ロック : 酒 車そして女

好きな音楽や本、映画などについてのエッセイ

トレインスポッティング

2008-01-06 23:45:32 | Weblog
映画のトレインスポッティングが公開されたのは1996年。地元の場末のきったない映画館で観た記憶がある。当時、この映画はかなり話題になっていて俺もえらい感動したんだが、作品としての評価は今となっては少々疑問な部分もある。
しかし、このサントラは今でもたまに聴くし、素晴らしいと思う。

実は、このサントラを買うまで俺はロックをまったく聴いていなかった。
ロックを聴きだしたのは中学生のころからなんだが、大学を卒業したあたりからロックのミュージックシーンがつまらなく感じられた。で、俺はレゲエとかブラジリアン・ポップスやボサノバにはまってしまい、「英米の民族音楽」であるロック以外に豊穣な世界があったんだなみたいなことを考えていた。
それで、たまたま映画を観て、サントラを買ったんだが、あまりの格好良さにまたロックに戻ってきた。何がよかったのかうまく説明できないが、俺がロックというかポップスを無視している間に、なんというか世界の秩序とか社会構造がまったく変わってしまったことをこのアルバムは気付かせてくれたんだと思う。アンダーワールドのボーンスリッピーの衝撃はすごかった。感覚が麻痺してしまうような音楽で、その後、時間がたってから「なんでこんな音楽が生まれたんだろう」とか、「なんでこの音楽はカッコイイんだろう」と考えた。その結論は「イギリスは壊れている」。俺、なぜか壊れているものに興味があって、後追い的に90年以降のイギリス、アメリカのバンドのアルバムを買うようになって、俺がロックを無視していた間にかなりの数のいいバンドが出ていることが分かった。
 まあ、しかし、ずっとロックを聴いていたとしたらサントラを買ったような驚きはなかっただろう。

ストゥージス:ストゥージス

2008-01-06 23:11:43 | Weblog
以前、バンドをやっていたとき、メンバー集めに苦労した。
俺は社会人になってからロックが急にやりたくなり、俺自身が素人だったので、昔からバンドやっていたような人になめられた部分もあったのかも。しかも、オリジナル曲もやろうとなると、人それぞれ趣味が違うので、なかなかいい人が現れない。以前、誰かが「メンバーを集めるのは結婚相手をみつけるより難しい」と言っていたけど、俺の場合もそうだった。(まあ、場合によりけりなんだろうけど)

こんな経験があるので、このバンドのファーストアルバムがいかにすごいか良く分かる。3曲目のWe will fallという曲なんて「こんなのいったいどうやって作ったんだろう」という気がする。イギー・ポップが「こういう曲作ったんだ」とか言ったときのメンバーの反応とはどんなものだったんだろう?普通は引いてしまうと思うんだが、多分イギー・ポップは押し切ったんだろうな。アルバム全体にイギー・ポップのわがままがあったような印象を受けるし、こういうファーストアルバムを出したレコード会社もすごい。

Can : Future days

2008-01-06 04:31:09 | Weblog
カンというかつてドイツで活躍していたバンドのこのアルバムに入っているBel Airという曲が非常に好きだ。20分ほどの長い曲で、この曲を十分堪能するのは時間がかかる!!!(といってもつまり20分なんだけど)。
 ボーカルはダモ鈴木さんという日本人。ダモさんのボーカルはへたうまだという評判らしいが、俺はそうは思わない。かなり上手なんじゃないかと。
 このアルバムが作製されたのは1973年みたいで、この時期に日本人がロックの歴史に名を残したバンドにいたのが不思議だし、その後、彼に続く日本人ボーカリストが世界では一人もいないのが不思議(しいて言えば、オノ・ヨーコさんなんだけど)。

 ロックを聴いていて、なんとなくカンに行き着いたんだけど、かなりはまりました。今のテクノとかプライマルスクリームがやっていることに陸続きな感じがする。もともとジャズをやっていたような人が集まってできたバンドのようで、ジャズ的なものがベースにあって、ロック的な世界にのめりこんで陶酔しているようなやばい感じ。コード進行的にはよく分からないんですが、普通ではありえないようなコード進行が突然入ってきて、いい意味で音楽が壊れているような感じがなんともいい。ドラムもかなりやばくて、ジャズぽいと言えば、そうなんだろうけど、それだけじゃ説明できないものがある。

ユリイカ ジム・オルーク

2008-01-06 01:47:56 | Weblog
これは個人的に単にヘーと思った話。
ジム・オルークを知ったのは数年前だと思う。
 当時、俺はバンドをやっていて、作曲もしていて、「知らない曲」が聴きたかった。知らない曲というのはへんてこな曲という意味で、なんでもよかった。なんで、へんてこな曲が聴きたかったかというとヒットチャートに乗るような曲があまりにつまらなかったから(今でもそうだけど)。自分の世界を広げたいという意味もあった。
 で、友人に薦められてジム・オルークのユリイカという作品を買ったんだけど、俺的には最初の曲を聴いただけでもういいやという感じ。当時としては、求めているいる作品とのベクトルが違っていたんだと思う。

それから月日が流れて。
 
たまたま青山真治監督の「ユリイカ」という映画をDVDで観た。この映画は簡単に言えば、バス・ジャックに運転手と乗客が遇って心の傷を負い、一般的な言い方をすればそこからどうやって立ち直るかという話。この映画については記憶がさだかじゃないんで、正確な評論はできないが、最後の場面で俺は映画の音楽に釘付けになった。
 九州の田舎のバス運転手が最後の場面で音楽を流す。確かラジカセで。その音楽が素晴らしかった。これぞ俺が求めていた音楽であった。それが誰の作品か知りたく、俺はDVDの最後の出演者とか演奏音楽とか出てる「字幕」を目をこらしてみていたら「ユリイカ ジム・オルーク」とあった。

 いやいやいやいやいや(と松本人志的リアクション)これ俺持ってるやん!自分の部屋のCDコレクションを探しまわり、「ユリイカ」を聴いてみたら、うわーーこの曲じゃーーーーーと感動しまくり。
 俺的にジム・オルーク評価は1から10まで跳ね上がりました。
 しかし、なんで買ったときジム・オルークの良さに気付かなかったんだろう。映画がよかったせいなのか、映画にはまっていたのか。
 そもそも、この映画のタイトルはなぜ「ユリイカ」なんだろう?哲学的「分かった」という意味なら、そうかな?という感じなんだけど。ジム・オルークのユリイカを最後に演奏したかったという意味なのかなとも思ったりもしてみる。そうじゃなくても、この曲はこの映画全体を背負うくらいいい曲だと思う。