会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

エネチェンジ会計処理「不正認められず」 あずさは反発(日経より)

エネチェンジ会計処理「不正認められず」 あずさは反発(記事冒頭のみ)

ENECHANGE(東証グロース)が、新しいスキームの事業の会計処理について、監査法人ともめている問題(→当サイトの関連記事その2)の記事。

外部調査委員会の報告書が公表されましたが...

「ENECHANGE(エネチェンジ)は27日、電気自動車(EV)充電事業に関する会計処理問題について外部調査委員会による報告書を公表した。報告書は同社の内部統制などの問題を指摘する一方、会計不正は認められなかったと結論づけた。ただ、同社を担当するあずさ監査法人は「不正はあった」と指摘しており、対立が浮き彫りになっている。」

2023年12月期の有報がまだ提出されていない状況で、7月10日までに提出できなければ上場廃止だそうです。

SPCを連結範囲に含めるかどうかが、焦点になっていますが、記事によれば、その判断に必要な情報が、監査法人から意図的に隠されていたかどうかについて、見解が分かれているようです。

不正があろうがなかろうが、虚偽表示を訂正して正しい会計処理に直せば、一応、財務諸表は作成可能なはずですが...。監査法人としては、SPCを連結範囲に含めるだけで、本当に解決するのか、まだ隠されている情報があるのではないか、そもそも、経営トップによる不正の可能性が高いのに、もっと手続きを厚くしないとだまされてしまうのではないか、など、さまざまな懸念事項があるのかもしれません。

外部調査委員会の委員にはたしかトーマツの人が入っており、ほかにも大手監査法人出身のベテラン会計士が参加していたと思います。あずさは、その人たちによる調査結果も信用できないと判断したのでしょうか。(せっかくビッグ4に頼んだのに意味がなかった?)

「スクープ」再掲/株価19%安!/「エネチェンジ」決算不能/エリート社長の「破廉恥」/2024年5月号より(FACTA)

「今回の会計不祥事は、新たに乗り出したEV充電インフラ事業で起きた。全国各地で事業パートナーを募り、充電設備を販売・整備して運営支援も請け負うことで収益を上げようとの計画だ。これまでの公表決算によれば、昨年後半から収益寄与が本格化、半年間で売り上げ23億円、部門利益1億円を稼いだはずだった。

が、そこではどうやら収益水増しが行われていたらしい。同社は設備を「EV充電インフラ1号」なる合同会社にまずは販売、事業パートナーはそこの社債を引き受けて資金拠出し収益分配を受ける形だったようだ。が、社債は一定期間後に出資持ち分へと転換され、損失発生時はエネチェンジに買い取り請求できる権利が付与されていた。

要は、たとえ高値で充電設備を売ったとしても、その分の損失リスクが将来跳ね返ってくるわけだ。合同会社は一時的に収益計上するためのダミー会社みたいなものであり、監査法人によりわずか半年でそれが見抜かれてしまったのである。」

エネチェンジの不正会計処理、「隠蔽認められず」も城口CEOに不適切な言動 調査委員会が報告書(Yahoo)(日刊自動車新聞配信)

「今回の調査は、エネチェンジがSPCを連結外としている会計処理について、あずさ監査法人が連結対象にするとともに事前に必要な情報が報告されていなかったと指摘したことを受けて、3月に立ち上げた委員会で実施した。なお、エネチェンジは、連結財務諸表を早期に確定させるため、連結範囲に含めること自体は決めている

報告書によると、あずさは、SPCを連結外とすることで、エネチェンジがSPCから収受する充電器の売買代金や工事代、運営委託料をエネチェンジの売り上げに計上するスキームを是認していた。しかし、その際に金銭消費貸借契約の内容やオプション行使条件、SPCの事業計画見通しなどについてエネチェンジから受けた説明が不十分だったと指摘した。

調査の結果、あずさに対する説明で意図的に隠ぺいしたり、虚偽の内容を伝えたりした事実は確認されなかった。一方で、城口CEOと最高財務責任者や監査法人との間での社内外でのコミュニケーション不足などの問題点を指摘した。

また、調査の結果、EV充電事業のスキームの検討段階において城口CEOが同社役員に対してコミュニケーションツールでEV充電機器の買い取りの契約を「裏で巻く」「監査法人に黙って巻きたい」などと書き込みしていたことも判明した。これについて報告書では「経営者が社内に示す姿勢として不適切といわざるを得ない」と指摘した。」

2023 年 12 月期有価証券報告書提出遅延及び当社株式の監理銘柄(確認中)の指定の見込みに関するお知らせ(2024年6月27日)(ENECHANGE)(PDFファイル)

「当社は、2024 年6月 21 日付「外部調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」のとおり、当社のEV 充電事業における SPC(EV 充電インフラ 1 号合同会社) を非連結とした従来の会計処理(以下「本件会計処理」といいます。)について、公正性を確保した調査により、前提となる事実関係を明らかにするとともに、本件会計処理の検討過程の検証、本件会計処理と類似する事案の存否、事実関係の調査及び評価、並びに内部統制上の課題を評価していただく必要性を認識し、 独立した外部の有識者による外部調査委員会を設置して調査を進め、外部調査委員会から調査報告書を受領いたしました。また、当社は、2024 年6月27 日付「外部調査委員会の調査報告書の公表に関するお知らせ」のとおり、外部調査委員会から受領した調査報告書を公表いたしました。

当社は、外部調査委員会の調査及び有限責任 あずさ監査法人(以下「あずさ監査法人」といいます。)の監査手続に全面的に協力してまいりましたが、外部調査委員会の調査報告書 の受領が当初想定の受領日から遅れたことに加え、SPC の連結に伴う当社の EV 充電事業における減損判定の検討や、財務報告に係る内部統制の評価等、決算及び開示の進捗が遅延し、それに伴う監査等に想定以上の時間を要しており、本日現在においてこれらの検討が完了しておりません。そのため、2023 年 12 月期有価証券報告書について、延長承認を受けました提出期限である6月 28 日までに提出することが困難となりました。」

これを読む限りでは、不正の有無でもめているわけではなく、SPCの連結に伴う追加的な手続に時間がかかっているようです(会社も監査人も)。ただ、内部統制報告書とその監査は、虚偽表示の原因が何だったのか(不正なのか、単なる説明不足なのか)によって、記載される不備の内容等が変わるのかもしれません

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