原っぱ夕景

最近いろんな事が妙に懐かしくなった昭和生まれのおっさんの埒もない独り言にお付き合い下さい。

暗闇でドキドキ その4

2022-02-26 23:52:00 | 日記
まいど!にゃんこふです。
さて今回は映画じゃなくて映画館のお話。

私が中学生になり映画にハマり始めた頃、日本の映画産業は斜陽と呼ばれる状況にありました。
確か小学校の低学年の頃は自宅から徒歩15分位の圏内に10件以上の映画館がありましたが、その多くは一番賑わっていた商業地域に集中してましたね。
邦画の封切り館や二番館が多かったですが、名画座と呼ばれる洋画の専門館も結構あったようです。

そうだ!成人映画専門の所もありました、いわゆるピンク映画ってやつ。でも、そこは昭和四十年代の始め頃までは普通の邦画の映画館だったようです。そのせいか何年か前、劇場の倉庫からポスターやチラシをはじめとする邦画の貴重な資料が大量が見つかりニュースにもなったんですよ。
また、その外観や内装の希少性から何本かの映画のロケにも使われたそうです。

やはりかの大製鐵所のお膝元の街でしたからね、そこに働く数万人の従業員達の娯楽のために映画館も充実してたって事なんでしょうね。

さて洋画に目覚めた私が通い始めた映画館は自宅から歩いて10分程の商店街の片隅にありました。
そろそろ不景気の風が吹き始めてましたが、大手のスーパーも営業しており、まだまだ賑わいを見せていました。
現在も商店街はありますが、往時の八割以上が店を閉め今や見る影もありません。淋しいですが、これも時代なのでしょうね…。

おっと感傷に浸ってる場合じゃない。
そう、その小さな映画館の名前は「名画座」と言う名の名画座。二十歳で上京するまで本当に通い詰めたと言ってもいい場所でした。

名画座は商店街の路地にありました。外には普通の映画館のような上映中の作品のポスターも貼ってません。
細い階段を2階へ上がるのですが、その途中の壁に上映中と次回上映の作品のポスターや上映時間表が貼られており、辛うじてここが映画館である事が分かります。
2階に着くと切符売場兼もぎり兼売店の小さなカウンターがあり、いつも同じおじさんが座ってました。
入場料はハッキリ憶えてないのですが、三百〜五百円位じゃなかったかな。
売店と言っても封切館のようにパンフレットは売ってません。売ってたのは見た事もないメーカーの炭酸飲料とピーナッツ、そしてハイライトやいこいなどのタバコ。そう、今では考えられませんが、当時の映画館ではタバコが吸えたのですよ。

飲み物とピーナッツを買って館内へ。座席数は50〜80席位だったでしょうか、スクリーンも小さかったと思います。
そんなこじんまりした空間だったからこそ映画に没頭できたんでしょうね

ヒットした大作が掛かる事はありませんでしたね、どちらかと言うとB級映画やちょっと旧めの作品が主なラインナップ。今のシネコンではまず上映されないような作品が多かったように思います。

マカロニウエスタンやSF、戦争映画、カンフー映画なんかは特にによく観に行きました。その多くが映画雑誌のカラーページや人気投票には登場しないような俳優さんが主演の作品でした。

面白かったのはカンフー映画のタイトル。日本公開時に付けられたタイトルは、ほぼ「燃えよドラゴン」がベースになってましたね。
〜ドラゴンとか、〜タイガーとか、〜ジャガーて具合。ジャッキーが出てくるのはも少し後、だからこの頃はまだモンキーはいませんでした(笑)

そうそう、毎月1週間くらいはポルノが上映されてました。さすがに中学生の頃は入場できませんでしたが、高校生になったら何も言わずに入れてくれるようになりました(笑)昔、昔の話ですから。
でも当時のあの手の映画って、ぼかしがすごかったんですよ、真っ黒いぼかし。もうスクリーンで何をやってるか分からない位(笑)。ぼかし以外にも花や花束とかちょうちょが肝心な部分を隠してるパターンもありましたね。なんだかな〜(笑)

そんなこんなで映画館の「暗闇でドキドキ」する時間は、私の人生の中で長く長く続いて行くのでした。

暗闇でドキドキ その3

2022-02-26 11:12:00 | 日記
まいど!にゃんこふです。
今回も映画「小さな恋のメロディ」のお話です。

個人的な意見ですが、映画音楽ってその作品の良し悪しにもつながる重要なファクターだと思ってます。
いわゆる映画音楽というジャンルなのですが、残念ながら邦画の場合音楽だけ聴いてタイトルが分かる作品が少ないような気がします。繰り返しますが、あくまで個人的な意見ですので、その辺はご理解下さい。

「小さな恋のメロディ」の場合、劇中の音楽として使われているのはエンディングやインストゥルメンタルを除くとほぼビージーズの楽曲です。
これがまた全曲もれなく素晴らしい。
当時の私は感動のあまり映画を観た翌週に、貯金箱叩き壊してサントラ盤を買っちゃいましたもん。確か2,000円前後だったと思いますが、洋画初体験同様に人生初のLPレコード購入となりました。いやもう文字通り擦り切れるまで聴きました。

冒頭のIn the Morningに始まり、Melody Fair、Spics and Specks、Give your Best、To Love Somebody、First of May、そしてエンドロールで流れるのはCSN&Y(クロスビー・ステルシュ・ナッシュアンドヤング)のTeach Your Children。
どの曲も聴くとその場面が浮かぶ名曲ばかりです。

特にMelody Fairはメロディが父親が呑んでるパブに行く時に流れるのですが、このシーンのトレーシー・ハイドがとにかく可愛い!髪形もこの時はツインテールなんですよ(笑)

First of May 邦題は「若葉の頃」これも名曲ですね。直訳すると五月一日とか五月のはじめ…なのかな、でもこのタイトル付けた人って本当にセンス良いと思いますね、うん。
確かダニエルとメロディのデートの場面でビージーズのこの曲は流れるのですが、雨の墓地のシーンで流れるオーケストラによるリプライズがまたすごく良いのですよ。

他の曲についても場面場面にあった曲が多く、「小さな恋のメロディ」が青春映画であると同時に音楽映画と言われる所以ですね。

映画のラスト、結婚式を阻止すべく現れた大人たちと戦う子供たち。捕まる子供たちが出始めた頃、とある出来事で状況が一変します。ここは映画前半のとあるシーンに繋がるのですが、その辺はぜひご自身でご確認下さい。
そして、トムに促され手漕ぎのトロッコに乗って走り出すダニエルとメロディ。ここで流れてくるのが、CSN&YのTeach Your Childrenです。
後年和訳の歌詞を読んだ時、ああそう言う事だったんだ…と改めて感動しました。

観た当時は、学校の規則や大人たちの束縛から飛び出して2人は幸せを掴むハッピーエンドで「めでたしめでたし」なんて単純にそう思ってました。
でも、きっとあの2人は何マイルか先で警察に保護されるでしょうし、学校生活に戻っても家庭環境の違いを理由にダニエルは転校させられて2人の初恋は終わってしまったかも知れません。歳を重ねるにつれて、そんな風に考えたりもしました。

現実的に考えれば、きっとそうなんでしょうが、やっぱりこれは物語。2人が力を合わせて漕ぐあのおんぼろトロッコは、素敵な未来に向かって、いつまでもどこまでも走り続けるのです、きっと。

暗闇でドキドキ その2

2022-02-26 08:33:00 | 日記
まいど!にゃんこふです。
今回も思い出の映画の話をひとつ。

「小さな恋のメロディ」私が映画館で初めて観た洋画でした。初公開以降も何度かリバイバル上映もされているのでご存じの方も多いと思います。

ストーリーは単純明快。11歳の少年と少女の初恋模様を中心に巻き起こる、ひと夏の物語…てな感じでしょうかね。とにかくかわいいという表現がぴったりの映画ですね。
主人公ダニエル役のマーク・レスターもメロディ役のトレーシー・ハイドも悪友トム役のジャック・ワイルドも、み〜んな可愛かった。
舞台になった公立学校の制服も羨ましかったなあ。私たちは黒い詰襟のいわゆる学生服で坊主頭…対して映画の中の彼らは当時日本では珍しかったブレザータイプで、ダニエルみたいにきっちり着ててもトムのようにだらしなく着てても、なんだかすごくおしゃれに見えましたね。それにメロディたち女の子はミニスカートだったし(笑)

国は違っても、やはり同世代たちのお話ですからね〜めちゃくちゃ感情移入してた記憶があります。
ダニエルとトムの友情、メロディの登場でその友情に入る亀裂、愛と呼ぶにはあまりに幼いダニエルとメロディを抑えつけようとする大人たち…そんなスクリーンの中で展開する物語に、まるで彼らのクラスメートの一人にでもなったように、笑ったり怒ったり泣きそうになったり…

とにかく初めての洋画体験は、まんがにしか興味がなかった私にとって、まさにエポックメーキングな出来事となったのでした。