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*** june typhoon tokyo ***

YOSHIKA 『STRAIGHT AHEAD』

Yoshika_straight_aheadこの夏にm-floのツアー“m-flo TOUR 2007 COSMICOLOR~m-flo loves Ameba~”が6/16の大阪を皮切りに7/21の横浜まで開催される訳ですが、そこで日之内エミ、山本領平に続き、EMYLIとYOSHIKAも全公演参戦することも決まったみたいです。

だからという訳ではないのですが、YOSHIKAのインディーズでのアルバムをレヴューしてみようかと。

ジャケットは両手の親指をジーンズの前ポケットに突っ込んでのややアゴをあげて、強気な感じ。
顔だちがちょっと鋭角的というか、メジャー1stアルバム『Timeless』に見る柔らかさはないかも。
バックは後ろ向きで上半身裸。長い髪が背中にかかっています。
腰にはタトゥーも見えますね。ジーンズを後ろ前に穿いていますが。
中には直筆と思われる歌詞が。味がありますね。
ちょっと、ノルウェー・オスロ出身の女性シンガー、Selije(セリア)『やさしい光につつまれて』(Tell Me Where You're Going)のブックレットを思い出してしまったな。
そんなジャケット写真ですが、ビョークやトム・ウェイツらも手掛けるカメラマンの大橋仁によるものだったりします。

そんなことはいいとして、ジャケット写真などは挑発的にも見えますが、楽曲は至って優しいものです。
ただ、『Timeless』の雰囲気とは違いますが。
それを認識した上でしたら、買ってみてもいいでしょう。決して「let go」の延長線上にはないですので。

◇◇◇

 YOSHIKAのインディでの1stアルバム。カヴァー曲を除いてYOSHIKA自身もライティングに参加している。
声質はややハスキーで、やや陰りを見せるところなどは宇多田ヒカルを思わせる。ただ、宇多田と決定的に違うのは、1つは同じ陰りを持っていても、宇多田が陰の要素が強いとしたらYOSHIKAは陽の部分と並行しながら陰りを見せているというところか。2つめは、宇多田が浮遊感を漂わせているのに対し、YOSHIKAは安定感のあるヴォーカリゼーションだという点だ。つまるところ、簡単に言えば、宇多田は限りなく演歌的でYOSHIKAは洋楽的、ということだ。(全篇英詞ということもあるが)

 楽曲は、当たりが柔らかくシルキーなヴォーカルが映える、キーボードとギターをベースにした非常にシンプルなもので、タイトル通り“STRAIGHT AHEAD”(ジャズでいうところのオーソドックス)なもの。スタイリッシュで緻密なプロダクツを提供している。
 プロデュースは、GRANDFUNK INC.のMasao Nisugiが担当。アレンジには、ORIGINAL LOVEやピチカートファイヴのサポートでも著名な中山努とYosuke Miyakeが参加。さらに、マイケル・ジャクソン作品には欠かせないエンジニア、バーニー・グランドマン(Bernie Grundman)を起用し、クリアなサウンドを作り上げている。

 オープナーは「Love,joy,peace」というタイトルの1分強のイントロダクション。詞が書かれていないのだが、マイナー調ややファットなボトム・ラインをなぞるような低音のヴォーカルが印象的。終盤に入り込む艶のあるサックスが効果的だ。
 それに続くアルバム・タイトル曲「Straight Ahead」は、“BABY BABY LOOK STRAIGHT AHEAD YEAH~”のコーラスが何とも温かい。清々しさに満ちたクラップ・ビートの上を、気持ち良さそうに流していくヴォーカル、軽やかなアコースティック・ギター、時折入り込む笑い声など、ナチュラルな優しさが感じられる秀作だ。
 「My love is all about U」も同様のテイストのナンバーだが、“My love~”のフレーズや後半のブリッジなどでのファルセットが耳をひく。寄り添うように爪弾かれるギターなど、3分と決して長くない時間のなかで、優れたアレンジが施されている。

 中盤の「Real one」はそれまでの雰囲気とは異なる、R&Bテイストのミッド。クールに刻まれる緊張感のあるリズムとストリングスに迫られながらも、ウィスパー・ヴォイスとソフィスティケートされたヴォーカルとの巧みな使い分けが絶妙。
 アル・クーパーの名曲のカヴァー「JOLIE」は、2002年にSONY「サイバーショット」CMで使われ注目を浴びたナンバー。ここでは“Medium F.B.O.P version”というリミックスになっているが、原曲のイメージを崩さずにYOSHIKAのヴォーカルを活かすオーガニックなアレンジが見事。微かな色気が感じられるコーラスやヴァースでの意外にも芯の強さを見せるヴォーカル…といった懐の深さも。
 これに、サンバ風ブラジリアン・ミュージックをベースに軽妙なR&Bメロディを噛ませることで、スピーディなボッサ・ハウスに昇華させた「Brisa do mar」が続く。爽やかな風を運んでくる清涼感と陽気さが心を洗ってくれる。カネボウ「REVUE」
CM曲。

 終盤を迎え、2002年の“Dion by KDDI”CM曲となった、ショパンの「別れの曲」をカヴァーし詞をつけたソウル・バラード、「If you were here」へ。過去の痛みを噛み締めながらも、明日へ向かって進むポジティヴさを表現した生命力のある曲で、ここでも落ち着いた歌唱を披露。
 アルバムのクロージング・ナンバーとなる「Believe」は、クラップ・リズムが弾むジョイフルなミディアム・バラード。優しさと温もりのあるファルセット・ヴォイスが、ピースフルな雰囲気を醸し出している。

 全体的に、3分台の短めの曲が多くコンパクトにまとめられたアルバムだ。ただ、それは尺だけからくるものではなくて、安定感のあるサウンドによって輪郭をしっかりと描けているからこそ。YOSHIKAもそれに支えられている安心感からか、気持ちの余裕が感じられ、ナチュラルながらも非常に高品質な楽曲集となっている。
インディ盤として侮るなかれ。“シンプル・イズ・ベスト”と“シンプル・イズ・ビューティフル”を同時に兼ね備えた名盤だ。

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