グラデーション

■グラデーション

街がいっせいに　桃色になる
上を向いて　見慣れた道をたどる
たまに吹く風は　体をすり抜けて
昨日の季節に　ボクをつれもどす

二月にひび割れた思いが　すくんだまま
まだここを　離れていかない
街の色が変わっても　滑らかになっても
まぶたで躍っているのは　白い紙ふぶき

桃色の季節が　約束どおり
次の扉の前に　消えていくだろう
妖しく華やかな残り香だけ残して
予告もなく　消えていくだろう

生まれたばかりのうす緑色は
形も匂いも　定まらぬまま
震えるボクの心を誘い出して
きっと次のステージを見せてくれるだろう