■冬のまどろみ
山が見える古い駅
ホームのベンチで 朝日を浴びる
優しい眠気に誘われて
季節の女神があらわれる
誰かの声に 揺すられて
肩に触る 冬の陽ざし
生まれた街のはずれには
間口の狭い おじいさんの本屋
湿った匂いのマンガ本が
知らない時代を教えてくれた
怖がりだった 小さな心は
消えない冒険で 武装していた
ホームから見える山の向こうには
背伸びしても飛び上がっても たどりつけない
何度も繰り返した 幼い旅と
「命がけ」ってつぶやいた かわいい冒険
ボクと ボクにつながるすべての人に
眠りの先で 出会えたらいいのに