東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

「シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」展

2010年07月11日 | 展覧会(西洋美術)

ポンピドー・センターからの出品というので、優品を期待しての訪問。

まず地下2階へ。

第1展示室は、「Ⅰ.ロシアのネオ・プリミティヴィズム」。

シャガールのパリ以前の作品が5点。まだシャガール色も控え目なのが好印象。
「死者」(№2)、「父」(№5)、「収穫」(№4)辺り。
それ以外に、ナターリヤ・ゴンチャローワとミハイル・ラリオーノフの作品も並びます。
前者では「パンの売り子」(№7)、後者では「春」(№16)が印象的。

続いて第2展示室。「Ⅱ.形と光-ロシアの芸術家たちとキュビズム」。

シャガールの第1パリ時代、多くのいわゆる代表作が生まれた時期の作品が2点。
ここでは何といっても「ロシアとロバとその他のものに」(№18)。本展の目玉作品。人も多く集まっています。
ロバ、教会、そして頭を飛ばす農婦。
イディッシュ語とロシア語で、夢想に動かされるがままの人物を「頭が飛び立っている」というそうです。それを表現したのですね。初めて知りました。
ことわざをそのまま表現して、なんともグロテスク/残酷になってしまう絵というのはよく目にします。シャガール独自の幻想色がそれを気にさせなかったということなのですね。認識しました。

もう一つ、「詩人マジン」(№19)。目玉作品の隣に置かれ、サイズも小さいため、目立ちませんが、この時代のシャガールらしい優品であると思います。

奥では「シャガール:ロシアとロバとその他のものに」と題する2003年作の52分間のドキュメンタリー映画が上映されています。用意された席以上の人が集まっていたのでスルー。

エレベータで3階にあがって、第3展示室へ。

「Ⅲ ロシアへの帰郷」。シャガールは4点。「緑色の恋人たち」(№33)、「灰色の恋人たち」(№34)はよくみる作品。らしくないのが「墓地」(№35)や「立体派の風景」(№36)。前者がいいかなあ。他に、カンディンスキーの風景画が7点あります。

見学順番では次に「Ⅴ.歌劇「魔笛」の舞台美術」を見ることになります。
NYのメトロポリタン歌劇場リニューアルのこけら落とし舞台。1967年。
展示された写真を見ると、シャガール色満開の舞台。ちょっと引きそう。

第4展示室の「Ⅳ.シャガール独自の世界へ」
後期から晩年の作品が8点。
ロバ、ユダヤ人、バイオリン弾き、花嫁、ロシアあるいはパリの街並み、空中浮遊といったシャガール軍団が全開。これら定番には食傷気味ですが、さすがポンピドー、一定のレベルのものを揃えたようです。

それほどシャガールに興味があるわけではないですが、パリ以前の控え目作品や「ロシアとロバとその他のものに」、「詩人マジン」は見てよかったなあと思います。



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