会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

定額減税の給与明細への明記義務化、経理現場で不満爆発 作業約50時間増える試算も(産経より)

定額減税の給与明細への明記義務化、経理現場で不満爆発 作業約50時間増える試算も

政府が給与明細に定額減税(所得税)の減税額の明記を義務付けたことについて、企業の経理現場などで不満が募っているという記事。

「国民に早く減税を実感して欲しいという政府の思惑が見え隠れするが、事務負担が増える現場にとっては「ありがた迷惑」だ。減税条件も複雑で、企業によっては一連の対応で約50時間の事務負担が増えるとの試算もある。」

給与明細に書くからたいへんというより(もちろんそれもよけいな手間ですが)、それ以前に、各従業員の毎月の給与計算で、正しく減税額を計算するところから手間がかかるということでしょう。

「企業は減税分を差し引いて給与を支給すればいいというわけではない。今回の減税対象は、所得税法上で控除扶養親族として定めている16歳以上の扶養親族だけでなく、16歳未満も含まれる。そのため、企業は新たに従業員の扶養人数などの情報を集め直さなくてはならないその上で、減税金額を算出し、給与に反映させていくなどの作業工数が増える。

さらに、今回、毎月の給与明細に所得税減税額の記載が義務付けられたことで、年末調整の給与支払明細書にまとめて減税額分を記載しようとしていた企業にとっては、新たな仕組みを整えなければならなくなる。」

なお、50時間というのは「フリー」が算定したものです。

税理士のコメント。

「大手税理士法人「辻・本郷税理士法人」の菊池典明税理士は、「今回の定額減税制度を理解するには数十ページに及ぶ手引書を読み込まねばならず、従業員などからの質問対応、システム反映状況など目に見えない負担も生じる」と指摘。「フリーの試算(約40~52時間の事務負担の増加)以上の負担がかかるのではないか」とみる。

また、菊池氏は減税額の給与明細への明記義務化についても、「通知が直前すぎる」と苦言を呈す。給与明細に減税額明記をしなかった場合も罰則は科されないといい、「義務化は形骸化している」と強調する。」

地方自治体もたいへんなようです。

迫る定額減税、現金給付もセットで事務負担重く…千葉県内の自治体から恨み節も(産経)

「同県松戸市は、給与所得者向けの減税関連通知に続いて6月以降、自営業者らに通知を発送する準備を急ぐ。減税に伴う税務システムの改修は、政府が具体的な徴収方法などを示した時期が2月に食い込んだこともあり、「短期間での改修業者との調整に苦労した」(市民税課)という。

定額減税は減税と現金給付がセットになっている。「両方を組み合わせるのは過去に例がない。(実務側に)複雑な事務処理が発生している」(熊谷俊人知事)。具体的には、減税の恩恵が受けられない低所得者への現金給付に加え、所得が少なく減税額が本来の納税額を上回る場合は、差額を現金支給する「補足給付金」もある。」

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