ヒトラーとエリザベス
最近見たDVDより。
★「ヒトラーの贋札」 (2006年、ドイツ映画)アカデミー賞外国語映画賞受賞
○監督・脚本 ステファン・ルツォヴィッキー
○出 演 カール・マルコヴィクス/アウグスト・ディール/デーヴィト・シュトリーゾフ/アウグスト・ツィルナー/マルティン・ブラムバッハ
誤解されることを恐れずに言うとするなら、ドイツ映画の「ヒトラー」ものはおもしろい。ハズレがないような気がするのは私だけだろうか。「ヒトラーの最期の12日間」もそうだったし。
この国ドイツが、ちゃんとナチスの負の部分を総括しているから、ああいう映画が制作されるんだろうか。
ま、この「ヒトラーの贋札」には、ヒトラーは登場しないけど。
ぎりぎりのところで生き延びようとする人々の人間臭い欲望や駆け引き、切ない願い、そしてそういう環境でも正義を貫こうとする思い。
それらが飾り気のない、声高でない演出で際立っている。
生き延びて、自らがつくった偽のポンド札でカジノにでかけ、大金をばらまく主人公。空しい思いで海を眺める後ろ姿。
言葉は無用。見る側に答えを委ねている。
★「クイーン THE QUEEN」 (2006年 英仏伊合作) アカデミー賞最優秀主演女優賞、ヴェネチア国際映画祭最優秀主演女優賞
○監督 スティーヴン・フリアーズ
○脚本 ピーター・モーガン
○出演 ヘレン・ミレン/マイケル・シーン/ジェイムズ・クロムウェル
これは、一種のホームドラマ? “特別な”家庭を舞台にしたホームドラマ。
観た直後に、そんなふうに感じたけど、でも「家庭」にこんなことは起こらないか?
ダイアナ事故死の一報があり、国民が求める皇室の対応と、女王エリザベスの心中には大きな隔たりがあった。それを首相になったばかりの若いブレアが困惑しつつも動き回って修復させるというのが大筋。
それが事実なのかどうかはわからないけど、ブレアの夫婦の会話もおもしろい。皇室なんて…と否定的な妻の言葉をあしらいながら、現実論を繰り広げる。一方、頑固な女王には根気強くアプローチをあきらめない。
前妻の死を真摯に受け止めるチャールズは映画的にはおもしろいキャラではないけど、ダイアナの死後も狩りを続け、傷ついている孫たちを慰めるには狩りしかない、と思い込んでいるような夫フィリップ殿下のお気楽ぶりはちょっとおもしろい (どんだけ狩り好きなんだ?)。女王の日常は忙しいんだなあと思わせる一方で、この夫はなかなかのキャラだ。こんなの映画にできちゃうところが、ちょっとすごいよな、なんてヘンなところで感心してしまう。
ヘレン・ミレン演じる人間エリザベスは、なかなかの魅力的な女性。頑固さはかなりのものだけど、器の広さと先を見通す目はさすがだ。
ダイアナ人気と衝撃的な死を裏テーマに、こういう映画を作り上げるという制作意図がすごいなと思う。
最近見たDVDより。
★「ヒトラーの贋札」 (2006年、ドイツ映画)アカデミー賞外国語映画賞受賞
○監督・脚本 ステファン・ルツォヴィッキー
○出 演 カール・マルコヴィクス/アウグスト・ディール/デーヴィト・シュトリーゾフ/アウグスト・ツィルナー/マルティン・ブラムバッハ
誤解されることを恐れずに言うとするなら、ドイツ映画の「ヒトラー」ものはおもしろい。ハズレがないような気がするのは私だけだろうか。「ヒトラーの最期の12日間」もそうだったし。
この国ドイツが、ちゃんとナチスの負の部分を総括しているから、ああいう映画が制作されるんだろうか。
ま、この「ヒトラーの贋札」には、ヒトラーは登場しないけど。
ぎりぎりのところで生き延びようとする人々の人間臭い欲望や駆け引き、切ない願い、そしてそういう環境でも正義を貫こうとする思い。
それらが飾り気のない、声高でない演出で際立っている。
生き延びて、自らがつくった偽のポンド札でカジノにでかけ、大金をばらまく主人公。空しい思いで海を眺める後ろ姿。
言葉は無用。見る側に答えを委ねている。
★「クイーン THE QUEEN」 (2006年 英仏伊合作) アカデミー賞最優秀主演女優賞、ヴェネチア国際映画祭最優秀主演女優賞
○監督 スティーヴン・フリアーズ
○脚本 ピーター・モーガン
○出演 ヘレン・ミレン/マイケル・シーン/ジェイムズ・クロムウェル
これは、一種のホームドラマ? “特別な”家庭を舞台にしたホームドラマ。
観た直後に、そんなふうに感じたけど、でも「家庭」にこんなことは起こらないか?
ダイアナ事故死の一報があり、国民が求める皇室の対応と、女王エリザベスの心中には大きな隔たりがあった。それを首相になったばかりの若いブレアが困惑しつつも動き回って修復させるというのが大筋。
それが事実なのかどうかはわからないけど、ブレアの夫婦の会話もおもしろい。皇室なんて…と否定的な妻の言葉をあしらいながら、現実論を繰り広げる。一方、頑固な女王には根気強くアプローチをあきらめない。
前妻の死を真摯に受け止めるチャールズは映画的にはおもしろいキャラではないけど、ダイアナの死後も狩りを続け、傷ついている孫たちを慰めるには狩りしかない、と思い込んでいるような夫フィリップ殿下のお気楽ぶりはちょっとおもしろい (どんだけ狩り好きなんだ?)。女王の日常は忙しいんだなあと思わせる一方で、この夫はなかなかのキャラだ。こんなの映画にできちゃうところが、ちょっとすごいよな、なんてヘンなところで感心してしまう。
ヘレン・ミレン演じる人間エリザベスは、なかなかの魅力的な女性。頑固さはかなりのものだけど、器の広さと先を見通す目はさすがだ。
ダイアナ人気と衝撃的な死を裏テーマに、こういう映画を作り上げるという制作意図がすごいなと思う。