ロック : 酒 車そして女

好きな音楽や本、映画などについてのエッセイ

ハイスクール ミュージカル High School Musical アメリカはよくわかんない

2009-02-13 02:49:35 | Weblog
 子供たちに人気のハイスクールミュージカル ザ ムービー観てきました。
 まあまあ、楽しめた。しかし、これはテレビ版の1を見ないとよくわからんと思う。それにだなあ、1にはアメリカっぽい問題を克服するという課題があって、その過程が面白かったんだが、3というか映画までいくと、人気にのっかったまんねり感がいなめない。
 ずいぶん昔のことだが、英語教育のワークショップみたいなところで、アシスタント イングリッシュ ティーチャー(ALT)が興味深いことを言っていた。
 日本の高校では、英語を教えていても、生徒なおとなしいというか、のってこないらしい。で、その人は「アスリート(運動選手=運動部の連中)と仲良くなって、授業に引き込めば盛り上がる」というようなことを言っていた。まあ、実際のところ、事実なんだろうが、この人は日本の高校を誤解していると思った。
 別のアメリカ人は、アメリカの高校にはアスリートとギーク(geek=ガリ勉、オタク)とロッカーの3種類しかいなくて、それぞれ固まっているという。
 日本の高校生は、だいたい学力で行く高校を決めるから、同じような立場の子供が集まることが多い。おれが通っていた高校は地域で難関だったので、アスリートもロッカーもギークという点では共通なんで、みんな仲良かった。
 おれはアメリカの高校のこと知らないけど、3種類しかいないんだったら、授業を盛り上げるために運動部の連中を刺激するというアメリカ人の先生の理屈が分かってくる。
 以上の状況をふまえないと、ハイスクールミュージカルの面白さはわからんと思う。また、はっきりと描かれていないが人種の問題もある。
 白人でバスケのエース(白人、アスリートの王子様)のトロイと、いろんな人種の血が混じっていて理数系の天才(有色人種、ギークのお姫様)のガブリエラの恋に、シャーペイという白人で金持ちの美女が横槍を入れるという図式は、日本人的には単なる3角関係なんだけど、アメリカ人的にはかなりヤバイ雰囲気があるんだろうなあ。
 アスリート対ギークあるいはナード(Nerd=まぬけ、オタク)の構図が知りたい方は昔の映画だけどCan't buy me loveもお勧め。
意図的にせよ無意識にせよ、こんな映画を作ってアメリカ人は社会をまとめようという意識が働いていると思われる。日本も最近は移民が増えてきたんで、ネイティブ日本人の王子様とブラジル系あるいはパキスタン系のお姫様の恋を描くような映画を作らなければならなくなるような時代がくるかも。
 

老兵は死なず、ただ消え去るのみ 本当の意味

2009-02-08 01:14:05 | Weblog
「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」
この不可思議な言葉の意味を調べていたら、とうとう源流にたどりついてしまった。
日本語でネット検索しても、みつからんので、本邦初公開?とも思うのだが。
まず、以下のサイトを見てほしい。
http://www.phrases.org.uk/bulletin_board/12/messages/859.html

これは日本のgooの「教えて」みたいな感じなんだが、アメリカ(なのかな?)でも同じ疑問を持っている人がいるみたいで、アメリカのある学校の碑文には「old teachers never die; they just lose their class」と書かれている。
つまり「老師は死なず、クラスを失うのみ」。
英語の世界では、このような言い方がけっこうあるらしい。
「老いた学長は死なず、学部を失うだけ」という言い方もあるようだ。
で、誰かが「old soldiers never die: they simply fade away' has been extracted from the British Army's C20 parody of the song 'Kind Thoughts Can Never Die'」と回答している。
「『老兵は死なず、ただ消え去るのみ』は『善意は死なず』という歌のイギリス軍のパロディー」とのこと。
じゃあ『善意は死なず』とはなんだろう?となるんだけど、
http://library.timelesstruths.org/music/Kind_Words_Can_Never_Die/

本当のオリジナルは「Kind words can never die」らしい。



Kind words can never die; cherished and blest,
God knows how deep they lie, stored in the breast;
Like childhood’s simple rhymes, said o’er a thousand times,
Go through all years and climes, the heart to cheer.

Kind words can never die, never die, never die;
Kind words can never die, no, never die.

Sweet thoughts can never die, though, like the flow’rs,
Their brightest hues may fly in wintry hours;
But when the gentle dew gives them their charms anew,
With many an added hue they bloom again.

Sweet thoughts can never die, never die, never die;
Sweet thoughts can never die, no, never die.
Our souls can never die, though in the tomb
We all may have to lie, wrapped in its gloom;
What though the flesh decay, souls pass in peace away,
Live though eternal day, with Christ above.

Our souls can never die, never die, never die;
Our souls can never die, no, never die.


作者はAbby Hutchinson Pattonという19世紀のアメリカの女性。ネット検索してもほとんど、でてこないんだが、以下のサイトによると

http://www.geocities.com/unclesamsfarm/abby.htm

彼女はアメリカのボストンあたりで活躍していた音楽一家の一人のようだ。アメリカのウィキでも検索できないから、非常にマイナーな人なのかも。
アメリカ人の歌がイギリス軍でパロディーになって、アメリカに戻ってきたの?一気にわけわかんなくなってきた。
 ただ、「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」というフレーズの「ただ消え去るのみ」の部分は確かにパロディーのようだ。
Kind words can never dieの歌詞の場合は、「善意は死なず。善意は死なず」という感じで物事に対して肯定的なリフレインがあるだけで、「消え去るのみ」がない。
Old soldiers never dieは、元歌のままだったら、「老兵は決して死なない。死なない。死なない。決して死なない」とすべきだ。
最後の部分を「消え去るのみ」したのには論理的な意味はなくて、言葉遊びというか自虐的な冗談なのかも。
 だから、「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」という意味があいまいな訳をそのまま、理解するのが正しいのではないかと思えてきた。

老兵は死なず、ただ消え去るのみ

2009-02-07 02:30:08 | Weblog
「老兵は死なず、ただ消え去るのみ(Old soldiers never die; they just fade away.)」
これはダグラス・マッカーサーの言葉なんだけど、あることをきっかけに妙に気になってしまった。まあ、あることというのは、私の属するある団体の権力抗争みたいなもんかな。コップの中の嵐みたいなもんで、つまらん話である。
で、誰かが「老兵は消え去るのみ」とぼそっと言った。
 「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」という日本語は、なんとなくかっこいい。しかし、なんだろう、よく意味が分からん。

マッカーサーは1951年4月19日、米国議会で退任のあいさつをする。下のサイトで英語全文が読め、肉声も聞ける

http://www.americanrhetoric.com/speeches/douglasmacarthurfarewelladdress.htm
 スピーチの最後に彼は次のように語る

I am closing my 52 years of military service. When I joined the Army, even before the turn of the century, it was the fulfillment of all of my boyish hopes and dreams. The world has turned over many times since I took the oath on the plain at West Point, and the hopes and dreams have long since vanished, but I still remember the refrain of one of the most popular barrack ballads of that day which proclaimed most proudly that "old soldiers never die; they just fade away."

And like the old soldier of that ballad, I now close my military career and just fade away, an old soldier who tried to do his duty as God gave him the light to see that duty.

Good Bye.


つまり「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」は彼が軍に入ったときに流行っていた軍歌のサビの部分らしい。
で、その軍歌とはどういうものか

http://www.youtube.com/watch?v=YQLd18y0X70
http://www.youtube.com/watch?v=uyDldGPTDNQ&feature=related

歌っているのはVaughn Monroe。1951年のヒット曲らしい。おれはこの人知らなかったんだけど、クリスマスの時期に流れるLet it snowの甘い声の人だと聞けば、世界中の人が分かるかも。ただし、この歌詞はマッカーサーのスピーチ以降に作られたものであると考えられる。というのは、この歌詞には
Washington and Grant and Lee
Were all tried and true
Eisenhouwer,Bradley and McCarthur too
(ワシントンやグラント、リーは信頼できる。
アイゼンハワー、ブラッドリー、マッカーサーもだ)
とあるからだ。
youtubeと少し違う歌詞が以下のサイトに載っている。これがオリジナルなのかもしれない。

http://www.traditionalmusic.co.uk/song-midis/Old_Soldiers_Never_Die.htm


脚注によると、この曲はマッカーサーの退任スピーチで引用され、有名になったとある。


Old Soldiers Never Die

There is an old cookhouse, far far away
Where we get pork and beans, three times a day.
Beefsteak we never see, damn-all sugar for our tea
And we are gradually fading away.

cho: Old soldiers never die,
Never die, never die,
Old soldiers never die
They just fade away.

Privates they love their beer, 'most every day.
Corporals, they love their stripes, that's what they say.
Sergeants they love to drill. Guess them bastards always will
So we drill and drill until we fade away.

老兵は死なず(訳)

遠い遠いところに古い調理場がある
俺らは一日に3回、ポーク・アンド・ビーンズを食べる
ビーフステーキなんて見たことない。紅茶には砂糖が入ってない
で、俺らは少しずつ消え去っていくのだ

老兵は死なず
死なない、死なない
消え去るのみ

二等兵は毎日ビールを飲むのが好き
伍長は袖章(階級章)が好き。とは彼らが言っていること
軍曹たちは訓練が好き。だって奴らはいつもやりたがるじゃないか。
だから、俺らは訓練、訓練、いなくなるまでね。

老兵は死なず
死なない、死なない
消え去るのみ

(old cookhouseは調理場と訳したが、士官学校または、戦場のことなのかも)

「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」は言葉として、定着している感があるので、そのままとしたが、その意味とは
1 ベテラン兵は死んだが、記憶に残る
2 ベテラン兵の魂は永遠だ
という感じの意味なのかもしれない
ただ、マッカーサーのスピーチの印象では
「私はいま現役を引退して、去っていくが、私の心はいつまでも兵士である」
ととらえるのが正しいのではないかと思う。