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東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

国宝《鳥獣人物戯画》の公開状況について(メモ)

2021年04月27日 | 展覧会(日記)
   いつから国宝《鳥獣人物戯画》は、観客動員力最強の日本美術品となったのだろうか。
 
 
   東京国立博物館にて開催中の「国宝鳥獣戯画のすべて」展。
 
   当初は、東京五輪の開催時期にあわせ(?)、2020年7月14日〜8月30日の開催予定も、1回目の緊急事態宣言解除後の2020年5月29日に、2021年春への延期が発表された。その後、新会期が発表。
新会期:2021年4月13日〜5月30日
 
   4月13日に予定どおり開幕した本展は、3回目の緊急事態宣言発出を受け、4月25日より当面の間、臨時休館することが4月23日に発表された。
 
   ここまで僅か11日間開催したところで、最短でも15日間に及ぶ臨時休館入り。
   すべてがうまくいって5/12から再開するとして、残る会期17日間の開催が可能な計算とはなる。準備があるだろうから17日間は無理としても、再開の可能性を残している。
   とはいえ、緊急事態宣言が延長されて再開できない可能性の方が高いと考えざるを得ないだろう。
 
   私的には、大型連休中に本展を観るつもりで、アソビューでのオンライン予約を済ませていたが、チケットキャンセル手続き完了の連絡を早くも4/24にアソビューから受領した。
 
   《鳥獣人物戯画》甲乙丙丁巻は、京都・高山寺の所蔵であるが、東博・京博に寄託保管されているのだから、《鳥獣人物戯画》4巻だけでも、展示状態を維持したうえ(甲巻の「動く歩道」など)で、館の再開後しばらくの期間(臨時休館による休止日数分)公開してもらえないだろうか。もちろん、総合文化展料金で。
 
 
   国宝《鳥獣人物戯画》は、直近では、2014〜16年に京博、東博および九州博で、特別展の主演美術品として公開されている。
(追記)また、2019年に大阪の中之島香雪美術館での特別展で公開されている。
 
京都国立博物館
「国宝   鳥獣戯画と高山寺」展
2014年10月7日〜11月24日
203,830人(1日あたり4,740人)
 
東京国立博物館
「鳥獣戯画ー京都 高山寺の至宝ー」展
2015年4月28日〜6月7日
239,115人(1日あたり6,642人)
 
九州国立博物館
「京都  高山寺と明恵上人ー特別公開  鳥獣戯画」展
2016年10月4日〜11月20日
161,172人(1日あたり3,582人)
 
中之島香雪美術館(追記)
「明恵の夢と高山寺」展
2019年3月21日〜5月6日
 
   私は、2015年の東博に行っている。前後期制で、前期は4巻の前半部分、後期は4巻の後半部分の公開であった。
   大型連休後半の初日(前期)の訪問(←わざわざ混雑する日に行っている)だったが、平成館への入館が30分待ち、甲巻鑑賞に80分待ち、乙丙丁巻鑑賞に20分待ちの大人気ぶり。乙丙丁巻と他の展示品に専念し、甲巻の鑑賞を断念した。
 
 
   その前の公開は、2009〜12年の130年ぶりになるという本格修理の前の、2007年となるようだ。
 
サントリー美術館
「開館記念特別展  鳥獣戯画がやってきた! ―国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌― 」展
2007年11月3日~12月16日
133,313人(1日あたり2,020人)
 
   私も訪問したが、展示内容や混雑ぶりは忘れてしまっている。
   確認すると、前後期制で、前期は4巻の前半部分、後期は4巻の後半部分の公開であったのは2015年の東博と同じ。他に、断簡や模本、サントリー美術館所蔵のヘタウマ絵巻などが展示されたようだ。
 
 
   その前となると、東京国立博物館の総合文化展。
   この場合、東博が寄託保管している甲巻および丁巻のみで、その一部分の公開となる。
(以下、確認できた範囲。漏れあるかも。これ以外にも特別展への出品あるかも。京博が寄託保管する乙丙巻は確認対象外。)
 
国宝室   本館2室
国宝  鳥獣人物戯画巻  丁巻 
2009年1月6日〜2月1日
 
国宝室 本館2室
国宝  鳥獣人物戯画巻  甲巻  
2007年3月27日~ 4月22日
 
本館3室  宮廷の美術―平安~室町
国宝  鳥獣人物戯画巻  丁巻
2005年4月26日~6月5日
 
国宝室 本館2室
国宝 鳥獣人物戯画巻 甲巻 
2004年10月13日~11月21日
 
本館第13室
国宝 鳥獣人物戯画巻 丁巻
2003年8月5日~9月15日 
  
本館第11室
国宝 鳥獣人物戯画
2002年8月6日~9月16日  
 
国宝室  本館12室
国宝 鳥獣人物戯画 甲巻
2001年11月6日~12月16日
 
   このうち私が見たのは、2004年秋の国宝室での甲巻の公開。ウサギとカエルの大一番の場面。
   そんな経験から、《鳥獣人物戯画》甲巻は、東博総合文化展で見るものとの感覚があるのだが、今となっては、特別展の主役を担う、あるいは単独で客が呼べるようなスーパースターになったようで、総合文化展での登場は期待できないようである。
(岩佐又兵衛筆の国宝《洛中洛外図屏風》もそんな感がある。)
 
 
   さて、2021年春の展覧会開催にあわせて、書店には多数の「鳥獣戯画」本が並んでいる。私は芸術新潮2020年7月号「特集  謎解き鳥獣戯画」を購入済みなので、スルーする。
   しかし、上記芸術新潮購入時、既に来春への延期が発表されているなかでの当初予定会期にあわせての特集は、なんとも哀れに思ったが、さすがは新潮社、今度は新会期にあわせて「とんぼの本」化している。
   今回の予習として、上記芸術新潮を眺めた。東博の主任研究員である土屋貴裕氏の解説。丁巻へのコメントが印象的。
「丁巻をあまりディスらないでください。この作者は、ほんとうはかなり巧いのです。筆遣いが即興的というのがミソで、下手な人にはこれ程のスピード感では描けません。腕に覚えのある人がわざと崩して描いた、そんな印象を受けます。」
 
 
   6年ぶり、甲巻に関しては14年ぶりの鑑賞機会。
   事前予約制で、以前のような大混雑ではない鑑賞環境が期待できて、全4巻全場面が通期で一挙公開。甲巻の動く歩道も経験してみたい(スピードとか、どれだけ集中できるかとか)。
   状況が劇的に改善して再開できることを願う。
 
   東博の次、来年度以降に京博や九州博での開催を計画しているのだろうか。

 



4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (左京区)
2021-04-28 00:27:36
K様

 いつも楽しく拝読しております。

 鳥獣戯画の展示ですが、以下もありました。

 中之島香雪美術館
 「明恵の夢と高山寺」展
 2019・03・21~2019・05・06

 この展覧会では、全4巻を公開するとともに、高山寺の名品を展示するものでした(子犬像・樹上座禅図・仏眼仏母図など)。

 今回の展覧会ですが、当初は2020年の開催予定でした。本展は予定通り開催された東京都美術館の「三大浮世絵コレクション展」、昨年開催される予定ながら今年に延期になった「北斎づくし展」と同じく東京五輪を意識した展覧会と思いますので、これ以降の巡回はないのではないでしょうか。

 東京ミッドタウン・ホール
 「北斎づくし」展
 2021・07・22~2021・09・17
 当初は、2020・07・18~2020・08・30の予定でした。

 何の根拠もないですが、勝手な推察です。
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Unknown ()
2021-04-28 20:25:49
左京区様

コメントありがとうございます。
また、ご指摘ありがとうございます。

中之島香雪美術館の展覧会、当時は気になっていたのに、すっかり忘れていました。前期は甲乙巻、後期は丙丁巻(期間内に巻替えあり)の公開のようですね。後日、記事に追記したいと思います。

東博の鳥獣戯画展、早く事態が改善し、再開できるようになって欲しいものですが、仮に再開したとしても事前予約が厳しそう。次の機会待ちと考えています。

次の東博の特別展「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」も楽しみにしているところです。これも1年延期された展覧会で、開幕日は6/22。その頃には当然落ち着いていて欲しいものです。

引き続きよろしくお願いいたします。
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今は昔 (Unknown)
2023-10-13 21:15:09
情報提供ありがとうございます。
私が見たのはいつだったか忘れましたが、東博で多分全巻を客がガラガラの状態でゆっくり鑑賞しました。今では、あり得ませんね。
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Unknown (k-caravaggio)
2023-10-14 17:48:59
unknown様
コメントありがとうございます。
正確性に欠ける内容ですが、少しでも参考になったのであれば嬉しいです。
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