投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

朝鮮日報 鮮于鉦(ソンウ・ジョン) 「整形中毒」のソウル


>小学生のころから常連だったそば店「味進」、暑い日によくプルナクチ(タコの激辛料理)を食べに行った「シルビチプ」や「ソリンナクチ」、スンドゥブチゲ(おぼろ豆腐鍋)の老舗「カムチョン」などが

鮮于鉦記者は都会っ子だったんだ。ソウル育ちの都会っ子が、子供の時に何を食べていたのかが分かる記事。




【コラム】「整形中毒」のソウル(上)
 先日、休暇を取って帰国し、ソウル・光化門一帯を散策した。4年ぶりのことだ。米国産牛肉の輸入に反対するろうそくデモ、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の国民葬などが外国メディアに取り上げられたため、これらを通じて光化門周辺の様子を見る機会はたびたびあったが、実際に歩いてみると、想像以上の変わりようだった。


 まず、ほとんどの建造物がシートで覆われている光景に驚いた。光化門、ソウル市庁、そして理由はまったく違うが、ソウルの象徴・崇礼門(南大門)もまたシートに覆われていた。戦争が終わった直後の復興途上の都市を別とすれば、都心の目抜き通りがこのように工事現場やシートだらけという状況は、世界的にも珍しいことだ。4年前にソウルをたったときは、清渓川やソウル広場がシートで覆われていた。崇礼門や市庁、光化門を覆っているシートが取り外されれば、今度は別の場所がシートで覆われることだろう。


 もう一つ、驚くべき光景に接したのは、大通りから路地に入ったときだった。かつて、空腹を満たすために足しげく通った路地がすべてシートで覆われていた。小学生のころから常連だったそば店「味進」、暑い日によくプルナクチ(タコの激辛料理)を食べに行った「シルビチプ」や「ソリンナクチ」、スンドゥブチゲ(おぼろ豆腐鍋)の老舗「カムチョン」などが、もともとあった場所から立ち退き、無味乾燥とした雑居ビルの1-2階に集団移転していた。その様子を見た記者は友人に「これは奇跡だ」と話した。全体主義国家を別とすれば、それなりに誇りを持って都心で営業してきた老舗を立ち退かせ、1カ所に集めるという国が、世界のどこにあるだろうか。


 シートが取り払われた清渓川は実に見事だった。だが、清渓川が素晴らしいからといって、光化門一帯を丸ごと、清渓川のように変えてしまおうというのは、例えて言えば、鼻の整形手術がうまく行った後、目や口、骨格や肌の色まで変えようとした、欲張りな有名歌手の姿とダブって見える。中でも、路地の老舗の飲食店まで立ち退かせたのは、極端な「整形中毒」といえるものだ。1960-70年代、都市の文化を地方に押し付け、昔ながらの地方の文化を破壊していった様子とよく似ている。


 ソウルは「整形美人」への変身を夢見ているのかもしれない。何が何でも二重まぶたにしようとしたがる、整形中毒の3流俳優に、「東洋的な一重まぶたの美しさ」を説いても意味はない。開発の業績と政治的な業績を同じ土俵の上で考える人たちにもまた、「路地の美しさ」を説いても意味がない。あちこちに巻き付けられた「都市の包帯」をはがし、見事な変ぼうぶりを見せつけようとする様子には、政治的な欲望ばかりが感じられる。


東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員




【コラム】「整形中毒」のソウル(下)
 こんな光景を見ても何も思わないソウル市民は、とても寛大だと思う。目も鼻も口もすべて整形したことを堂々と公言した女優に対し、「整形したからどうだっていうの? ただきれいになったというだけでしょう」という反応を見せる、やや世知辛い現代人の姿そのものだ。政治的な利権と個人的な財産権の不釣り合いな関係が、「都市の整形」を「都市の発展」だと思わせる集団洗脳を招いたのではないだろうか。


 光化門一帯を散策した日、ソウルには雨が降った。雨が止んだ後、道のあちこちに水たまりができた。4年前、ソウルにいたとき「雨が降れば水たまりができる」と当たり前に考えていた。だが、東京ではあまり水たまりができない。では、なぜソウルでは水たまりができるのだろうか。それは道路の整備が遅れていて、雨水が下水口にうまく流れていかないためだ。雨水だけではない。露店の汚水もあちこちにたまっている汚らしい都市、それがまさにソウルだ。


 都心を歩く人たちを見ていると、道が悪くなれば歩き方も悪くなるという印象を感じた。ブロックや水たまりがあれば、真っすぐ進むことができなくなる。よく知られているように、ソウル市民は歩くスピードが早く、その分歩くときのマナーも良くないため、国際的な評判が悪い。「良くない道を歩くことによってたまったストレスを、きれいな公園で発散する」というのがソウルの工事現場の論理でないとすれば、ただ外見だけをきれいにする以前に、足元の悪い道を直すことの方が先決ではないだろうか。


 ソウルは600年の歴史を誇る古都だ。摩天楼や都心の公園を必要とする新興国の都市ではない。緻密(ちみつ)で徹底した設計を行い、すべてのものを人工物で固めてしまおうという開発の手法は、仁川の松島や地方の大都市に適用すればよい。ソウルは、歴史と現代を共存させつつ、整然とした首都の品格を兼ね備えた都市にしていくことを切に願う。


東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員



http://www.chosunonline.com/news/20090802000023

http://www.chosunonline.com/news/20090802000024


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