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マイ ポエム

私の詩と写真を載せています

第二詩集「風に恋して」 窓 より 1

2009-09-06 15:45:06 | Weblog
 出会い


窓は切り取られた空間だろうか
詩というものがなかったとき
それはたしかにある遮り
ある息抜き
風と雨がしみてくる
幾何学的な隙間

しかし窓は今 君と僕との
光る通路
生活の接点
君の広い囁き
私の憧れの眼
まだ生まれてこない
無言の風のふるさと

 

散歩道


窓の顔の中には
その家の街路への挨拶があり
そばを通ると 窓に
住んでいる人の心が写る

一つひとつの窓を訪れてみたいのは
街路樹だけではないだろう
たとえ カーテンがとざされていても
私はそこに明日かおるのを感じてしまう

第二詩集「風に恋して」旅立ち より 2

2009-09-03 16:38:38 | Weblog
想 い


旅立ちは 秋の空を心に迎えること
ただ どこまでも
たかく たかく
舞い上がること
広がりの果てへ
広がること

旅立ちはしかし 夢見ることではない
夢から覚めること
一つの夢からも 次の夢からも
この世のすべての夢から
遠ざかり愛すること
孤独の風景へ旅立つこと

旅立ちは姿のない風を恋う想い
海を越え 山を越え
空さえ越えて
それでいていつも
風景とともにある
姿のない愛の姿よ






風にさそわれて 人は旅に出る
が 風に追いつくことができるだろうか
それが 自分の心の中を
通りぬけていった風だと

  私の手は風をとらえることができるか
  私の心は風を止めることができるか
  風さえ気にしない行く方を追うことができるか
  旅立ちに必要なものなんて何もないのだけど

人はいたるところに風を見る
だから旅は旅につづいていて

今度は風に追われてまた旅をする
そしてとうとう私も風になってしまうのだ

  風は何もささやかないのに すべてのものが
  彼に語りかける
  風は冷ややかなのに すべてのものが
  やさしくゆれる

どうして人は孤独と言えよう
風の孤独に気づかないで
だけどその時はもう孤独ではない
失った風が今あなたの心の中を吹いていくから


第二詩集「風に恋して」旅立ち より

2009-08-28 13:17:59 | Weblog
  スーツケース


旅立ちのスーツケースを
もっと軽くしなくてはと思うのだが
こんなにも重くなってしまった
ただ 二三日着替えるだけの
肌着を
入れてきただけなのに
そのほかに
なにをつめてきたのだろう

明日 もう一度
よく見てみよう
アルバムからそっとはずした
一枚の写真でも入れていないか
それとも
差し出さずにいた手紙でも




  雨のあと


ふりかえって幾度も見直す
この街を
もう他人のこの街を
ここに住んでいた間は
よく分からなかったたたずまいが
ふしぎに 透いて視えてくる
降りしきった雨に
すっかり 洗われて

秋でもないのに
飛んでいく枯れ葉のように
この街が私の前を去っていく
冷めた顔して
散っていく

日射しは無邪気に遊んでいるが
私はまだなじめそうにもない
立ちつくしている間に
心がかわいてきたようだ

旅の途中のしばらくは
この一枚の枯れ葉でも手にもっていようか


詩抄 「青い花」から 2

2009-08-25 22:34:42 | Weblog
届けたい便り


「お元気ですか」……
そこまではいつも あなたに
背伸びしているのですが
お届けしたい土産話など
なかなかうまく包めずにいます

懐をひもとけば
そしてそこから落書きでもこぼせば
次から次へ夢が飛び出すのですが
時はますます早すぎて
無器用な私には
なかなか取り出せません

書いては消し
消しては書いて
あなたに届けられなかった
お便りでいっぱいの
私は引き出しです

今年もお届けできるのは
愛しい日々の中の
一行か二行になりそうで
ただ あなたの詩情に
託すばかりです

元気に暮らしております
あなたも お元気で



詩抄 「青い花」から

2009-08-05 08:16:30 | Weblog
おうみ




幼い頃 父と母に連れられて
琵琶湖へはよく来た
なぜかいつも夕方か夜の浜辺で
若い叔父もいつも一緒だった
隣家のモダンな娘さんを
誘ってのちょっとした遠出だった
母は二人を合わせたかったのだと思う
あの戦争さえなければ
そこは二人の合う身の里となっていただろう
湖は今も 私の淡い海のままだ




あなたであったらいいのに



今朝は 五時前に 目が覚めました
私の枕元の 東の窓の外で
太陽が朝を広げて
待っていました

一日の始まりが
こんなに光っているなんて
喜びたいのです そして
秘かな期待が生まれてきます

ああ 私のそばにたたずんで
待ってくれる人がいて
微笑みで 起こしてくれるのが
あなたであったらいいのに