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「自分が源泉」ファシリテーター、4nessコーピングインストラクターである弁護士徳岡宏一朗のブログです。

最高裁が親の監督・賠償責任認めず 「子どもの蹴ったボールよけて転倒死亡」事故で「偶然なら免除」

2015年04月09日 | 法律・事件・事故・裁判

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 親の目の届かないところで幼い子どもがした行為で、他人がけがなどを負ったとき、親がどこまで賠償責任を負うべきかについて、最高裁判所は、2015年4月9日、
「子どもの行為が通常なら危険がないもので、偶然起きてしまった事故の場合には、原則、親の責任は免除される」
という初めての判断を示しました。
 
 この事故は2004年に愛媛県今治市の公立小学校脇で起きました。
 当時11歳だった男性(23)が、放課後に校庭で友人らとサッカーをしていた際、ゴールに向けて蹴ったボールが外の道路に飛び出しました。
 
 
 
 
 そこにバイクで走ってきた85歳の男性が、ボールをよけようとして転倒。足を骨折したのです。そして事故直後に認知症の症状が出て、事故から約1年半後に肺炎で亡くなりました。
 そこで、遺族は2007年に裁判を起こし、少年とその両親に損害賠償を求めたのです。

 1審の大阪地裁は、少年の過失を認めた上で、両親にも監督責任があるとして約1500万円の賠償を命じました。さらに2審の大阪高裁も、減額したものの両親の監督責任を認め、約1100万円の支払いを命じていたのです。

東京都庁ができるまで、日本最悪の建築物と言われていた最高裁。テロ対策用に内部は迷路になっています。私も迷いましたw

 

これは最高裁の大法廷です。裁判官は15人。憲法判断など重要な判決などをするときにはこちらの法廷となります。

 

 

 この事件での原告遺族側は最高裁の上告審で

「6年生であればボールが道路に飛び出す危険性を認識できたはずなのに、両親の教育が不十分だったため事故が起きた」

と主張しました。

 これに対し両親側は、「一般家庭並みの教育やしつけはしていた。親として必要な監督義務は果たしており、責任を免除されるべきだ」と反論していたのです。

 そして、被告となった少年の父親は朝日新聞の取材に対し、

「サッカーをするなと注意のしようもない。こんなことにまで親が責任を負わされるのは納得できない」

と話していたということです。

 この日の判決で、最高裁判所第1小法廷の山浦善樹裁判長は

「親は、目の届かないところで子どもが他人に危険が及ぶような行動をしないよう、日頃からしつけ をする義務がある。しかし、校庭でサッカーゴールに向かってボールを蹴るといった、通常は危険がない行為によって、偶然事故が起きてしまった場合は、原則、親の賠償責任は免除される」
 
という初めての判断を示し、遺族側の訴えを退けました。
 
 
今回は5人の裁判官からなる小法廷の判断です。5人で構成される小法廷が第1から第3まであり、今回は第1小法廷の判決でした。
 
 
 
 
 民法では、子供が事故を起こした場合、親などが監督責任を怠っていれば代わりに賠償責任を負うと定めています。 子どもには判断能力がなく、責任を負わせられない事故が多いわけですが、だからといってそのままにしておくと被害者が「やられ損」になってしまうので、親など監督者の責任を認める規定があるわけです。
 
 その規定は
民法第714条第1項 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
第2項 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。
 
 なお、ここで言う責任無能力の子どもというのはだいたい12歳くらいが目安ですが、それ以上の中学生・高校生が起こした事件でも、親の監督責任を広く認めるのが判例の流れです。
 
 
 
 ところで、この規定では、監督義務者の免責事由がちゃんと書いてあります。
 
「ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない」
 
とあるわけですから、親側が自分は子どもに対する監督義務は怠っていないと証明したり、また怠らなくても損害は必ず生じていたと証明できた時は、損害賠償義務を負わないと規定されているのです。
 
 しかし、これまで類似の訴訟では、被害者を救済する観点から親など監督義務者の責任が広く認められ、ほぼ無条件に親の監督責任が認められてきていました。
 
 たとえば、キャッチボールをしていた小学生のボールが、近くで遊んでいた別の小学生の胸に当たり死亡させた事故、小学生男児が自転車で女性に衝突し、寝たきりにさせた事故などで、児童の親に賠償金の支払いが命じられる判決が出ています。
 
 
 
 
 
 私も予備校やロースクールでこの不法行為における監督者の責任を教えるときには
「まず、親の賠償義務は免れないから」
と教えてきていたものです。

 ところが、この日の最高裁判決は、親が目が届かない場所での事故を防ぐために、現実的に取れる対応を考慮したもので、事故の状況にかかわらず、ほとんどの場合で、子どもの過失の賠償責任は親が負うとしてきた司法判断の流れを変えるものとなりました。
 
 被害者にはお気の毒ですが、これは一般市民にとっては納得のいく、常識的な判断なのではないでしょうか。
 
 子どもが起こした事故の場合は、親が運転している自動車が事故を起こした場合と違って、損害賠償保険に入っていることはめったにありません。ですから、こどもの起こした事故を何でもかんでも親が賠償しなければいけないというのは、かえって酷だったと言えるでしょう。
 
 いずれにしても、これからは自分や家族が事故に巻き込まれる被害者になる場合も、加害者になって賠償義務を負う場合でも、保険に入っておいた方が良さそうです。
 
 というわけで、私もついこの間、家族全員が対象となる傷害保険に加入したばかりなのでした。
 
 

 

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子供が蹴ったボール避けて事故、「親は賠償責任を負わない」 最高裁の判断理由は?

投稿日: 2015年04月09日 16時56分 JST 更新: 24分前
CHILD SOCCER PLAY

 

小学6年生の子供が蹴ったサッカーボールを避けようとして転倒し、後に死亡した男性(当時85歳)の遺族が、ボールを蹴った少年の 両親に損害賠償を求めた裁判で、最高裁第一小法廷(山浦善樹裁判長)は4月9日、両親の監督責任を否定する判断を下した。「通常は危険でない行為でたまた ま人を死傷させた場合、親は賠償責任を負わない」として、両親に賠償を命じた2審判決を破棄。両親側の逆転勝訴が確定した。産経ニュースなどが報じた。

  同小法廷は、今回の子供の行為について「ゴールに向かってボールを蹴る通常の行為で、道路に向けて蹴ったなどの事情はうかがわれない」と指摘。両親が普通 のしつけをしていたことなども考慮し、今回の事故を「予測できたとはいえない」として、監督義務を尽くしており、賠償責任は負わないと判断した。
 
ボールよけ転倒死、男性の遺族が逆転敗訴 親の子供への責任「被害の予見可能性で線引き」 最高裁初判断 - 産経ニュースより 2015/04/09 15:48)

産経ニュースに よると、事故は2004年に愛媛県今治市の公立小学校脇で起きた。当時11歳だった男性(23)が、放課後に校庭で友人らとサッカーをしていた際、ゴール に向けて蹴ったボールが外の道路に飛び出した。そこにバイクで走ってきた85歳の男性が、ボールをよけようとして転倒。足を骨折した。直後に認知症の症状 が出て、事故から約1年半後に肺炎で死亡。遺族は2007年に裁判を起こし、少年とその両親に損害賠償を求めた。

1審の大阪地裁は、少年の過失を認めた上で、両親にも監督責任があるとして約1500万円の賠償を命じた。2審の大阪高裁も、減額したものの両親の監督責任を認め、約1100万円の支払いを命じた。

3月19日のNHKニュースに よると、遺族側は上告審で「6年生であればボールが道路に飛び出す危険性を認識できたはずなのに、両親の教育が不十分だったため事故が起きた」と主張。こ れに対し両親側は、「一般家庭並みの教育やしつけはしていた。親として必要な監督義務は果たしており、責任を免除されるべきだ」と反論していた。少年の父 親は朝日新聞の取材に対し、「サッカーをするなと注意のしようもない。こんなことにまで親が責任を負わされるのは納得できない」と話したという。

民法では、子供が事故を起こした場合、親などが監督責任を怠っていれば代わりに賠償責任を負うと定めている。 これまで類似の訴訟では、被害者を救済する観点から、ほぼ無条件に親の監督責任が認められてきた。キャッチボールをしていた小学生のボールが、近くで遊ん でいた別の小学生の胸に当たり死亡させた事故、小学生男児が自転車で女性に衝突し、寝たきりにさせた事故などで、児童の親に賠償金の支払いが命じられる判決が出た

今回の最高裁の判断は親の責任を限定するもので、同様の争いに今後影響を与えるとみられる。

 

 

2015.4.9 15:48更新 産経新聞

ボールよけ転倒死、男性の遺族が逆転敗訴 親の子供への責任「被害の予見可能性で線引き」 最高裁初判断

 小学校の校庭から蹴り出されたサッカーボールをよけようとして転倒した後に死亡した男性の遺族が、ボールを蹴った当時小学生の元少年(23)の両 親に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が9日、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)であった。同小法廷は、「子供の行為が及ぼした被害に対する予見可能性 の有無で、親らが監督義務を尽くしたかどうかを線引きできる」とする初めての判断を示した。

 その上で、「両親は被害を予測できなかった」として、両親に賠償を命じた2審大阪高裁判決を破棄、遺族側の逆転敗訴を言い渡した。4人の裁判官全員一致の意見。

  子供の行為と死亡の因果関係に争いはなく、両親が監督義務を尽くしていたかが争点。民法では、子供の行為で被害が生じた場合、親らが監督義務を尽くしてい なければ子供に代わり賠償責任を負うと規定している。ただ、過去の訴訟では因果関係が認められた場合、「被害者救済」の観点から無条件に親に賠償を命じて きた。今回の判決は、子供や認知症で責任能力がない老人を世話する家族に対する賠償責任のあり方に影響が大きいとみられる。

 同小法廷は、 今回の子供の行為について「ゴールに向かってボールを蹴る通常の行為で、道路に向けて蹴ったなどの事情はうかがわれない」と指摘。両親が普通のしつけをし ていたことなども考慮し、今回の事故を「予測できたとはいえない」として、監督義務を尽くしており、賠償責任は負わないと判断した。

 

 

2015年04月09日 20時42分

学校の校庭から転がり出たサッカーボールをよけようとして転倒し、約1年半後に死亡した80代の男性の遺族が、ボール を蹴った小学生(当時11歳)の両親に損害賠償を求めた裁判で、最高裁は4月9日、遺族側の請求を棄却する判決を下した。1審と2審では、子どもの「監督 義務」を怠っていたとして、両親に1000万円以上の賠償を命じる判決が出ていたが、最高裁はそれを覆す判断を示した。

今回の最高裁判決を受けて、少年の父親は、代理人を通してコメントを公開した。その全文は次のとおり。

●児童の父親のコメント

私たち夫婦、息子にとって苦悩の10年でした。

被害者の方にケガを負わせ、結果的に死亡したという事実を厳粛に受け止め、親としての道義的責任を痛切に感じています。

息子は自分の蹴ったサッカーボールが原因で人が一人亡くなったということで、ずっと罪の意識を持ちながら、思春期、青年期を歩んできました。

ただ親として子供を守ってやりたいと思ったのも事実です。

息子は当日の放課後、学校のグラウンドで、友人とフリーキックの練習をしていたに過ぎません。もともとあったゴールにむかってボールをける、法律のことはよくわかりませんが、このことが法的に責められるくらい悪いことなのかという疑問がずっと拭えませんでした。

また、親として、少なくとも世間様と同じ程度に厳しくしつけ、教育をしてきたつもりでした。この裁判を通じて、「息子に過失がある」、「違法行為 だ」、「親のしつけ、教育がなっていない」と断じられたことは、我々親子にとって大変なショックであり、自暴自棄になりかけたこともありました。

本日、最高裁で判決が出たとお聞きしました。正直、まだ気持ちの整理もできておりませんが、我々の主張が認められたということでひとまず安堵しています。

ただ、被害者の方のことを考えると、我々の苦悩が終わることはありません。

(判決内容や弁護士の記者会見についての記事)

<最高裁・逆転判決>小学生が蹴ったボールで転倒し死亡――親の「賠償責任」認めず

http://www.bengo4.com/topics/2936/ 

(弁護士ドットコムニュース)

 

 

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