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漢韓大辞典




【萬物相】漢韓大辞典


 1943年、漢学者の諸橋轍次が製作した「大漢和辞典」の第1巻が出版され、大きな話題となった。古代から近代までの漢字と熟語の解釈や出典、用例を収録するという膨大な作業に一人で取り組んだ諸橋の挑戦は、多くの人を驚かせた。諸橋は1960年に漢字4万9000字と語彙40万語を収録した全13巻の辞書を完成させ、日本政府から文化勲章、中国政府から学術褒賞が授与された。


 諸橋が「大漢和辞典」の編さん作業を行っていた1945年、東京大空襲によって組み上がっていた活字がすべて溶けてしまったことがあった。それでも挫折することなく作業をやり遂げることができたのは、それだけ学者や出版人としての強い執念を持っていたからだ。だが、諸橋はあまりにも目を酷使したため、右目の視力を失い、左目も拡大鏡を使わなければ字を読むこともできないほど弱ってしまった。諸橋に辞書の出版を持ちかけた大修館の鈴木一平も、この辞書の編さんに社運を賭けていた。予想以上に多くの作業が必要となったため、実子らの学業を中断させ、作業に従事させたほどだった。


 「大漢和辞典」は漢字文化圏の宗主国を自負していた中国に大きな衝撃を与えた。まず台湾で学術院の主幹による辞書の編さん作業が始まり、1962年に漢字5万字と語彙40万語を収録した「中文大辞典」全10巻が刊行された。中国では1975年に6つの省・市から学者420人を動員する人海戦術を通じた作業が始まり、1994年に漢字5万6000字と語彙37万語を収録した「漢語大詞典」全13巻が出版された。


 韓国では檀国大東洋学研究所が1978年に「漢韓大辞典」の編さん作業に着手した。学界の重鎮だった一石・李熙昇(イ・ヒスン)が初代所長として指揮を執り、21年後の1999年に第1巻を発表、昨年までに計12巻を刊行した。そして作業開始から30年後の今年、3巻を追加し、遂に全15巻として完成することが決まった。この辞書には漢字6万字と、語彙50万語が収められている。こうして世界最大の漢字辞典が、韓国で誕生することになった。


 辞書の出版はその国の文化水準を反映する重要な事業だ。そしてその事業の裏には、辞書に人生を賭けて取り組む人々の存在がある。例えば英語圏最大の辞書「オックスフォード英語辞典(OED)」は、36年をこの辞書の編さんに捧げた初代編集者ジェームス・マレーをはじめとする関係者らによる努力の賜物だ。韓国の「漢韓大辞典」にも何十年をこの事業に没頭してきた専門家らの努力の結晶だ。ただ予算や人材面の制約により、最後の作業がやや駆け足で行われた点が惜しまれる。もともと辞書とは絶えず改訂され、補充されるものだ。「漢韓大辞典」の完結もまた、終わりではなく始まりに過ぎない。


李先敏(イ・ソンミン)論説委員



http://www.chosunonline.com/article/20080110000070






>もともと辞書とは絶えず改訂され、補充されるものだ。「漢韓大辞典」の完結もまた、終わりではなく始まりに過ぎない。


いや、たぶん終わりです。
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