原っぱ夕景

最近いろんな事が妙に懐かしくなった昭和生まれのおっさんの埒もない独り言にお付き合い下さい。

不思議な話 A君のアパート③

2023-03-07 18:22:07 | 日記
まいど!にゃんこふです。

色々と不思議な事を経験したA君ですが、やはり特にそれを気にすることもなく生活していました。
それでもどこか気にはなっていたのでしょう、火災保険の手続きでアパートを仲介した不動産屋さんを訪れた際に話を聞くことにしました。

保険の書類にサインを終えると、不動産屋さんがお茶を出してくれました。
最初は大学の話なんかをしてたらしいのですが、A君思い切って切り出しました。
「あの部屋って言うかアパート、なんか変ですよね?」
不動産屋さん、A君のいきなりの言葉に一瞬動きが止まったそうです。
それでも気を取り直してタバコに火を着けるとひと言。
「ん?なんかあったの?」
A君はこれまでにあの部屋やアパートで経験した事を話しました。

不動産屋さん、ちょっと考えるような表情になりましたが、すぐ笑顔になって話し始めます。
「あそこっていわくつきって言えばそうなんだけど…あ、以前に事件があった、よく言う事故物件って意味じゃないよ」
ひと息ついてお茶を呑む不動産屋さん。
「まあA君は若いから信じないかも知れないけど…あのアパートの敷地、神様がいるんだって」
「へ?!」
A君、思わず持っていた湯呑みを落としそうになります。
「神様、ですか?」
「うん、でもまあ誰も見た事ないからね、ははは。実際は神様を祀った祠みたいな物があるって事かな」
「あれ、あそこにそんなのありましたっけ?」
A君はブロック塀で囲われたアパートの敷地を思い浮かべましたが、そんな物のきおくはありません。
「う〜んとね…そうそう、アパートの窓側の角、桃の木のある所」
山桃、春先に桃色の花が咲いてる木があって満開になるととても綺麗だった。
「あの木の根元に潰れたバレーボールみたいな石があるんだ。元はちゃんと木で作られた、なんて言うか…そう神棚みたいなのがあったそうなんだけどね。いや、それがあったのは百年以上前っていうから明治時代かな。一度作り直す話も出たらしいんだけど、地主さんの家に“古くなってもそのまま朽ちるままにせよ”っていう言い伝えがあって、そのままにしてるんだそうだよ。その根元にある石が祠の中にあった御神体なんだって」
「御神体…でも、そんな大事な物雨晒しにしちゃってていいんですか?なんかバチが当たりそうですけど…」
「うん、これも地主さんの意向なんだよ。変に扱うと逆に怖い事になったりしてね、ははは」
「怖い事ですか…」
「僕も気になってちょっと調べた事もあるんだけど…昔、そう大昔ね、あの辺は森だったみたいなの。大きな木があって、いわゆる鎮守の森ってやつかな。地元の祭礼とかもそこでやってたらしいのね。つまり、何か神聖な土地だったんだろうね、壊れて無くなってしまった祠もその名残りだったんだろう」
「なんかすごい話ですね」
「はは、地主さんは土地神様なんて言ってたけどね」
「土地神様か…」

話はそれで終わり、A君は不動産屋さんを出て家路についたのでした。
その後?
A君は特に「土地神様」を気にする事もなく過ごし、卒業して故郷で就職しました。

卒業間近のある日、A君ちで飲んだ時の事です。
例によって夕方から飲み始めた私たち。
その頃私はカメラを持ち歩いてて、色んな所でパシャパシャやってました。
この日もA君の愛猫「また」をメインに撮影。頭に乗せたり、ひっくり返してお腹わしゃわしゃしたりしてシャッター切ってました。「また」もおつまみのおこぼれ狙いで嫌々つきあってくれました。
その後はいつも通り二人共寝落ち…。
そして一週間後。この日の写真が出来上がって来たのですが、その中に一枚とても不思議な写真がありました。

そこに写っていたのは…
うつ伏せでお尻半分出して寝てるA君とこれでもかって位に体を丸めて寝てる私が写ってました。
え?普通ですって?いえいえ、問題は被写体じゃなくてアングルなんです。
ほぼ真上から撮られてるんです!部屋のほぼ全景が写ってました。
もちろん撮ったのは私じゃありません。
不思議な写真なのでもちろんA君にも見せましたよ。
「へえ〜面白い写真だな。でも、誰が撮ったんだろね」
特に驚く風もなく言うA君でしたが、写真のある部分を指でトントン叩きます。
「ここ見てみ」
A君の指の先には「お食事処」の段ボールに入った「また」が写っています。
「へ?」
写真を改めて見て私も気付きました。
「また」の視線は、しっかりこちらに向けられているのです。
「あいつは見てたんだろうな、この写真を撮ったヤツの姿…」

さて、またしても長くなりましたが、A君の不思議なアパートの話はこれでおしまい。
まだいくつか不思議話のストックはありますが、それはいずれまた。






不思議な話 A君のアパート②

2023-01-10 19:05:00 | 日記
まいど!にゃんこふです。ちょっと間があきましたが、今回は不思議な話「A君のアパート」編その②です。

A君がこの部屋に住み始めたのは大学入学したのとほぼ同じ、約1年半前程になります。
入居当初から「ん?」と思う事はいくつかあったらしいのですが、A君は特に気にする事もなく暮らしていました。

そんなある日の事。
その日は講義も午後からという事で朝寝を決め込んでいたA君ですが、突然突き上げるような振動に目を覚ましました。
「じ、地震??」
慌てて窓を開けました。そこに見えたのはアパートの敷地に隣接する古い倉庫が解体される現場でした。重機がアームを使って倉庫の壁を壊しています。立ちのぼる土埃とかなり大きな重機に駆動音。A君は窓辺に座ってタバコを一服しながら解体現場を眺めていましたが、土埃と騒音に窓を閉めました。
「え?」
窓を閉めた途端、それまで聞こえていた騒音がすっと消えたのです。いえ、消えたというよりも騒音がどこか遠くから聞こえるレベルになった・・という事らしいのですが。
A君は不思議に思いながら窓の開閉を繰り返しました。やはり開けるとうるさく、閉めると静か・・という状況だったのです。

古いアパートですが、窓にはアルミサッシがはまっています。しかし、ここまでの防音や遮音効果があるとは思えません。
窓を閉めて寝床に戻ったA君。しばらく考えてましたが、すぐに布団に潜り込むのでした。
A君はおおらかで些事を気にしない人間なのですが、こんな体験をしてもそこは変わらなかったようです。
A君曰く。
「まあ、世の中いろいろあらあな」
だそうです。

A君の不思議な体験はこの後も続きます。

ある日A君はコンパに参加、深夜の帰宅となりました。そのまま寝てしまおうと思ったのですが、ちょいと小腹が空いていたのでカップラーメン(あ、今ほど種類は多くないですが、この頃結構あったんですよカップ麺)でも食べようとやかんに水を入れガス(プロパン)コンロに着火しました。ラジオのスイッチを入れ、布団を敷きました。しかし、これがいけなかった・・急激に襲いくる睡魔に抗う間もなく、布団に突っ伏して眠り込んでしまったのです。
ほぼ熟睡していたA君でしたが、突然「かあんっ!」という鋭い音が耳元に響き飛び起きました。それは金属的な不快な音ではなく、A君曰くよく乾燥した木の板・・そう、木鐸(ぼくたく)のような音だったそうです。訳が分からぬまま起き上がると異臭が!!そう、沸騰したやかんからお湯が吹きこぼれてガスの火を消してしまったのでした。
「や、やべっ!」
慌ててコンロの栓を閉め、玄関ドアと窓を全開にしました。
吹き抜ける風のお陰で、しばらくするとガスの匂いも消えたのです。
すっかり酔いも覚め、布団の上に座り込むA君。いつもの癖でタバコを手に取りますが、慌ててやめました。
「でも、あれ何の音だったんだろ?」
ラジオはスイッチが入っていますが、深夜なのでボリュームは絞っており、目が覚めるような音量ではありません。
もしあの音がなかったら、ガス漏れで事故を起こしていたかもしれない…そう思うと思わずブルッと身震いするA君なのでした。

それからしばらく経ったある冬の日。
再びコンパで盛り上がって深夜の帰宅となったA君。夕方近くに降った雪があちこちに白く残っていました。アパートの古い鉄階段も少し雪があります。それに深夜なので音を立てぬように慎重に一段一段昇っていくA君。
が、そこは酔っ払い(笑)最後の一段で足を滑らせてしまいました。

左足を跳ね上げ、上半身は完全に水平の状態。後は重力のなすがまま頭から落下するのみ。もっともこの状況説明はあくまで酩酊状態だったA君の話ですからね(笑)まあ、足を滑らせたのは事実なんでしょう。
このままでは怪我どころの話ではなかったでしょうね。
冬空を見上げながら自由落下が始まろうとしたその時、誰かが(何かが)A君の肩と背中を支えてくれたのです。
ガシっという感じではなく、ふわあって感じだったそうです。体勢を取り戻したA君は階段最上段の手摺りに両手でしがみつきました。さすがに酔いの覚めたA君、慌てて周囲を見渡し「命の恩人」を探しましたが、誰もいませんでした。

つづく

不思議な話 A君のアパート①

2022-07-22 22:41:00 | 日記
まいど!にゃんこふです。
さて、今回は不思議な話の第2弾です。
眉に唾でもつけながらお付き合い下さい。

1970年代の終わり頃、上京後に大学で知り合ったとある友人にまつわるお話です。
友人の名は・・うん、A君とでもしときましょうかね。

彼と知り合ったきっかけは、確か構内の喫煙所でしたね。現在みたいにタバコに対する風当たりもなく、どこで吸っててもOKみたいな時代でした。とは言え、一応学びの場ですから構内にはペンキで赤く塗られたバケツや一斗缶が吸殻入れが置かれて喫煙所になっており、学生は講義の合間や休講の時はここで屯ってました。
この頃からタバコのマイルド化が始まっていたのですが、私はカッコつけて両切りのショートピースと言うちょっとキツめの銘柄の缶入りを吸ってました。

A君とは気が合い、ちょくちょく遊んだり呑みに行ったりするようになりました。彼は猫を飼ってまして、そいつと遊ぶために何度かアパートにも行きました。
でも、その時は気付かなかったんですね、彼のアパートの不思議さに・・・。

夏休みのある日、お互いヒマだったのでA君ちで呑もうという事になり、夕方缶ビールや菓子などを買って某私鉄沿線のA君のアパートへ向かいました。
彼のアパートは私が住んでる所とそう大差ない佇まいでした。でも、アパートの敷地は結構広く、一画には軽トラや軽自動車が3台駐車していました。また、周囲はぐるりとブロック塀で囲まれ、ところどころに結構大きな樹が植っています。地面には砂利が敷かれて少し歩きにくい。
アパートはいわゆる木造モルタルの2階建て、A君の部屋は2階です。
そして、その部屋は西向きで真夏の陽射しが思い切り当たっていました。

「こりゃ部屋の中は蒸し風呂確定だな」

お互いビンボな学生稼業、あって扇風機、クーラーなんて望むべくもありません。当時一般家庭の住宅にはクーラーが導入されつつありましたが、まだまだ贅沢家電であり、電気代もバカにならない程高かったのです。今じゃ学生アパート(ワンルームマンション)にはクーラー付いてて当たり前みたいですけどね。そう、夏はガマンが当たり前の時代だったのですよ。

滴る汗を拭いつつ2階のA君の部屋へ。
ドアをノックすると、間伸びした声が聞こえA君が顔を出しましたが、どうやら寝てたようです。足元には飼い猫の「また」がいます。飼い猫と言ってもいつのまにか居着かれたらしいのですが。
「また」は白黒牛柄ハチワレのでぶ猫さんです。最初は「又三郎」だったのですが、妙に賢いのとふてぶてしい様子から、妖怪「猫又」の「また」になったそうです。

私はA君に持参したビールなどが入った袋を渡して、「また」を抱き上げながら部屋に上がりました。

「えっ?」
私は思わず声を上げました。
いえ、抱っこした「また」が重かったからではなく、あれだけ西陽に炙られている部屋なのに、全く暑さを感じなかったのです。
「もしかしてクーラーあんの?」
キッチンの冷蔵庫にビールを入れてたA君に聞きました。
「クーラー?んな贅沢なもんねえよ。って言うか、うち扇風機もないよ」

でも、なんかおかしい・・涼しいって訳じゃないんだけど、少しも暑さを感じないのです。
窓に掛かってる変な柄のカーテンには明らかに強い西陽が当たっています。
「まあ立ってないで座ったら?」
A君に言われて私は小さなちゃぶ台の前に座りました。視線が低くなったのが気に入らなかったのか、「また」は不満気に一声鳴くと「お休み処」とマジックで書かれた段ボール箱に戻って毛づくろいを始めました。

しばらくバカ話してたのですが、やはり気になってので聞く事にしました。
「あのさ、やっぱおかしくない?この部屋全然暑くないんだけど?」
A君は私のピー缶から1本抜き取ると火を着けてぽわ〜っと煙を吐き出してました。
すると「お休み処」の「また」が不機嫌そうに鳴きます。
A君はそちらをチラッと見てタバコの火を消します。
「お、悪い悪い。すまんな、こことりあえず禁煙な」
「また」はタバコの匂いが嫌いで、A君は部屋では吸わなくなったそうです。私のピー缶を見て、つい手が伸びてしまったようです。
A君は立ち上がり、変な柄のカーテン(笑)を開け、窓を大きく開けました。当然外の熱気が・・え?入ってこない?って言うか、窓閉めてたんだ・・。
「やっぱなんか変だよ、この部屋」
怖いとか気持ち悪いとかじゃなくて、ただすごく不思議な感じなのです。

窓辺に座ってたA君は立ち上がり、窓を閉めて変な柄のカーテン(笑)を引きました。
「呑むにはまだ早いな。晩飯の買い出しに行くか」
「おお。何作る?カレー?」
「お前って本当にカレー好きだな。もっとサッパリしたもんがいいや」
「あ、じゃあ冷やし中華なんてどうだ?この間テレビで作り方観たぞ」
「お、いいね〜。んじゃ冷中決定!」
てな訳で、2人で駅前の商店街に買い出しに出かける事になりました。
部屋を出るとやっぱり猛烈な熱気が襲って来ました。
でも、今になって考えると、当時は昨今の夏のように体温越えの気温なんてそうそうなかったように思います。本当にもう勘弁してって暑さ。

買物を終えアパートに戻った時には、2人とも汗だくでした。
真夏の午後6時過ぎ、陽はそろそろ沈みかけていますが、まだ充分明るく、熱気も昼間のそれがまんま残っていました。
それでも部屋に入ると・・
「うん、やっぱりなんか涼しく感じるな」
「はは、よかったじゃん。それよりも飯食う前に風呂行こうぜ。あそこの銭湯、100円の洗濯機あるから服洗っとこうぜ」
この頃はまだコインランドリーってあんまりなくて、まだ頑張っていた銭湯が100円で使える洗濯機を置いてました。風呂入ってる間に洗ってねって感じ。ただ、置いてるのは普通の家庭にある二層式のタイプで、さすがに乾燥機までは置いてませんでしたね。

窓の外に張られたロープに洗濯物を干し、夕食の支度にかかりました。
買ってきた中華麺は4玉。具はハム、きゅうり、薄焼卵、紅生姜。茹で上がった麺は冷水でしめながらぬめりをとります。
スープは水、酢、砂糖、化学調味料、胡麻油、中華出汁の素(?)を適当に合わせて作ります。味を調整しながら作るので、結局丼いっぱいになりました。
でもお店で食べる冷やし中華のスープって少なくて不満ふぁった私には嬉しい量になりましたね。
メインの冷中と買って来た唐揚げや餃子、揚げ物なんかをちゃぶ台に並べて、飲み頃に冷えたビールをプシュっと開けてかんぱ〜い。

やがてビールが無くなり、A君はハイボール、私はジントニックやジンライムで本格的に呑み始めました。
今みたいにジュースっぽい焼酎系のものってお店で呑むもので、缶入りとかでは売ってなかったんですよね。それ以前に焼酎のイメージそのものが若い層からは敬遠されてたみたいです。

アルコールが適度に回った頃、A君はおもむろにこの部屋、というかこのアパートについて話し始めました。

つづく



暗闇でドキドキ その⑪ THE ROCKY HORROR PICTURE SHOW

2022-07-22 09:58:00 | 日記
まいど!にゃんこふです。

今回は1980年代、名画座での映画「ロッキーホラーショー」上映においてを欠かす事のできなかった(のかな?)2本の映画についてのお話です。
この時代、名画座での上映が主だった「ロッキーホラーショー」ですが、イベント的な上映以外では基本2本立てでの上映でした。というか、ロードショーでの大作なんかもまだギリギリ2本立ての形態が残ってた時代ですね。

さて「ロッキーホラーショー」の上映時によくカップリングされてたのが、迷匠メル・ブルックス監督のホラーコメディ「ヤング・フランケンシュタイン(以下ヤンフラ)」とロマンチック・ホラー(?)のロックミュージカル「ファントム・オブ・パラダイス(以下ファンパラ)」の2本でした。

私は映画のジャンルとしてはコメディ系が大好きなので「ヤンフラ」のコテコテのギャグには毎回大笑いしてました。

ただ、この作品には長年頭から離れなかったひとつのギャグがあります。
それは、舞台となる古城の家政婦ブルッハー夫人と馬の事。
劇中夫人が登場し、誰かがその名前を口にすると、どこかで馬がいななくのです。このギャグは何回も出てきます。
夫人と馬の間に何か因縁でもあるのかなとも思ってましたが、劇中最後までそれが語られる事はありませんでした。
後年、テレビで吹き替え版が放映されたのですが、そこではブルッハーではなく「バニククー(バニクークだったかな)」と呼ばれてました。あ、そう言う事か、つまり「バニククー」は「馬肉食う」で、夫人の名前が出るたび馬が怯えていなないていた訳です。
しかし、これは吹き替え時の日本独自のモノで、事実は違っていたみたいです。
後年とある掲示板で知ったのですが、ブルッハー(Boucher)は、実は馬の鳴き声の事で他意はないようなのです。つまり「馬のいななき」という言葉に馬が応えるというギャグだったようなのです。しょーもな!
ただ気になって調べてみても、靴のブランドとか人名は出るのですが、馬の鳴き声にはヒットしませんでした。スラングなのか、どこか別の国の言語なのか…
うん、もう諦めた!どうでもいいや(笑)

問題はもう1本の「ファンパラ」なんですね。
問題と言ってもこの映画を否定するなんて事はございません。なにしろ併映だったとは言え、多分20回近くは観てるんですよ「ファンパラ」。コアなファンからは「その程度で“ファンパラ”を語るな‼︎」って叱られそうですが(笑)

まずなんと言っても監督がブライアン・デ・パルマ!もはや巨匠と呼んでも過言ではない大御所ですね。
「悪魔のシスター」「キャリー」「殺しのドレス」「スカーフェイス」「アンタッチャブル」「ミッション・インポッシブル」「ファム・ファタール」などなど、たくさんの名作のメガホンをとられた監督さんです。
かのクエンティン・タランティーノが初めて憧れた監督がデ・パルマだったとか。

「ファンパラ」のお話自体は「オペラ座の怪人」がベースなのですが、そこに「ドリアングレイの肖像」や「ファウスト」なんかのエッセンスが散りばめられています。

楽曲の提供は映画にも出演しているポール・ウィリアムス。
この人も才人ですよね、カーペンターズやスリードッグナイト等へ詩や楽曲を提供しヒット曲も多くあり、俳優としても多くの映画に出演されています。

でも、でもですね…残念ながらこの映画に使われている楽曲の印象がほぼないんです。本当にすいません。
ただ、この映画のヒロイン歌姫フェニックス役のジェシカ・ハーパーさんの歌声は結構なインパクトがありました。

ちなみにこのジェシカ・ハーパー嬢、なんと「ロッキーホラーショー」の幻の続編とも言われるミュージカル映画「ショックトリートメント」で、ヒロインのジャネットを演じているのです。

さて問題は「ロッキーホラーショー」と「ファンパラ」この2本の映画の内容というよりも、ファン同士の関係性とでも言いましょうか…。
「ファンパラ」ファン曰く。「ロッキーホラーのファンはうるさい、どうしてファンパラの上映中にまで騒ぐの!」「ロッキーホラーのファンは押し付けがましい」「観終わった後はゴミ拾って帰れ!」などなど…。おっしゃる通りだと思います。誠に以て申し訳ない限りです。

かく言う私もその昔、とある女性に「ロッキーホラーショー」を紹介した時には思い切り引かれてしまった経験があります。
そう、「ロッキーホラーショー」のファンって妙に熱くなって語ってしまう傾向にあるようです。興味を持てない人にとっては、本当にいい迷惑でしょうね。

ただ、この2本の作品にもひとつ共通点があります。
それは共にファンの熱い思いに支えられて来た作品であるという事。
だからこそ公開から40年以上経った今でも色褪せる事なく輝き続けているのだと思います。

さて、長々と続けてきた「暗闇でドキドキ THE ROCKY HORROR PICTURE SHOW」編もこれにて一旦終了です。そのうち映画版ではなく、舞台版「ロッキーホラーショー」についてお話ししたいと思います。

暗闇でドキドキ その⑩ THE ROCKY HORROR PICTURE SHOW

2022-05-26 19:48:29 | 日記
まいど!にゃんこふです。
念願の、もう本当に待ちに待った「ロッキーホラーショー」のサントラ盤をゲットした私。その夜は、もう一晩中聴きまくりました。さすがに夜、しかも壁も薄い安アパートですからね、ヘッドホンして聴いてました。おかげで耳が痛くて痛くて…。

我に返った時には、もう夜が明けてましたが、とりあえず1本だけカセットテープにダビングできました。
自主休講する訳にもいかないので、目覚まし2台にして服着たまま仮眠。

虎の子はたいていて買ったウォークマン(初代です!確か3万ちょっとしました)に「ロッキーホラーショー」のカセットぶち込んで、聴きながら大学のあるお茶の水へと向かいました。
この頃のウォークマンのヘッドホンって音漏れ酷くて、一時期はちょっとした社会問題にもなりましたね。
だからボリュームはちょっと抑えめです。ただ音量下げると電車の走行音に負けちゃうんです、だから最終的にはシャカシャカ音漏れ全開で聴く事になってしまうのです(笑)

講義が終わった後、いつものように友人達と近くのサ店へ。
「ロッキーホラーショー」を一緒に観た友人たちにサントラ盤ゲットを報告しました。一緒に行った友人達は大騒ぎして喜んでくれましたが、この映画を知らない友人達は「?」って感じで、ほぼ無反応でした。
そう、この「ロッキーホラーショー」って映画、本当に好き嫌いがハッキリ分かれちゃう映画なんですよね。
まあ、映画に限らず音楽やマンガ等、いわゆるエンタメの世界は「好き」と「嫌い」の両極によって成り立ってるんじゃないかと、にゃんこふは愚考する訳です。
でも、この映画に関しては好き嫌いが本当に顕著なんです。

「ロッキーホラーショー」が完成した1977年、20世紀FOXは映画評論家やメディアの関係者を招いて、けっこう盛大な試写会を開催したそうです。が!!
映画開始後30分も経たないうちに半数近い人が試写会場から出て行ったという話が残っています。
そして、公開後の興行成績はアメリカでも日本でも散々な結果となってしまったのです。

映画「ロッキーホラーショー」は、この時点では失敗作、もしくはただのB級映画として終わる運命にありました。
しかし、公開から1年後一人の男の登場により、現在の「キング・オブ・カルトムービー」への道が始まったのです。

男の名はサル・ピロ。いつも思うのですが、変な名前ですね〜。
まあ、サル・ミネオなんて俳優さんもいらっしゃいましたので、向こうではそこまで変という事でもないのかも知れません。
あ、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、サル・ミネオさんは「理由なき反抗」でジェームズ・ディーンの友人役で出演されてた俳優さんです。確かオスカーは逃しましたが、助演男優賞にもノミネートされてました。

話を戻しましょう。このサル・ピロ氏、元はニュージャージーのとある高校で教師をやってました。ある日NYのウェイバリー・シアターで週末行われていたレイトショーで「ロッキーホラーショー」を観て、すっかり魅せられてしまったのです。

▲右側の白いキャミソール姿のヘンタイ…
いえ、男性がサル・ピロ氏です(笑)

その後20世紀FOX公認のファンクラブを立ち上げたサル・ピロ氏。やがて彼の周りには熱狂的な「ロッキーホラーショー」ファン達が集まりました。
今や伝説ともなったNY8丁目の映画館81st.PLAY HOUSEはファンクラブの拠点となり、「ロッキーホラーショー」の聖地とも呼ばれるようになったのです。

毎週末行われるレイトショーでの上映前の客いじりや上映中のツッコミなど、現在見られる観客参加型映画「ロッキーホラーショー」の原点がこの81st.PLAY HOUSEにあったのです。
ちょっと想像できないという方は、青春映画の名作「フェーム」で、その様子を見る事ができますので、ぜひ。
実はこの「フェーム」こそ日本の「ロッキーホラーショー」の観客に大きな変化をもたらした作品と言われています。
そうそう、「コールドケース」という海外ドラマのシーズン4のエピソードでも「ロッキーホラーショー」が取り上げられていますので、こちらもぜひ(笑)

▲上映中のスクリーン前でのパフォーマンス
 不思議と邪魔に感じないのです。

ちなみにサル・ピロ氏、1988年渋谷のシネマライズでのリバイバル上映の際、ファンクラブのメンバーを率いて来日し、上映前のプレショーやバージン・サクリファイス(客いじり)など、本場のパフォーマンスを見せてくれました。私?もちろん行きましたよ〜!
実はこの時の館内の様子が某写真週刊誌に掲載されまして、私しっかり写ってました(笑)

さて次回は「ロッキーホラーショー」を語る時に忘れてはいけないもう一本のカルトムービー・・・そう、あの映画の事(笑)

to be continued