投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

続・李子柒 Liziqi その家の構造が知りたいのだが、、、、、

前の投稿「李子柒 Liziqi その家の構造が知りたいのだが、、、、、」の続きです。
https://blog.goo.ne.jp/k-74/e/c87e27ea2ce5f4a37ff103f67fc18c96

四川盆地の稲作地帯の集落、民家について書かれているものを見つけました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsahj/20/0/20_102/_pdf/-char/en

「四川盆地の稲作地域では、集落ないし村落という概念を適用するのが不適切としか思われない農村景観をみることができる。それは、二~三戸の家屋群ユニットが、一キロメートルほどの間隔をおいて分散配置された散居村システムである。この分散型集住様式については、地理学及び社会人類学の分野で早くから注目されてきた。建築学の立場からみても、住居が茅葺の曲屋である点、屋敷構えが竹薮の屋敷林で固まれた外庭型である点など、漢族住宅の常識から逸脱している特色がみられ、家屋群ユニットの配列構造などとともに、解明すべき問題も少なくないが、これまで本格的な調査はまったくおこなわれていない。昨夏、九年ぶりに成都を訪れたところ、開発ブームのなかで茅葺民家が激減しており、早急な調査がのぞまれる。」

外庭型というのは日本の民家のほとんどがそれなので想像がたやすいかと思います。内庭型は中国の四合院(しごういん)が代表例かと。パティオです。方形の中庭を囲んで東西南北4棟を単位とした北方中国伝統的家屋建築。もう中国でも少なくなってしまった建物かと。紹介した文章では「(外庭型の民家は)漢族住宅の常識から逸脱している特色がみられ」と書かれています。まあ漢民族自体、漢語を話す人たちの集合体ですから漢民族という人工的な民族にこだわっても意味が無いかもしれません。微妙に異なる習慣や文化が混在している集団だと考えた方が良いかと思います。窰洞(ヤオトン)という民家形式が中国にはあります。黄土を横に掘るものと下に掘るものがあり、下に掘るものは地抗式、地井式、下沈式と呼ばれますが、地面を四角く掘り、出来上がった方形の地下空間を中庭としてその四方の壁を穿って部屋を作るというものです。四合院は下沈式が平地で上に立体化したものだと私は思っています。黄土地方の民家形式の延長線上にある。四川の物は中庭が無いという点でまったく異なる形式です。

日本には分棟型という住居形式があって、釜屋が別棟になる民家形式です。もちろん外庭型。これは琉球地方から九州、四国、近畿、東海、相模、房総と分布しています。済州島も分棟型です。黒潮(黒潮分流の対馬海流も)が洗う地域になります。東南アジアには分棟の民家は無いそうです。私は遠い昔、そういう家の造りを持っていた人たちが日本に流れ着いて残した民家の形だと思っています。四川の外庭型の「二~三戸の家屋群ユニット」の民家形式を分棟型だと見れば、日本に近いのかも知れません。中国江南の稲作民が行きついた場所という関係が日本と四川にはあるのではないかと思います。

李子柒の家は前の投稿で想像した通りの造りなのでしょう。「二~三戸の家屋群ユニット」とは寝室、釜屋、納屋で構成された家屋なのだと思います。「屋敷構えが竹薮の屋敷林で固まれた外庭型」も想像通りです。李子柒の動画に出てくる建物は火を使う台所、寝室、納屋、あとは食事を取る小屋だけなんですね。寝室と納屋は扉がある閉鎖空間ですが後は解放空間。台所も庭に面しては壁の無い建物だと見えます。

*How to make a Chinese red-cooked tomato beef soup?の回の0:47あたりで家の屋根が見えます。波打った傷んだ瓦屋根にも見えるけど檜皮葺の感じ。茅葺とは違うように見えます。

こういうのも見つけました。
https://www.pinterest.jp/pin/644999977861110539/

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