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東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

バーン=ジョーンズ展(三菱一号館美術館)

2012年08月05日 | 展覧会(西洋美術)

物語の世界を描いた、英国絵画の巨匠
バーン=ジョーンズ展-装飾と象徴-
2012年6月23日~8月19日
三菱一号館美術館


 楽しめました。バーン=ジョーンズ展。


 バーン・ジョーンズの名前は認識しており、これまでもいろんな展覧会で、1~数点の作品を見る機会は何度もあったと思います(例えば、現在ブリヂストン美術館で開催中の「ドビュッシー、音楽と美術」展。1点の油彩作品、1点のスケッチを見ることができます)。
 でも、印象を残すには至りませんでした。

 
 また、イギリス美術(+ラファエロ前派)といえば、描かれた当時の流行文学や中世文学といった、馴染みのない題材の絵画が多いというイメージがあり、敬遠しがち、といいますか、大陸の絵画と比べると専門的にはいろんな歴史的背景があげられるのでしょうが、独特の癖を感じざるを得ません。


 以上のように縁が薄い意識があったのですが、こうしてバーン=ジョーンズという一画家の作品をまとめて見ると、バーン=ジョーンズの世界は素敵だなあと。
 他のイギリス画家(ラファエロ前派画家)とどう違うのかはわかりませんが、バーン=ジョーンズは、一種の親しみやすさ(あるいは癖の弱さ、あるいは普遍性)があるのかなあ。
 実にありがたい機会でした。関係者の皆様に感謝します。

 


 以下、印象に残った作品を記します。


旅立ち-「地上の楽園」を求めて
○慈悲深き騎士(バーミンガム美)
  


聖ゲオルギウス-龍退治と王女サブラ救出
○龍を退治する聖ゲオルギウス(ニュー・サウス・ウェイルズ美(シドニー))


ペルセウス-大海蛇退治と王女アンドロメダ救出
◎メドゥーサの死2-連作「ペルセウス」(サウサンプトン市立美)
◎果たされた運命:大海蛇を退治するペルセウス-連作「ペルセウス」(サウサンプトン市立美)
→9点にも及ぶ連作下絵。残り7点の写真図版も掲示されていましたが、たぶんこの2点が秀逸。

 

寓意・象徴-神の世界と人の世界
◎運命の車輪(ナショナル・ギャラリー・オブ・ヴィクトリア(メルボルン))
→今回、一番優れた作品と思いました。奴隷・王族・詩人ですか。
 


トロイ戦争-そして神々
○牧神の庭(ナショナル・ギャラリー・オブ・ヴィクトリア(メルボルン))
→キャプションにもそのような内容が記載されていましたが、ルネサンスのイタリア絵画を彷彿とさせる緑豊かな牧歌的な親しみやすい作品。しかし牧神パンは侮りがたい。


いばら姫-「眠れる森の美女」の話
○王宮の中庭・習作 全6点(ダブリン市立ヒュー・レイン美)
◎眠り姫ー連作「いばら姫」(ダブリン市立ヒュー・レイン美)
→女性が眠る姿はロマンチックですね。ちょっと不自然な姿勢のものもあるけれど。別バージョンも見たい。
 
 

ポートレート-画家と自画像
○風刺的自画像-描かれざる傑作の群れ
→個人の回顧展では欠かせない、ひねったテーマのスケッチ。描きたいものがたくさんあるのみ忙しくて実現できなかったそうです。 


 あと、印象に残ったのは本展のポスター。
 美術館の壁に展示された「果たされた運命:大海蛇を退治するペルセウス」と、その前に並ぶ地元の子供たち。
 なんとも素敵な光景。
 絵画の前で人が鑑賞している、その鑑賞する人の姿を含めてバーン=ジョーンズの絵画を鑑賞する。
 気のせいでしょうか、遮るものがない状態で鑑賞するよりも、一段とバーン=ジョーンズの絵画が素敵に思えました。



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