超絶技巧!明治工芸の粋
2014年4月19日~7月13日
三井記念美術館
2010年に泉屋博古館分館開催の「幕末・明治の超絶技巧 世界を驚嘆させた金属工芸」展にて、目を見張るばかりの金属工芸品を楽しんだ。同展は、他の所蔵作品も含むが、メインは京都・清水三年坂美術館所蔵作品であった。
今回は、清水三年坂美術館所蔵作品100%。範囲も広がっている。
1:七宝
2:金工
3:漆工
4:薩摩
5:刀装具
6:自在
7:牙彫・木彫
8:印籠
9:刺繍絵画
最初の展示室1・2で、まず各分野の名品を一気に概観したうえで、展示室3以降で、分野ごとにじっくりと味わう形。
まずは「牙彫・木彫」。
一番のお目当て、安藤緑山の象牙彫刻。
最高傑作と言われる≪竹の子、梅≫。展示室2に単独展示。
竹の子といわれても、実物に触れる生活を送っていないので、ピンとこない面は否定できない。
それでも、「美の巨人たち」で言う、「根元から生えた根の生き生きとした艶」、「ピンク色の新しい根には生命力さえ感じさせ」、「隙間まで再現した極めて薄い皮の作り」、梅の「薄い葉の精妙な細工や、枝一本の質感の作り込み、丸々とした果実の肌触りと色合い」に感心する。
展示室4の中央特設ケースに、12点。
茄子、パイナップルとバナナ、柿、ザクロ、蕪とパセリ、蜂の巣、焼き栗など。
特に驚嘆したのは、ミカン。本物にしか見えん。
実物に触れる機会が多いものに反応するのは仕方がないが、それがミカンというのは、自分ながらいかがなものか。
次に「自在」。展示室5。
一見、置き物のようだが、実は、体の各部分を自由自在に動かすことができる優れもの。
動かす展示はもちろんしていないが、代わりにビデオで3点(蛇、鯉、蜂)の動く様子を上映。
手長海老や超小型の蟹などが動く姿も見たい。
もう一つ、象牙!による「自在」作品1点、弁慶蟹の動く姿も見たい。
「金工」。
昆虫だ、蛙だ、鳥だ、枯れた植物だと、キワモノ系が好み。
展示室1の≪蓮葉に蛙皿≫、≪古瓦鳩香炉≫、展示室4の≪鯉鮟鱇対花瓶≫、≪柘榴に蝉食器≫(いずれも生阿弥勝義作)に惹かれる。
また、「七宝」や「薩摩」の超絶微細の絵柄も忘れてはならない。
設置された拡大鏡を通して見て、感心するばかり。
幕末・明治にかけて、外貨が稼げる産業として力を入れられてきたが、日本の産業構造の変化や欧米コレクターの趣味の変化を受けて、やがて廃れてしまった明治工芸。展覧会題名どおりの超絶技巧を楽しんだ。
やはり、一度、清水三年坂美術館は訪問すべき。