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凍りのくじら

2015-02-17 15:31:18 | 読書
辻村深月著「氷のくじら」を読んだ。
今まで読んだことのないような不思議な世界を垣間見るような魅力的な本。
主人公と取り巻く人々の違和感。そこをうまく渡り歩きながら感じる悲哀。
心のひだをうまく表現して読者を引き込むそのテクニック。
満足度の高い一冊だった。




あらすじ(サイト参照)
「あなたの描く光はどうしてそんなに強く美しいんでしょう」

そう訊かれたとき、私はいつもこう答えることにしている、
「暗い海の底や、遠い空の彼方の宇宙を照らし出す必要があるからだ」と。

「ドラえもん」の作者藤子・F・不二雄を深く敬愛する写真家の父。
彼の名を継いだ新進フォトグラファー、芦沢理帆子の高校時代を追う。

学校と、飲み友達と、元彼氏と、病床の母と、行方不明の父と。
どんな相手にも合わせてしまう、合わせられてしまう理帆子は、自分を取り巻く個性に名前を与えていく。
例えばあの子は「少し・不安」。あの子は「少し・不満」。
そして私は、「少し・不在」。藤子先生の創るSFの世界、「少し・不思議」から取り、
それぞれの個性にふさわしい名を付ける遊び、「スコシ・ナントカ」。
私はどこへでも行ける。誰にでも合わせられる。それが許される。「どこでもドア」みたいに。

でも、一人でいると息苦しい。誰かといても息苦しい。
自分の意志など、とうに摩滅してしまっているのかもしれない。私の「少し・不在」は最近いよいよ深刻だ。

ドラえもんへのオマージュが目一杯詰まった、「少し不思議」な物語。

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