思えば幼少期より、知らない間に脳に刷り込まれていた強烈な存在「井上陽水」
印象的なサングラスに、あの声。ピンポイントにドデカいヒットを放つ「不思議な人」
ちゃんと向き合ったのはここ数年でした。
尾崎豊を思春期以来、聴き直した時期があって、多大な影響を与えた「井上陽水」も
ちゃんと聴こうと思ったのが動機でした。
今までも何度でも、向き合う機会はあったはずなのに、いつなんときでも、メディアから
自然な形で彼の音楽が流れてくるし、否が応にも彼の声と、書き上げる「国民的メロディ」
そして提供した曲が、時代によらず不変であるので、天邪鬼な自分は「買ってまではなぁ」
と、手を伸ばさなかったのです。
日本国内アーティスト初のミリオンセラーアルバムは彼の「氷の世界」という作品であり、
その後の実績からもJ-POPを牽引してきた「音楽偉人」と言っても過言じゃない
でしょう。国民の知名度も8割を超えるのでは。
一度は見ておきたかった。60代も後半になるが、そのレジェンドぶりを(笑)
レジェンドと言っても実際は結構いると思います。
だけど、この人の場合はやっぱり違う。「今のうちに見ておかないと、後々絶対後悔する」
そんな予感が妙にしたのでした。偉人を超えた怪人をぜひ生で。
縁あってチケットを譲ってくれる方がいらしたので、それに甘え、座席中央の30列という
良席で見させてもらいました。
今回のライヴはニューアルバム「UNITED COVER2」という作品に伴う全国ツアーで
場所は、「有楽町」・・・。一度も行ったことなかった。いわゆる「銀座」じゃないか。
待ち合わせまで相当余裕を持って行ったので、せっかくだから日本の中枢「銀座周辺」をぶらぶら
することにしました。
国際フォーラム周辺は何しろ商業ビルばかり。土地勘が全くないが故、右往左往しても、再開発
されまくった近代ビル群による街並みと、その「作られた高尚さ」が妙に居心地悪い。
そこには時代の最先端のテナントが入ってるのであろうし、有名パティシエが経営するお店が
行列を作っているのも見かけましたが、入ってもタバコを一服出来る訳でもないし、どうにも
居場所がないなぁと感じましたね(笑)女の子でも一緒にいたら話は別ですが。
結局、有楽町駅から少し線路沿いに歩くと地下鉄「日比谷」の駅に出た。茨城じゃ到底
考えられない駅の間隔。もっと歩けよ東京都民と、しみじみ感じる田舎者・・・。
国際フォーラム周辺をグルグル歩き回って歩き疲れたので、居心地の良さと休憩する店を探しに、
ガード下に狙いを定めました。呼び出されたときのために、有楽町→日比谷くらいの距離感で
一杯飲んで待てる店を探そう。
有楽町・銀座に未だ残る庶民感を見つけてニヤニヤしてしまう性格の悪さ(笑)
だけど15時前後で呑めるような場所がぜんぜんない。上野とは大違いだ。どうした有楽町。
この店のステーキカレーに、かなり心が揺れ動いた。。。
結局は「まんぷく食堂」なる銀座とは似ても似つかぬ雰囲気の場所で、ハッピーアワーの
¥200のビールを飲みながら待つ。料理は高いかな。店の感じに反して有楽町価格。うん。
こんなことなら、もっと有楽町の雰囲気を味わったり出来る店で、優雅に待てばよかったかなぁと
思いつつ、お会計がビール2杯+お通しで、¥700ちょっとだったので、タバコも吸えたし
よしとしましょう。
その後、同伴者と合流し開演時間まで、国際フォーラム最寄りの「CAFE1894」へ。
ここはザ・有楽町!!って感じ。
外観が大正レトロ若しくは、昭和モダンって感じ。
天井が凄い高い。
オシャレだね。オシャレだよ。
芋の水割り一杯¥650は、取手価格の倍か。まぁ場所代でしょう。
「アンチョビキャベツ」をつまみに、ハートランドと焼酎しか呑んでないので料理へのコメントは
出来ません(笑)同伴者は「美味しい」と。
そして開演。
やっぱり初期の作品の「ジャパニーズブルー」な感じが好きだし、あの当時の声の高音なんて今じゃもう・・・
なんて気持ちもあったのですが、いや、もはや、そういうレベル・次元の人じゃない。
その音楽性が老いによって反比例していくのではなく、いつの頃が良いとかどうこうというのは、聞き手の
好みの問題になるだけで、彼は「今の自分」を持ってして常にベストコンディションで音楽し続けているだけです。
そして自分は純粋に感動した。
超一流のショーマンというのはこういう人を言うのでしょう。
あの唄声は、それだけでも「才能」であるし、当人もその「才能」を武器に、どれだけの人の心に響かせるかを
常に考えて詞や曲を作っていると思う。
予習は、あまりしないで聴きに行きましたが、8割方知っている曲でしたね。でも20曲以上やって、演奏
してないヒット曲も、まだ沢山あることに驚き・・・。
また、個人的な話になりますが、アルバム「WHITE」に収録された「青い闇の警告」という、陽水が
大麻取締法違反で警察の世話になった経験を書いた曲があるのですが、個人的に一番好きで、それを
やってくれた時には「奇跡」を感じました。
アンコールの「夢の中へ」では、全席指定で大人しく座ってじーっと観てた国際フォーラムのお客さんでも
立ち上がる人、多数。どれだけのアンセムだよ(笑)
ファン層はどうしても50-60代が多かったけど、字の通り重い腰を上げていました(笑)
この人は「アーティスト」であると、見る側は当然、そう感じるが、本人は「自分は芸人だ」と飄々と
語る姿を見ると、世に数多いる多くの自称「アーティスト」は、何を感じればいいんだろうか。
まさに円熟した芸事の極み。大変、面白かったです。
咳払いしただけで、観客席から笑いが零れるのは、その存在の偉大さゆえだと思いますよ。