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東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

《赤い帽子の娘》 - フェルメールの真筆性

2018年10月02日 | フェルメール
 
   ワシントン・ナショナル・ギャラリーは、4点のフェルメール作品を所蔵する。
 
   《手紙を書く女》は、来日経験が豊富。
   1987年の「西洋の美術:その空間表現の流れ」展、1990年の「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」、2011年の「フェルメールからのラブレター展」と3回。
   そして、今回のフェルメール展で7年ぶり4回目の来日を果たす。この来日回数は、《ディアナとニンフたち》(マウリッツハイス王立美)と並び最多タイ。東京・大阪とも通期展示される。
 
   《天秤を持つ女》は、2000年の大阪市立美術館「フェルメール展」で来日。高密度、緊張感あふれる傑作、との印象が残っている。
 
   《赤い帽子の娘》と《フルートを持つ娘》は、その真筆性に疑念がある作品。所蔵館では、前者を真筆、後者を帰属作としているようだ。どちらも来日したことがなかったが、今回、《赤い帽子の娘》が初来日する。
 
 
 
   本作《赤い帽子の娘》は、結構貸出が行われているようだ。1995-96年のワシントン/ハーグでの歴史的回顧展のほか、2001年のニューヨーク/ロンドン、2003年のマドリード、2012-13年のローマでの回顧展などに出品されている。
 
    1822年、パリのラ・フォンテーヌ競売で落札。1823〜1925年、アタラン男爵家が所蔵。1925年、クヌードラー画廊。同年、アンドリュー・メロンが購入。1937年、現所蔵館が寄贈受。
 
   フェルメールのパトロンであったファン・ライフェンが所蔵し、ディシウス・コレクションを経て、1696年のアムステルダムにて競売にかけられたフェルメール作品21点のなかの1点であるとも想定されているが、問題はその想定の前提となる真筆性。
 
   小林頼子氏は、その著書で、「きわめて精緻に描かれた質の高い作品」だが、「ただ、フェルメールの画業のどこにも位置づけるところがない」と、否定的な意見を記している。
 
 
   23.2×18.1cmの小サイズ作品。
 
   真筆とする研究者は、1665〜66年頃の制作、今回出品作で言えば《手紙を書く女》、出品されない作品で言えば、ウィーンの《絵画芸術》やマウリッツハイスの《真珠の耳飾りの少女》と同時期の制作を想定している。

   支持体は板が使われている。フェルメールの作品は、ほとんどすべてキャンヴァスに描かれているなか、板を支持体に使っているのは、本作と《フルートを持つ娘》、真筆性に疑念があるワシントン所蔵2作品のみである。


   本作は、東京会場のみ、かつ期間限定の出品。会期初日から12月20日まで。


   いよいよ、その真筆性を自分の目で判断できる機会がやってくる。
 
   フェルメール作であるかどうかは別にしても、「質の高い美しい作品」であるそうだから、楽しみである。
 
 
【追加】気になる唇のピアスらしいもの。


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