goo blog サービス終了のお知らせ 

東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

岡上淑子《地球の果て》 - 2025年2月のMOMATコレクション(東京国立近代美術館)

2025年02月22日 | 東京国立近代美術館常設展
 今期(2/11〜6/15)のMOMATコレクション展。
 
 その前半(〜4/13)には、岡上淑子のフォト・コラージュ作品1点が展示される。
 
 前期(2024/9/3〜12/22)からの継続企画となる「シュルレアリスム100年」と題した5室に、壁面ではなく、部屋内に立つ柱に展示されている。
 
岡上淑子(1928-)
《地球の果て》
1952年、35.7×26.0cm
東京国立近代美術館
 
 示された標識から街路が連想される、雲の絨毯が敷き詰められた世界で、男性が女性の手の甲にうやうやしく接吻するが、それを優しく受け入れたように見える女性の顔は骸骨と化している。登場人物たちの背後に広がるのは、初期作品の羅紗紙による背景を想起させるような虚空の世界である。彼女たちは、そうとは気付かれないように控えめに、けれども毅然とした態度で、果てしなく広がる舞台空間に佇んでいる。
神保京子『沈黙の薔薇 岡上淑子 -鎮魂と祝祭のコラージュ』(『岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟』(青幻社、2019年刊)所収)
 
 画面左下隅の「88」表示。コピーすることなく、拡大縮小することなく、色彩調整することなく、「88」を削ることなく、雑誌ページの実物をそのまま切り貼りして、これだけ魅力的な作品に仕立てあげる。感嘆するしかない。
 
 
 
 今期の5室「シュルレアリスム100年」の展示作品は、前期から一部の作家・作品の入れ替えはあるものの、メインとなる作品は、西洋(マックス・エルンストの新収蔵品など)・日本(北脇昇、浅原清隆など)とも前期から継続展示されている。
 
 そんななか大きな入れ替えと言えるのは、日本美術で、福沢一郎が退場し、靉光が登場したことだろう。
 
福沢一郎
《Poisson d'Avri(四月馬鹿)》
1930年、80.3×116.5cm
東京国立近代美術館
 
 埼玉県立近代美術館で開催中の企画展「メキシコへのまなざし」(2/1〜5/11)に出品中。
(画像は埼玉にて撮影)
 
 
靉光
《眼のある風景》
1938年、102.0×193.5㎝ 
東京国立近代美術館
 
 本作は、直近では、静岡県立美術館の企画展「無言館と、かつてありし信濃デッサン館 - 窪島誠一郎の眼」(2024/10/12〜12/15)に、その前は、京都・東京板橋・三重を巡回した「シュルレアリスムと日本」(2023/12〜2024/6)に出品されていたので、久々のMOMATコレクション展への登場となる。私的には板橋で見ているので、10ヶ月ぶり。
 
 
 
 また、私的には、ジョゼフ・コーネルに注目する。
 
 DIC川村記念美術館で開催中の千葉・佐倉での最後の展覧会を見たことを機に、コーネルに関心を持ち始めたばかり。
 コーネル作品の展示は、箱の作品1点(所蔵品)、コラージュ作品1点(寄託)で、前期からの継続展示だが、前期鑑賞時は完全スルーしていた。
 
ジョゼフ・コーネル
《ウィーンパンの店》
1950年、48.5×33.0×11.7am
東京国立近代美術館
 
 うーん、惹かれる作品名だが、DIC川村記念美術館所蔵の箱の作品7点のほうが好みかな。
 
 
 
 会期の後半(4/15〜)、岡上淑子作品は《宣誓》に展示替え予定。見逃さないようにしたい。
 
 
 楽しみな東京国立近代美術館の次の企画展も、あわせて。
 
ヒルマ・アフ・クリント展
2025年3月4日〜6月15日
東京国立近代美術館


コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。