け取り、後で残りを支払う購買方法などの実に経済的な解決方法はあります。
しかしながら、すべての消費者が、そのようなサービスを利用でき、商品をそのような条件で買えるわけではありません。
したがって、消費者は時々、高価な大型商品(その人の予算に比べて)を買うことができる割増金の加算が必要になります、したがって、その割増金には、比較的高い効用があります。
宝くじに申し込むギャンブルは、その割増金を得る可能性を人々に提供し、その結果、合理的で効用を最大化する経済的行動として現れます。
この観点では、ギャンブルは貯蓄と全く同様の経済機能を持っています。そこでは、多くの小さい「預金」がお金の単一の巨大な「払戻し」を許容するでしょう。
1970年代の都市部の貧しいアメリカ人の中のギャンブルの研究は、本当に、高いマイナスの金利(宝くじ業者の総利益率に同等)にもかかわらずで、宝くじ購入が貯蓄としての形式を構成するかもしれないのを示しました[149]。
わずかな利用可能なお金の金額が、定期的に宝くじに投資されました。
銀行でのそのような小額の貯蓄は、現実的な選択肢ではありませんでしたし、そして、安くて、日用品に使用される一定の必要性があったので、家でそれらを貯蓄するのは困難でした。
例えば、時々賞金が宝くじで勝ち取られ、その額は宝くじチケットの費用の100倍です。
これによって、宝くじプレーヤーは、そうでもなければまったく手に入れる事の出来なかった高価な物を買うことができました。
例えば、英国[64]とイタリア[150pp. 112-120]で恵まれない人々の間で、貯蓄する形式である宝くじギャンブルの同様の観察がなされました。
貯蓄の形式としてのギャンブルは、宝くじ連動の預金口座と同様であるので[151]、それは、従来の方法で利子を払うのではなく、口座番号を使用する宝くじの抽選を通して貯蓄家にお金を分配します。
また、そのようなギャンブルは、第三世界各国の無尽や頼母子講に類似しています。【注:rotating savings and credit associations=数名で保証し合い小規模な資金の調達を行い合う民間与信の形態。日本の頼母子講など】
これらの組合は、メンバーは小額を共同基金に定期的に寄進します。
貯蓄の蓄積された金額をメンバーの間で分配する方法には、多くの異なった方法があり、その一つが宝くじです。
革命前の中国の資金融資クラブであるkyei【kyei=標会:中国の無尽講】などの貯蓄組合のいくつかの古風な形式が記録に残っています。
これらのクラブでは、会費を通して蓄積されたお金は、毎月メンバーの名前と数が記された小さい木球を選ぶことで数人のメンバーに分配されました[153p. 147]。

ギャンブル依存研究への関連性
社会におけるギャンブルの役割を判断するとき、ギャンブルのいくつかの様式には、貯蓄と同様の経済機能があるという観察は、ギャンブルのなしうる肯定的な面に配慮し、これらを心に留めておくようにうながします。
家庭の予算が許さないような比較的高額の商品を時々は買うのを可能にし、貯蓄の代替案であるので、どの範囲の現代の西側社会の人々がギャンブルするかということは殆ど知られていません。
質的な研究は、ギャンブルのいくつかの様式にそのような経済機能があるかどうかを示すかもしれません。
収入と支出のパターンを含む調査研究は、このような考えうる機能がギャンブル関与とギャンブル依存に何か注目に値する影響を与えるかどうかを示すかもしれません。

ギャンブルの過程効用

現在、フリードマン-サヴェージ仮説の「強い」オリジナルバージョンや期待効用理論の様々な理論上の進化は、Nyman [154]の論文を除き、めったにギャンブルに適用されません。
この理由は、経済活動としてのギャンブルが、フリードマンとサヴェージを起源として想定された社会経済的な動機によって説明されている以上の説明が出来ないからです。
生活様式の改善の願望による動機としてギャンブルを説明する「弱く」て、より広いバージョンの仮説には、依然として、直感的な魅力があります。
しかしながら、多くの経済学者によって、この説明でさえ、人々のギャンブルに対する傾向の説明としては限界があると見られています。
今日、ギャンブルに興味をもっているほとんどの経済学者が、彼らの初期の同僚が推論する、理論上の純粋さと正統性の理由により、彼らの理論に盛り込むの差し控えた、ギャンブルには、それ自体に効用価値があることを承認します。
人々は、単にギャンブルからお金を得れることを望んでいるだけではなく、おそらく主として、ギャンブルの活動が本来おもしろく、興奮し、刺激的で興味深く、それと共に人々が歓迎する他の多くのものをもたらすという理由でギャンブルをする。
これらのものを楽しむために、人々は費用を支払う心算があり、そして、商業ギャンブルへの長期的参加によって経済的には損失となることに了承しています[155-158]。
ギャンブルに関する正統的の経済学の理論は、お金の点での、ギャンブルへの参加についての期待される結果に焦点を合わせました。
現代の経済学者は、ギャンブルの過程効用に焦点を合わせるのを好みます[156]。
理論的経済モデルは、効用の期待値モデルに追加されたギャンブルの小さい効用でさえ、適切に人々が様々な形式のギャンブルに参加する理由を説明するのを示しました。
その上、ギャンブルの過程効用を承認すると、宝くじ売上の決定因[53]や、競馬[159]や野球 [160]に賭けるパターンのようなギャンブル行動の経済面を理解するのがより簡単になります。
過程効用の仮定は、消費者とレジャー選択としてのギャンブルのほとんどすべての現代の研究の基礎となります。
しかしながら、過程効用を研究することにおける固有の問題は、ギャンブルの報酬が複数であり、異なったゲームの間で異なり、そしてそれは、特定の過程効用の変数を定義するのを困難にします[154]。

ギャンブル依存研究への関連性
非経済学者にとっては、単にお金を儲けるという意志によってのみギャンブルするのではなく、人々がさまざまな理由でギャンブルするのは、自明です。
ギャンブルの過程効用を承認すると、古典的な期待効用理論に依っているものほど性質において形而上学的でなく、一層の実際のギャンブル行動を説明する経済学の研究が可能となります。
過程効用は、人々が楽しみ、それに代価を払う用意ができているギャンブルの特徴に由来します。
その結果、そのような仕様は、ギャンブルに参加するための動機です。
経済の研究がそのような動機を認める限り、それにはギャンブル依存研究への潜在的価値があります。
あるギャンブルの特徴に対して支払われた価格が計算されたなら、それは直接的に動機の強さを示し、間接的にギャンブルにたいする関与を示します。
賭け行動の経済的研究のセクションでこのタイプのいくつかの有望な調査について議論するでしょう(以下の賭け市場を参照)。

消費者による選択としてのギャンブル

消費者理論は、近代経済学の一部門です。
消費者理論は、予算制約の下で有限資産を消費するものとしての個人の選好と選択に関心をもちます。
変数の中で、消費者研究で検討されたのは、製品価格、需要、宣伝活動、消費者財産と収入、および労働とレジャーにたいする選好です。
序数の効用理論から基本的な原理を得ます:
個別消費者は選好の順番で財貨サービスを格付けします。
したがって、予算制約によって、個人は欲しいもの全てを買うことは出来ず、選択をしなければなりません。
消費者理論の多くが消費者の選好を形成する要素を識別するのに専念し、より一般的な経済学的、心理学的、社会学的、そして、文化的な理論に由来する多くの異なった概念とアプローチを利用しました。
消費者理論は、以下で議論されるレジャー研究と融合します。
ギャンブル製品の消費に関して書かれているものの大部分は、宝くじや競馬の賭けに関係があり、そして、しばしば調査された問題は、需要の価格弾力性です。
ヘロインが他の消費財と共に毎日購買できる価格(例えば、1袋のヘロインが1キログラムのチーズとほぼ同じくらいの価格)で、自由に合法的に販売されたと仮定してください。
ヘロインの購買パターンはおそらく他の消費財のものと異なっているでしょう。
ほとんどの人々はヘロインを買ず、使用しないでしょう。
ある者は依存症になるという高い危険を冒しヘロインを買い、使用し、それらの大部分はおそらく日常的な購入者になるでしょう。
市場にいったん導入されると、ヘロインの価格の変化は、消費パターンに対して、たぶん小さいでしょう。
早期にヘロインを買っていなかった人は、おそらく価格が例えば、20パーセント下げられるまで買い始めないでしょう。
また、既にヘロイン中毒になったものも、価格の変化に対して非常に鈍感になるでしょう。
価格が200パーセント増加したとしても、彼らはヘロインをほぼ同じ量買うでしょう。
彼らは、ヘロインの購入を減らして、代わりにビール、タバコまたは他の何かを消費することはないでしょう。
要するに、ヘロインのような非常に中毒性の物質の消費は一般に、消費財の典型の価格需要弾力を示さないでしょう。すなわち、消費財の典型は、価格が上がるなら、消費が下がり、逆もまた同様です。
その結果、消費パターンは、商品の中毒性に関する何かを私たちに教えます。
ギャンブルは、何人かの人々を中毒にすると考えられるので、したがって、経済学者がギャンブル製品の消費パターンに関して見つけたことを理解するのは、興味深いことです。
そのような経済調査は、数は少なく、大部分は宝くじに関するもので、一般に、ギャンブル依存を生み出す可能性が低いか、既に依存症の人を引き付ける可能性の低いギャンブルの形式に関係があるます。
これらの研究の調査中の主要な問題は、需要の価格弾力性です。
価格弾力性が存在していると、ギャンブル製品の価格の低下は、消費の増大に通じ、価格の上昇は、消費の減少につながるでしょう。
【注:パチンコの価格弾力性を検討する事によって、中毒性を検討する事が可能です。】
需要が弾力的であればあるほど、価格が下がれば、消費はより増加し、そいて逆もまた同様に、価格が上昇すれば、消費は減少します。
より高額の賞金や即時当選の予備抽選などの何らかの変更で宝くじ製品をより魅力的にするなら、消費者が同じ買値にたいしてより多くのギャンブルを得ることになるので、これは値下げに同等です。
したがって、消費は上昇するでしょう。
所得弾力性についても議論されるかもしれません。すなわち、ギャンブル製品の消費への影響は、平均賃金の増加と減少によって引き起こされるでしょう。
交差価格弾力性は、代用と補完性の関係にある製品に対する需要の指標です。
【Cross-price elasticies=交差価格弾力性:ある財の価格の変化が他の財の需要量に及ぼす度合い。代替効果弾力性。交差弾力性の値は、B製品の需要量の変化率÷A製品の価格変化率によって求められる。A商品の価格の変化が、B商品の需要量の変化に与える影響度合いを表している。例えばヘロイン価格1%の上昇がタバコの需要量をX%押し上げた、などという使われ方をする。】
代用の関係では、ひとつの製品の価格の上昇は、その製品の消費の減少を引き起こし、代わりの製品の消費の増加につながります。
補完性の関係では、ひとつの製品の価格の上昇は、その結果として消費の減少となり、補完財の消費の減少に通じます。
価格の引き下げは、逆の影響を引き起こします。
国家による独占と、還元率の固定を通して、ギャンブル市場はしばしば厳密に規制されるので、交差価格弾力性は細かすぎ、測定するのは困難かもしれません[162]。
ほとんどの研究が宝くじと他の形式のギャンブルで顕著な価格弾力性を見出し、しばしば他の消費財のものに匹敵しています。

文献の概観は、オーストラリアの生産性委員会の報告[56Ch. 5]に見る事ができ、多くのアメリカの文献がThalheimerによってまとめられています[163]。
調査結果の中で、賞金の規模が宝くじ売上の良い予測因子であることが述べられています。
賞金が高額であればあるほど、売上げも、より大きくなります [51]。
高額のロールオーバー賞金は、宝くじに参加する純粋な経済的な効用だけではなく、宝くじに参加する過程効用価値も増大させます:
消費者は、賞金が高額な時に宝くじを購入する事から、より多くの喜び、興奮、および娯楽を得ます。
このことは、宝くじ経験の低廉化同等であり、価格の低下は、消費の増大を結果的にもたらします。
より多くのお金を稼ぐという意志に従って、宝くじ運営者は、価格を上昇させるかもしれませんが、これは売上の低下で相殺されるでしょう。
イギリスの国営宝くじは、一方では、宝くじの価格と、もう一方では、賞金の額と頻度の間の最適バランスに近いものを持っているように見えます[164].。
交差弾力性は、米国において、宝くじと競馬の間で見られ、いくつかの事例の宝くじの導入が競馬への賭けの衰退を導きました。
広告は、宝くじ売り上げを増大させることを期待でき、その規模は、売上の弾力性を測定するのに使用できます。
アメリカの研究によって、宝くじの広告に関連した販売の弾力性が他の消費財のものに匹敵しているのがわかりました[165]。
しかしながら、別の研究によって、ラジオと新聞における宝くじ広告は、ほとんど販売に影響を持っておらず、同時に、賞金規模と賞金獲得者に関するテレビの宣伝に、比較的大きな影響力があることがわかりました[166]。
いくつかの研究によって、飽和市場におけるギャンブル製品(宝くじとスロットマシン)の消費が、統計的なNegative Binomial Distribution(NBD)パターンに追従する事がわかりました [167.169]。【NBD=負の二項分布。詳細はwikiを参照】
販売の大きな割合は、少数派の買い手によって占められます。この現象は、しばしばビジネスで「80対20のルール(販売された80パーセントの製品は、20パーセントの顧客の購買からなる)」として引用されます。
過去の購買の頻度は、未来の購入頻度の良い予測因子として、これらの研究に現れていて、多くの購入が習慣的であることを示すと解釈されました。
NBDパターンは、多くの異種の頻繁に買われるコンシューマ製品に関して確かめられたので、結論としては、ギャンブル製品の消費パターンは、依存症や病理学の重大な要素は示していないということです。
この文献の本文にあるいくつかの調査結果が少し相反するしているように見えますが、その大半は、宝くじと他の形式のギャンブル形式のいくつかが、他のコンシューマ製品のものと同様であると示唆します。
人口の小さな部分によるギャンブル製品の中毒性のような消費は、これらの種類の経済学的な研究では目に見えるようにはなりません。

ギャンブル製品の消費者の大多数は、合理的で効用を最大化する製品選択のための経済モデルと、価格の変化とエンターテインメント価値に従って、予想されるように反応します。
しかしながら、他の結論に到る合理的な依存症の理論に基づくいくつかの経済学的の研究があります。
これらについては、以下で議論します。
最終的に、ギャンブルでの消費者観点には、ギャンブル政策と信頼性のある規定に密接な関係があると述べられるべきで、消費者の権利として、選択と保護が焦点となってきます [170, 171] が、ここでは議論されません。

ギャンブル依存研究への関連性
このセクションでの研究は、ほとんどの人々にとっては、宝くじに参加し、競馬に賭けることは、問題の無い、普通の娯楽賞品の消費であることを強調しました。
研究は、異なったレベルのギャンブル関与とギャンブル依存の問題についての調査のために、関連性を制限しました。
それらは、消費者にとって、宝くじと他のギャンブル製品のどんな特徴が特に重要であるかを示しますが、必ずしもこれらの特徴が消費者に意味することに関しては、あまり多くを語りません。
例えば、宝くじの研究は、賞金の規模を増大させるのが売り上げを伸ばすことを通常示しています。
しかしながら、研究は、文化的、社会的重要性が十分である高額の賞金が、仮定されている宝くじ購入者にとって何を意味するかに関して多くを語りません。

 


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