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ホリスティックな学びとケアへの誘い

あらゆるひと・もの・こととのつながりとつりあい、つつみこみ、つぎ/つづけられるでしょうか❤️

カタカナ語概念について

2014年08月19日 04時49分16秒 | 越境する教育学の創成

カタカナ語概念について

過日(2014年8月13日)、わたくしのブログ「越境する教育学の創成」において「東京学芸大学教職大学院 キーワード・カタカナ語事典」についてふれたが、ここでは、カタカナ語概念について考えてみたい。:http://pedagogytocrosstheborder.blogspot.jp/2014/08/2013.html

講義でもふれるが、まずは、コンプライアンスComplianceについてふれたいと思う。

一般にコンプライアンスは、「法令遵守」と訳します。しかし、この訳だけではコンプライアンス概念はおさまらない。
コンプライアンス概念には、法令遵守に加えて「誠意性・倫理性」を含む。
単なる法令を守ればよいというものではなく、誠意性や倫理性を持つことなしに、コンプライアンスとは言えないと言ってよい。
*浜辺陽一郎(2005)『コンプライアンスの考え方―信頼される企業経営のために』中公新書

次に、日本語の「管理」という言葉について考えてみたい。
「管理」という言葉の英訳は何か?
これも講義でふれることがあるが、以下の多様性に注目してほしい。
① controlコントロール(統制)
② managementマネジメント(経営)
③ administrationアドミニストレーション(運営)
④ supervisionスーパービジョン(監督)
⑤ directionディレクション(指導)
⑥ chargeチャージ(責任)
そして、
⑦〔     〕などがある。

最後の⑦にはどんな英訳が入るのか。
この⑦の言葉に「管理」概念があることに驚きを禁じえない。

さらに、しばしば使われるケースCaseという語の訳語に注目したい。

1 対象 : 私たちの日常的な教育活動・・・
2 事例 : 事件・事故・災害の発生・・・
3 問題: 死傷・心的外傷・感染症・不登校・・・
4 事件 : 被害回避・縮減不能=クライシス・・・
5 真相 : 事実の把握・因果関係の究明・・・
6 症例 : 身体症状、心の病とその対応・・・
7 論拠 : 道義的責任、説明責任の根拠・・・
8 裁判 : 係争関係、裁かれる個人と組織・・・

たかがケース、されどケースである。
ケースの意義については、この至言!
「ケースは人を作る。ケースはルールと手続きを作り、そして、制度を作る。」 (憲法学者・角替 晃の言葉)

日本語の持つ豊かさを否定するものではない。
ただ、その限界にも目を向けたい。
国際化、グローバル化が進む中で、日本語をも問い直す必要はないだろうか。

言語活動の充実が叫ばれ、各教科・領域を超えて児童生徒への教育活動を見直さねばならない今、教師自身の言語感覚・言語活動を拡張・深化させる必要があるのではないだろうか、

日本語の豊かさ、面白さについてもふれておきたい。

かつて、「ことばの教師」を自認しておられた国語科の小林直樹氏が同僚にいた。
彼から実に数多くの刺激を受けた。
今日、わたくしがことばにこだわりを持つに至ったきっかけは、
彼の存在なくして語ることはできない。

そのひとつが「やまとことば(和語)」への注目であり、ひらがなへのふり漢字の妙である。

彼は常に中学生や同僚教師に「わしづかむ」ことの大切さを訴えておられた。
わしにはふたつのふり漢字をして用いる。
まさに猛禽類の鷲の如く鷲がつかむ。
だれでもない儂(私)がつかむ。
彼は、今、母国を離れ、異国でことばの《ひと》として暮らしている。

越境する教育学の創成には、ことばに関する感覚を研ぎすますことと、その限界も理解していることが大切だと思う。


実践と理論と哲学の関係性

2014年08月10日 08時45分37秒 | 越境する教育学の創成

実践と理論と哲学の関係性

思索・哲学MEMO(1)

ESD:Education for Sustainable Development 持続可能な開発のための教育(一時、文部科学省は「持続発展教育」という訳を使っていたが、現在、これを使用している)

ある地方公共団体の教員採用試験の面接で、突然、「イー・エス・ディーとは何か」と尋ねられたと言う。

ESDの実践研究は、10年も行なわれてきたし、国連ESDの10年(2005-2014)
の最終年である今年、教員採用試験の面接でESDについて問われたという報告は初めて受けた。

その学生は、教採対策の過去問にもなく、予想だにしていなかったと言うが、昨年来、ESDは教職大学院の講義で資料や冊子を配布して、なおかつESDカリキュラム(昨年度は〈いのち生命〉のカリキュラム)まで開発してきたことですし、また、講義を離れ、直前の何気ない対話の中で語ったある市の、ある中学校におけるESDの取り組みの話をしていたことも功を奏して何とか答えられたと言う。

ここで大学・大学院で学び究めたこと(教育・研究)と学校現場(採用・実践)との関係性についてふれたい。

実 践

理 論
↓↑
哲 学

↓を降りると、一般に抽象性を増し、↑を昇ると具体性が増す。

ここかしこにある実践には、実践者が意識していようがいまいが、それを支え裏付ける理論や哲学がある。
また、哲学や理論は、研究者はここかしこにある実践から長い年月をかけてか、瞬時にか、その哲学や理論の有意味性ーその拡張・深化を含むーを見出す。

わざわざ大学院に来て、実践と研究とをつなごうとする者は、絶えずその双方の矢印 ↓↑ を行き来する必要がある。

それも、だれそれから教えられることではなく、
みずからが、みずからの学びや暮らしの履歴と体験とのつなげがりやかかわりを紡いでゆくものだ。

そして、霧の中を彷徨うこと、もやもや感を醸し出すその霧に包まれることへの抵抗感がなくなっていったとき、否、それが快感や喜びになったとき、今ここにある霧は晴れてゆくのだろう。

ただし、注意をしなければならないのは、学校や教室で向かい合う他者と語り合うとき、剥き出しの理論や哲学の概念を振りかざしてよい環境なのか否か、十分、留意しなければならない。

実践を支え意味付ける概念(難しい漢語やカタカナ語、アルファベット語)をみずからよく咀嚼して、翻訳・翻案でき使っているかどうか。

まさに ↓↑ を往還運動を根気づよく続けることだ。

今朝はここまで。
次回、カタカナ語について思索・哲学してみたい。


クラスの「気になるあの子」の自己肯定感を高めるには・・・

2014年05月27日 06時27分58秒 | 越境する教育学の創成
東京学芸大学教職大学院「教育ネットワークの構築方法2014」
公開特別講義(Ⅰ)

クラスの「気になるあの子」の
自己肯定感を高めるには…

小学校であれ、中学校であれ、高校であれ、クラスの中で「気になる子」に出会うことは、必ず、あります。
授業の中で、「発達障害とは何か?」と勉強する機会はあっても、実際、発達障害の(疑いがある)児童・生徒を目の前にして、戸惑うことは、往々にしてあるのではないでしょうか。
今回の講師である冠地さんは、ご自身が発達障害を抱えていらっしゃいます。当事者としての視点
からご講演いただくことで、発達障害の(疑いがある)児童・生徒では、なかなか言語化できない思いや状況を伺うことができるでしょう。また、ワークショップを実践し、発達障害を抱える人とのコミュニケーションの理解を深めます。
教員や学生の皆さんは、「教師としての在り方」を考えるヒントにしてみませんか。
そして、当事者の方とその保護者の方、一般市民の方も、ぜひ、ご参加ください。

企画・ノットワーキング(結び目づくり)担当の院生チームと本講義担当教員・成田喜一郎
 
 
1 日 時
2014年6月2日(月)17:50~20:00(予定)※開始時間にご注意ください。 

2 場 所
東京学芸大学教職大学院 講義室1

3 アクセス
武蔵小金井駅北口より、京王バス・中大循環ゆきで「学芸大東門」で下車徒歩2分で教職大学院棟(白い2階建て)です。東門を入らずに専用入口からお入りください。
 
4 講 師
冠地 情 氏(かんち じょう)(東京都成人発達障害当事者会「イイトコサガシ」代表)http://iitoko-sagashi.blogspot.jp/
※プロフィール:東京都成人発達障害当事者会「イイトコサガシ」代表。東京43区市、全国各地40都道府県にてコミュニケーション能力向上ワークショップ等を600回以上実施。参加人数は延べ6000名以上、新聞(全国紙・地方紙)28紙に活動が掲載されています。お名前の「冠地 情」は本名です。

5 内 容
講演とワークショップ「発達障害(の疑い)のある児童・生徒が自己肯定感を高めるには?」

6 参 加
参加希望の方は、6月2日(月)午前中までにメールでお申し込みください。
宛先:knarita@u-gakugei.ac.jp
件名:「20140602参加申し込み(氏名)」
本文:「①ご所属②講演を知った経緯③講演会に期待すること」
申込締切:2014年6月2日(月)12:00まで
参加費:無料

【本特別講義のノットワーキングを担当した院生たちからのメッセージ】

講演会&ワークショップでは、「クラスの『気になるあの子』の自己肯定感を高めるには…」と題し発達障害(の疑い)のある児童・生徒とのコミュニケーションやその理解について学びたいと考えています。
学校現場で、教員は、児童生徒を目の前に、以下のように感じる場面があります。

☆どうすれば積極的にコミュニケーションを図れるようになるのかな(なぜコミュニケーションを図る ことに消極的になりがちなのかな)?
☆発達障害当事者の感じ方ってどんな感じなのかな?
☆どんな環境づくりを心がけたらいいのかな?
当事者の冠地さんのワークショップや講演を通して、これらの疑問を解決するためのヒントが得られたらと考えています。
教員や教員を目指す学生の「学び」を深める一助になっていただけたら幸甚です。
是非、ご参加ください。

【教職大学院ってどんなところ?】

東京学芸大学教職大学院は、「協働する力」をキーワードとした専門職大学院です。より良く協働するために必要となる下記の4つの力を備えられるよう、日々学んでいます。
1.協働による実践を通して、省察的に実践を捉えることのできる「柔軟な実践力」
2.学校づくりや授業づくりに創造的に参画することのできる「創造的な改革力」
3.実践と理論の往還を可能とすることのできる「実践と理論の融合力」
4.学校教育の課題を率先して解決することのできる「先導的な指導力」

 

最近の拙著書誌情報(一部)

2014年03月24日 16時38分04秒 | 越境する教育学の創成

鳥取県立図書館蔵書検索「成田喜一郎」関連書籍書誌情報

http://www.library.pref.tottori.jp/index.html

「成田喜一郎」を入力・検索

タイトル副書名著者出版社巻名出版年分類状態
「いじめ」を超える実践を求めて   ホリスティックなアプローチの可能性  日本ホリスティック教  せせらぎ出版    2013.10  371.45  利用可能 
グローバル時代の国際理解教育   実践と理論をつなぐ  日本国際理解教育学会  明石書店    2010.7  375  利用可能 
高度実践型の教員養成へ  日本と欧米の教師教育  三石初雄/編  東京学芸大学出版会    2010.3  373.7  利用可能 
必携!教師のための個人情報保護実践マニュアル まず、おさえる編 学校行事編 実務編 資料編 角替晃/編  教育出版    2005.6  374  利用可能 

付:参考情報「学校・先生のためのお役立ちメニュー」

http://www.library.pref.tottori.jp/hp/menu000002400/hpg000002323.htm

 


教員養成の「高度化」を考える:教師の専門職性

2014年03月22日 09時12分10秒 | 越境する教育学の創成


教員養成の「高度化」を考える:教師の専門職性

2014(平成26)年3月21日(金)、東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研究センター教授・三石初雄先生主催の研究会(退職記念講演会)が開催された。
三石初雄先生の講義の骨子は以下の通りだった。

 はじめに
 1.授業づくり(教育内容論)とカリキュラム開発
 2.授業研究・カリキュラム研究の方法論を考える
   ー学習科学との出会いー
 3.教員養成の「高度化」を巡る動きから

講義を聴いて〈初めて〉分かったことがいくつかあった。

(1)先生のライフヒストリーの中に3つの原風景・原体験があったこと。くにたち・ふくしま、そしてこの東京学芸大学である。
(2)先生の研究履歴を考える上で、板倉聖宣・庄司和晃らの「仮説実験授業」「授業書」、遠山啓氏らの雑誌「ひと」との出会いが重要な役割を果たしていたことである。
(3)教職大学院の「カリキュラム開発の方法」の講義の中でもしばしば触れられていた稲垣佳世子・波多野誼余夫の『人はいかに学ぶか』、教師の「熟達化」と熟達者の持つ統合された知識(PCK)、三宅なほみ「協調学習」「ジグソー法」等学習科学との出会いである。
(4)実践的研究者、研究的実践者における研究や実践の背景にある文脈(原風景・原体験)や研究履歴を読み解くことの有意味性である。

わたくしは、三石先生の3学年下の世代であるが、異なる原風景・原体験を経て過ごしつつも、ほぼ同時代を過ごしてきた。
わたくしは、歴史学をバックグラウンドに持つ社会科教育の実践過程(1978.4ー2007.4)で、わたくしも仮説実験授業(『歴史の見方考え方』『私の評価論』等)の影響を受けたたり、しばしば『ひと』(1973発刊-1999終刊)の読者でもあったりした。

三石先生と初め出会ったのは、先生が東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研究センターに着任された直後(2001年)のこと、本学附属大泉中学校(現国際中等教育学校)の校長室だった。三石先生は、金子真理子先生とご一緒に来校された。当時、わたくしが同校の研究主任(「総合学習時代の教科カリキュラムの開発―帰国生の『広義の適応』を視野に入れて―」)をしているときだった。

そして、その後2007年4月、わたくしが教職大学院設置準備室(仮の所属が教員養成カリキュラム開発研究センター教授)に移ったとき、教職大学院設置準備の仕事で再会し、2008年4月から開設と同時に教職大学院の第1領域の共通科目「カリキュラム開発の方法」を一緒に持たせて頂いた。この授業は、研究者教員(理科教育・環境教育系)である三石先生と実務家教員(社会科教育・国際理解教育・ESD系)としてのわたくしとの〈協働〉で行ってきた。否、毎授業後に一緒に行うリフレクションは、わたくし自身、大学教員としてのFD(Faculty Development)そのものだった。

6年に渡って行なってきた三石先生のもと行なってきたFDが、昨日3月21日の講義と質疑応答、懇親会を最後に終わった。

三石先生は、お話のあとの質問に応えて、研究者教員も実務家教員も「研究者」であると言われた。
そして、「恩返し」とは、恩を受けた先輩を超えることだともおっしゃった。

あと3年、三石初雄先生から学ばせて頂いたことを意味づけ・価値づけ、実務家教員ならではの「研究者」として、また、わたくしの原風景・原体験、実践・研究履歴の中から紡ぎ出した視点と方法をもとに、教職大学院における教育研究・組織運営を行なっていきたいと思っている。

そして、2014(平成26)年4月から、実践と理論との架橋・往還、多様な自立と協働、省察と観想の有意味性、知性・心性・身体性の連動、原離隔の存在を踏まえた対話、原風景・原体験やライフヒストリー等を重視し、教職大学院の新たなステージに向かって歩みを進めていきたい。

教育学者をはじめ個々の専門家からすると、不遜に思えるかもしれないが、結果として多様な教科・領域等を学び、内的統合を図る児童生徒の学びの拡張と深化のために「越境する教育学の創成」をめざして行きたい。

また、歴史的現在=現在史の状況を踏まえ、わが原風景・原体験、研究的教育的原点(歴史学・歴史教育)への回帰と新たな意味づけ・価値づけも行なっていきたい。

2014(平成26)年3月22日
東京学芸大学大学院教育学研究科教育実践創成専攻=教職大学院
成田喜一郎


大学院生が企画・コーディネートした公開特別講義のお知らせ

2013年11月27日 00時20分11秒 | 越境する教育学の創成

東京学芸大学大学院教育学研究科教育実践創成講座

教職大学院「教育ネットワークの構築方法」公開特別講義のお知らせ 

 この公開特別講義は、教職大学院の院生みずからが特別講師とコンタクトをとり、特別講師の有する知見や専門性と、院生たちの期待やニーズとを擦り合わせ、コーディネートしてできた講義です。

 現在、学校と地域やNPO・企業・行政等との連携・協働が強く求められる昨今、まさに「教育ネットワーク」を構築できる教師の存在は不可欠です。「教育ネットワーク」をいかに構築するかという問いへのレスポンスとして、教職大学院の院生たちが企画・プロデュースした、まさにスペシャルな講義となっています。

 みなさん、ぜひ、ふるってご参加ください。ともに学びを構築していきましょう!

2013年11月15日

教職大学院教授 成田喜一郎 

********************************************

第1回 12月2日(月) 14:30~16:00 教職大学院棟1階 講義室

講師  小笠原 舞氏(こども未来プロデューサー,asobi基地代表,Child Future Sessionプロデューサー)

テーマ 「こどもの可能性をはぐくむための、教育者の役割を考える~対話と体験を通して~」

第2回  12月9日(月) 14:30~16:00 教職大学院棟1階 講義室

講師  松田 悠介氏 (Teach for Japan代表、ハーバード教育大学院でSchool Leadershipを学ぶ)

テーマ 「熱き男、松田悠介来たる~何のために教育していますか?~」

第3回 12月16日(月) 14:30~16:00 教職大学院棟1階 講義室

講師  古屋 恵太氏 (本学准教授、デューイ研究ほか)

テーマ 「学校の先生のための教育哲学」

第4回 1月6日(月) 14:30~16:00 教職大学院棟1階 講義室  

講師  Li Guang氏(東北師範大学教授、本学客員教授)

テーマ 「国際理解教育 中国と日本 "その架け橋として"」

★参加希望の方は、knarita*u-gakugei.ac.jp まで、氏名・所属・連絡先を添えてお申し込みください。*=@★

★東京学芸大学教職大学院へのアクセス★

JR武蔵小金井駅より、京王バス・中大循環ゆきバスで
約5分です。「学芸大東門」下車2分、東門を入らずに
直進し教職大学院棟入口からお入りください。





対談記事「今、教員に求められる能力について」

2013年11月06日 08時03分20秒 | 越境する教育学の創成

キャリアリンクの若江眞紀社長との対談
「今、教員に求められる能力について」

目次

http://www.careerlink-edu.co.jp/educators/network/2013/10/leadership.php

対談日:2013年08月13日
公開日:2013年11月05日

これまでの若江眞紀社長の対談相手

http://www.careerlink-edu.co.jp/educators/network/talk/index.php


障がいの定義の変更:2001年5月

2013年09月28日 12時28分05秒 | 越境する教育学の創成

障がいの定義の変更

2001年5月、WHO国際障害分類(ICIDH)が用いられてきたが、WHOでは、2001年5月の第54回総会において、その改訂版として「ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)」を採択した。

⑴国際障害分類初版(ICIDH)から国際生活機能分類(ICF)へ―改定の経過・趣旨・内容・特徴―(上田敏)

 
⑵「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について(社会・援護局障害保健福祉部企画課)

⑶特別支援学校学習指導要領解説 自立活動編「障害のとらえ方の変化」pp.19-23
 
⑷障害のある学生へのサポートブック2007年版(金沢大学)
 
 
本質主義的な概念から社会構成主義的概念への転換と捉えることが可能だと思う。
健常者か障害者かとの区別を明確にすることにより「障害」を捉えようとしており、
健常者と障害者は同一線上にあり、それぞれが程度の違いはあるが、生活機能の違いを有することを前提に「障害」を捉えようとしている。
いままでなんともなかった人が年齢を重ねることによって今までの生活機能を失っていくことがある。
バリアフリー、ユニバーサルデザインには、International Classification of Functioning, Disability and Health(ICH)の考えたが重要である。
 
また、支援する者と支援される者という関係性ではなく、また、美辞麗句としてではなく、相互に生活機能の現状を理解し、ともに支え合っていく努力=あゆみ(寄り)が必要である。
 

文部省(1947)『あたらしい憲法のはなし』を読む

2013年05月04日 00時08分13秒 | 越境する教育学の創成

【『あたらしい憲法のはなし』を読む】2013/05/03

今し方、文部省(1947)『新しい憲法のはなし』を「青空文庫」版で読んだ。
この冊子は今まで何回読んだことだろうか。
かつて社会科教師をしていたとき、行ってきた日本国憲法の授業*を振り返りつつ、改めて「日本国憲法」の「現在史」的意味を再確認した。
今年読んだ『あたらしい憲法のはなし』は殊更に格別だった。

*主な授業実践・研究ノート

1984年、やんちゃな中学生バンドが、きたがわてつ作曲の「ロック・日本国憲法」を演奏した。その結果、やんちゃだったあのボーカリストHくんが、日本国憲法前文を暗唱してしまったこと。

1989年、教材研究のために、『新しい憲法のはなし』を自費復刻したラーメン屋の店主・田浪政博氏が経営する「秋津屋」まで行ってラーメンを食べてきたこと。その取材報告を交えて生徒たちに憲法について語ったこと。

1994年、「社会科教育における'CORE'概念について -「共生共存」論ノート-」『東京学芸大学附属大泉中学校研究集録』第35号、pp.41-58を執筆。直接、日本国憲法について言及した論文ではないが、激動する1990年代の時代状況の中で、「日本国憲法」の精神を支える「共生共存」というCORE概念の創出を試みた論文を書いたこと。http://blog.goo.ne.jp/jzs03765/e/86275c1cdea345f4457e140b33bf50c2

2006年(副校長時代)、選択社会「市民になるための読書ー世界と人々をよむ」の実践の中で、中学生が「日本国憲法前文」「第2章」「第10章」を中学生のことばで訳をつくり、群読をしたこと 等。

文部省(1947)『あたらしい憲法のはなし』青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/cards/001128/files/43037_15804.html

 

 


板書とは何か

2013年04月06日 15時20分38秒 | 越境する教育学の創成

【板書とは何か】2013/04/06(facebookより加筆転載)

2013/04/04(木)、あたたかい春の日に恵まれ、東京学芸大学の入学式と教職大学院オリエンテーション-新入生とM2・教職員との出会いのセレモニー-が行われた。
昨日(2013/04/05)、教職大学院の教育実践創成研修(総合的な実習)の説明会と主指導教員との学生たちとの出会いの時間があった。

その後、一仕事を終え、帰ろうとしたら、講義室に二人のM2学生が残っていた。
黒板いっぱいに文字が書かれている。
中学校国語科の院生が、小学校籍の院生で板書が苦手な学生に板書の仕方(文字)を教えていたところだった。
わたくしは、板書の苦手な院生に「六度法」という方法があるよとお話しした。

そして、今朝、昨晩の二人に以下のようなメールを送信した。

六度法ノートに関する文献・資料をお知らせします。
(友人・知人に転送可)
●富澤敏彦(2004)『六度法ノート』小学館
 http://amzn.to/Zdr62T
●ショウワノート・六度法シリーズ
 http://www.showa-note.co.jp/product/etc/rokudoho/

追伸
黒板は文字だけ書くところではありません。
「黒板画」の世界もあります。
いつかチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。
【黒板画へのいざない】(わたくしの作品と生徒作品)
 http://homepage2.nifty.com/01241104/starthp/subpage18.html
 ※絵画の素養は全くなかったわたくしが、師匠の作品を「模倣」することで描けた作品です。
 生徒たちには全く描き方を教えていません。
【黒板画の描き方】
 http://www.valley.ne.jp/~holistic/kokuban.html
 師匠の作品には思わず息を飲んでしまいます。

以上、メール本文。

電子黒板が着々と導入される昨今、教師の手になる「板書とは何か」、科学・技術とアートなど多角的の視点から見つめ直してみたいテーマだ。

1「板書」の歴史(前史:古代文明史から近代史、日本と世界、1972年、東京大学に初登場~、等)
2「板書」の科学(素材としてのチョーク:ホタテ貝殻・卵殻、炭酸カルシウム・石膏、ドイツのパステルチョーク、黒板面の塗料等)
3「板書」の技術(六度法、板書位置・レイアウト、色遣い、color anomaly児童生徒への対応 等)
4「板書」の実際(先達の板書、同時代教師の板書、初心者の板書・ベテランの板書、児童生徒のいたずら書き 等)
5「板書」のアート(黒板画、シュタイナー教育における黒板絵  等)
6「板書」の世界(街中の珈琲ショップ、レストランのメニュー 等)
7「板書」の研究会(電子黒板の活用・有効性と手書き黒板の意味・意義、持続可能な環境・経済・社会・文化の中の黒板 等)


教職大学院とは何か

2013年04月02日 23時43分14秒 | 越境する教育学の創成

教職大学院とは何か、ひと言で言えと問われたら、わたくしは何と応答するか。

まず、人・専門性・組織を超えて「協働coproduction」し「実践と理論との架橋・往還」をめざす「教員者市民」を育てる専門職課程の大学院だ、と応答したい。

2008年の開設から5年が経ち、新たなステップに踏み込もうとする教職大学院の一専任教員として、2013年4月1日を迎えた。

今年度は、4月に新しく入学してくるストレートマスター学生、現職教員学生だけではなく、しばらくするとく新しく若い専任教員を迎える。

本日、「協働」「実践と理論との架橋・往還」、そして「教育者市民」という3つのキーワードを軸に新たなステップを踏み出したい。

「教育公務員」や「教育公務員」になる学生がほとんどなのに、なぜ、今、「教育者市民」なのか。

この1年間、新しい講義室で行う教職大学院の講義・ワークショップ(一般公開)、ここFBなどで語っていきたい。

 2013/04/01

  東京学芸大学大学院教育学研究科
  教育実践創成講座〔教職大学院〕
                 成田喜一郎


わたなべりんたろう監督の映画『3.11日常』の上映とトークイベントのお知らせ

2013年03月17日 09時20分36秒 | 越境する教育学の創成

【Post3.11の教育・社会を考える】2013/03/17

来る2013年3月20日(水/祝)18:30~、キネカ大森(大森駅東口から徒歩3分)で、映画『3.11日常』の上映(18:30~)とトークイベント(19:50~約30分)が開催されます。
http://www.ttcg.jp/cineka_omori/access/(アクセス)

この映画「3.11日常」の監督わたなべりんたろう氏のトークの相手は、わたくしが務めます。

もし、お時間がある方、ぜひお越しください。一緒に映画「3.11日常」を観て、語り合いましょう。

わたくしは、昨年、この映画「3.11日常」を観たあと、
「3.11日常の詩(うた)」という創作叙事詩(寺澤満春)と解題(成田喜一郎)を書く機会を頂きました。

また、先日(3.11)、東京学芸大学出版会から刊行された『東日本大震災と東京学芸大学』の第2章 第4節に書いた「東日本大震災・原発事故とわたくしたちの「記憶と記録」ーともに「違和感」を超えてー」の中でも映画「3.11日常」について触れてあります。

この創作叙事詩・解題は、映画「3.11日常」の公式サイトに掲載されています。
http://www.311everydayliving.com/
創作叙事詩「3.11日常の詩(うた)」・解題
http://www.311everydayliving.com/poem.html
詳細は、以下のサイトをご覧ください。
http://www.ttcg.jp/cineka_omori/topics/detail/19633

注 
創作叙事詩・解題とは、「暮らしや学びの中の事実や体験+想像力→創作叙事詩・解題」という化学反応式で示される社会的構成物(作品)です。
この創作叙事詩・解題は、まさに右脳と左脳、認知と情動との架橋・往還によって生み出されます。

詳しくは、成田喜一郎(2013)「子どもと教師のためのオートエスノグラフィーの可能性ー「創作叙事詩・解題」を書くことの意味-」『ホリスティック教育研究』第16号、pp.1-16をご参照ください。

もし、この論文の抜刷が欲しい方はご連絡ください。knarita★u-gakugei.ac.jp ★=@


授業を構成する力を育てる公開シンポジウムのお知らせ

2012年12月31日 09時42分34秒 | 越境する教育学の創成

【授業を構成する力を育てる公開シンポジウムのお知らせ】2012/12/31

来る1月12日(土)13:30~16:30、東京学芸大学北講義棟N411教室で、東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研究センター主催の公開シンポジウム「授業を構成する力を育てる」が開催されます。

このシンポジウムのキーワードは、PCK(pedagogical content knowledge)という概念です。(主催者訳「教授内容知識」)

わたくしが、PCKに始めて出会ったのは、5年ほど前のことです。
2008年3月に新教員養成コース(当時、新教員養成システム)の学生たちと韓国の公州大学校*を訪問し、学術交流を行ったとき、すでに韓国側の教授、学生・院生たちがPCK(pedagogical content knowledge)概念を当たり前のように使い、研究報告をしていたことが想起されます。

http://knu-tokyo.com/index.html

現在、教員養成の場で盛んに求められているのは、Pedagogical knowledge(教育方法上の知識)です。ともすると、 Content knowledge(教育内容上の知識)が背景に押しやられてしまっているような傾向にあります。(もちろん、校種によっては前者にまったく関心を寄せず従前どおりの授業を繰り返していることもしばしばです)
わたくしは、まさにこの二つのknowledgeを架橋・往還することが焦眉の課題だと考えていますが、PCK(pedagogical content knowledge)概念の意味・意義を明らかにし、それをいかに学校現場につなげていっことができるのか、教員養成系大学に課せられた課題です。
こうした焦眉の課題にこのシンポがいくつかのレスポンスをしてくれることを期待しています。

趣旨(転載)
 教師にとって「授業力」が重要であることは論をまちません。その「授業力」をさらに区分けするならば、たとえば授業で扱う内容に関する十分な理解力、内容を構成する素材(教材)から授業を立ち上げる授業構想力、授業の実践場面で大切になる授業展開力、授業を振り返り改善を進めるための授業省察力などを挙げることができるでしょう。毎年恒例で開催しております本センターの公開シンポジウムでは、授業力の中でも特に教科の内容となる素材・教材から「授業」を構想し、練り上げていく局面に焦点を当ててみることにしました。
 そうした意味での教科内容と授業づくりをつなぐ力は、しばしば「教授内容知識」(pedagogical content knowledge : PCK)として概念化されています。それは熟達した教師たちの持つ一種の「暗黙知」でもあり、また養成段階で身につけるべき目標の一つでもあり得ます。この PCK 概念の展開や「授業構想力」に着目した近年の大学における教員養成カリキュラムの改善もふまえつつ、本シンポジウムでは「授業を構成する力」について、そのとらえ方や育て方、理論的展望や実践的有効性などについて考えていきたいと思います。佐藤英二先生には主に算数・数学教育に即して、矢野博之先生には主に社会科教育に即して、また吉崎静夫先生には教科の枠にとらわれない総合的な見地から、それぞれ「授業を構成する力」についてお話をいただき、参加される方々も交えて一緒に議論したいと思います。多くの方のご参加をお待ちしております。

チラシ:http://www.u-gakugei.ac.jp/~currict/activity/symposium/pdf/symposium011213_2.pdf


今、私が学校ですべきことは○○!!!-キャリア教育のプロから学ぶ-(公開授業のお知らせ)

2012年12月08日 09時03分30秒 | 越境する教育学の創成

【教育ネットワークの構築方法「朝一特別講義」のお知らせ】

今、私が学校ですべきことは○○!!!-キャリア教育のプロから学ぶ-(公開授業)

趣旨
キャリア教育とは何か、これからの社会で求められる力とは何か、今、学校で教師をめざす学生・院生、現職教員は何をすべきか考える機会として、特別講義講師(若江眞紀氏)と担当院生F.Yさん(コーディネーター、ノットワーカー)が対話を重ねながら、企画・内容を構築してきました。まさに、講師と院生の協働co-productionの賜物です。


1 日時 2012年12月13日(木)1限(8:50~10:20)

2 場所 東京学芸大学 北講義棟N306教室 アクセス:http://www.u-gakugei.ac.jp/07access/

3 講師 若江眞紀氏 (株)キャリアリンク代表取締役社長:http://www.careerlink-edu.co.jp/

4 内容 演題「今、私が学校ですべきことは○○!!!-キャリア教育のプロから学ぶ-」

5 備考
・参加費は無料です。
・先着10名に限り院生以外の一般参加も可能です。
・資料準備の関係もあり、12月12日(水)午前中までに成田のknarita@u-gakugei.ac.jp宛に、「氏名」「所属」「参加動機」を書き、お申し込みください。

なお、この講義「教育ネットワークの構築方法」は、東京学芸大学大学院教育学研究科教育実践創成講座〔教職大学院〕の選択科目のひとつです。担当は成田が行っています。
キーワード:「教育ネットワーク」「ノットワーキング」「文化・歴史的活動理論(cultural-historical activity theory」「社会構成主義」