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平沢屏山《アイヌ風俗図》を見る - 2024年1月の東京国立博物館総合文化展より

2024年01月15日 | 東博総合文化展
 東京国立博物館本館の1階16室にて。
 この作品は初めて見る。
 
 
平沢屏山
《アイヌ風俗図》2面
江戸時代・19世紀
東京国立博物館
男性像
 
女性像
 
 
 平沢屏山(1822-76)は、アイヌ絵の代表的な絵師とされる。
 10人余りが知られるアイヌ絵師のなかで作品数で群を抜いており、また、その観察眼と精緻で丁寧な描写による風俗画は、アイヌ文化を読み解く重要な資料とされているようだ。
 
 屏山は、現在の岩手県花巻市で、裕福な名主の長男に生まれる。
 父が死亡してから困窮し、弘化年間(1844-47)に、弟を連れて箱館に渡る。船乗りを相手とする絵馬を描いて生活をする。
 その後、豪商杉浦嘉七の知遇を得る。十勝地方や日高地方幌泉などにあった嘉七の請負場所を訪れ、そこでの生活の中で接したアイヌの姿や暮らしを表す風俗画を数多く制作する。
 
 欧米の研究者がアイヌやその文化に強い関心を示すようになった幕末から明治にかけて、箱館を訪れた外国人は誰もが屏山のアイヌ絵を求めたと言われ、現に海外コレクションも多く確認されているという。
 
 生誕200年となる2022年には、市立函館博物館にて、函館市の所蔵作品を主とする「平沢屏山とその時代」展が開催されている。
 
 私的には、初めて名を知る画家であったが、例えば「種痘図」など、その作品自体は図版によりこれまで目にしていたようだ。


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