マイ ポエム

私の詩と写真を載せています

第一詩集『昔のままの本棚』一人想いから 1

2009-11-14 08:34:46 | Weblog
時間を越えて


めぐりあいは
今もなお
熱い眼ざしでいて
私はなんども 振りかえる
あの頃は

しかし
私を振りかえることはない
時間はすでに
墓碑をたてていて
いつも 無銘のままだ

遠ざかるほどに
風景の中の小さなかけら
齢を重ねれば
脈絡もかすんだ語草に
時間は見知らぬ顔でページを操る

だが 人は夢見ることができる
かきたてることもできる
生きていく新しい時間に向かって
はむらたつ想いを
私は詩って行くだろう

大切なあなたに




 空 想


日曜日
きれいに咲いてくれた皐月の
植替えをしていて
いつのまにか
別世界に入り込んでしまっていた。
空想がずんずん広がっていった
作業もどんどんはかどっていった

 ……本立の光る緑と影に
   幾度も染め替えられながら
   二人で 森をそぞろ歩きし

 ……深い夜からうかびあかってくる
   二人のめぐり合いを
   テーブルの灯に
   ひろげて語り合い
   ところどころではあっても
   お互いの生き姿を
   少しずつ 知っていく
   たのしさ………………

作業はあらかたかたづいていた
夕陽はとっくに隠れていた
調子にのって
楽しすぎた私は
暗くなる夜を抱えて
今、苦しんでいる。

第二詩集「風に恋して」 窓 より 4 (完)

2009-11-13 08:59:12 | Weblog
 校 舎


三階の窓に広がっている
青い海と白い帆
キラリと光るあの頃の瞳

二階の窓には
ゆれるように
緑の涙がたまっている

一階の窓からは
なつかしい声がいっせいに
弾けてくる

校舎よ
姿は変わっても
おまえの窓だけは
幼い心そのままだ

もう少ししたら
終業の鐘が窓をこわすだろう
一番に飛び出してくるのは
きっとあの頃の僕


 だから私は窓を詩う


窓は哲学者だろうか それとも
詩人だろうか
存在としてだけの世界が
窓によって
果てしない物語りになる

窓はリアリストだろうか あるいは
空想家だろうか
広がりにすぎない空間に
「内」と「外」とが創成される
そして訪れとめぐりあいが約束されるのだ

おまえ自身は内だろうか それとも
外だろうか
人間が人間の身体に属しながら
なおも 胸に抱くものに
はるかに
帰属して居るように

第二詩集「風に恋して」 窓 より 3 (つづき)

2009-11-11 19:17:15 | Weblog
白 鳥


突然 窓が教えてくれる
私の期待を
やさしく起こしてくれるのだ
今 彼女が通ると

堀端の緑に見え隠れする
白いワンピース
街の騒音は息をひそめて
彼女にズームイン

時にだれかと一緒だったりして
ドキドキして窓下にかがみこんで
見上げると
雲が白い歯をみせて笑っている

彼女の消えた空白に
ゆっくりと白鳥が矢印をつけ
落とし物はなかったかと子犬があとを駆け
そして蝶がジーエンドを描く



 一 日


一日が終わろうとして居る
空で燃えて
天に昇ろうとしている
神様に 逢いにだろうか

僕の一日も終わろうとしている
部屋で萎えて
夜へ落ちようとしている
僕の手にもう一度あたたまりに

一日がこぼれようとしている
ノートの上で
新しい姿をとろうとする
僕の一日を完成しに

一日働いていたのに
僕の一日はどこにもないのだ
窓よ 一日を眺めまわしていた格子よ
貧しい僕の内部になっていておくれ


 夕焼け


眺め暮らした一日の
最後に
燃えて崩れようとしている
夕映えの窓
さあ 眼をとして
私の内部で甦るのだ

夜は冷たい
おまえ一人はなお冷たい
私一人はもっと冷たい
おまえと私と二人
今日一日の言葉を探して
夜を燃えてみよう

 夜


明かりを失った窓は
夜より暗い
私はおまえを壊してしまいそうで
身動きができない

第二詩集「風に恋して」 窓 より 2  (つづき)

2009-11-09 21:01:10 | Weblog
 キャンバス


窓は私のおかかえ絵師
雪の日の冷たさを
ただ 美しさのみに
描き出す

昨日雪の中に見送った女を
痛みもなしに
いっの日か
写し出してくれるだろうか


 
 詩の訪れ

トントントン
窓を叩くのは
雨ですか

トントントン
窓を叩くのは
風さんですか

トントントン
窓を叩くのは
お陽さまの光ですか

トントントン
窓を叩きつづけるのは
わたしです
わたしです


 
 雨


あなたはいつも
私の代わりに泣いてくれる
意地悪な雨に
ボロボロ涙を流して
恋人の瞳のような
私の窓よ

どんなに雨が激しくても
いっも私に眠りを
添えてくれる
窓よ
おまえは私の孤独の
終生の枕だ

 

 高 窓


私はいつもあなたを見上げている
樹々の梢と話しあっているやさしい窓よ
私はいつもあなたの周りをめぐっている
あなたの入り口を求めて

もしも私か死んだら
一度だけ入れてください
そして窓辺であの鉢植えの花のように
陽の光りを受けさせてください