終盤怒濤の3ゴールで、ホーム戦で好相性のG大阪に勝利。
FC東京のホームゲームでのG大阪との対戦は、昨季こそ0-1と敗れたものの通算では14勝5分4敗。近10年でも2000年と昨年以外は負け無しと好相性の相手だ。さらに、新国立でのホームゲームは負け無しで、データ/ジンクス的にはFC東京が優位といえる。その優位性も働いたのか、結果的には3対0という快勝スコアとなったが、試合内容としては決してそれほど差があった訳ではなく、むしろG大阪のゴールがVARで判定が変更となるなど、ラッキーな面が働いたことは否めない。
FC東京は前節から5名を変更し、長友、東慶悟、小泉、遠藤、マルセロ・ヒアンをスターティングメンバーに起用。G大阪は前節から倉田に代わって美藤が入ったのみに留まった。
序盤はFC東京がシュートを多く放って優位に立つが、20分以降はG大阪も次第に攻勢となる時間も作り出す。とはいえ、G大阪はペナルティエリア内で決定機となるシュートを放ったというよりは、多くがボックス外のミドルと、ペナルティエリアへの侵入を増やした訳ではなかった。イッサム・ジェバリがボールを収めると、推進力を高めてゴールへの矢印が向かうが、そこからの連係がいま一歩。満田が高い位置で受け渡しする際には攻勢となるものの、最終ライン近くまでボールを受けに下りてくることも多く、トップにいるイッサム・ジェバリとの距離が遠くなると、イッサム・ジェバリからの攻撃も単独で終わってしまう。また、FC東京の積極的なプレスも影響してか、なかなかファン・アラーノへ良い形でボールを預けられなかったことも、ゴール前でより迫力を出すまでに至らなかった部分か。
ビルドアップで苦しんでいるFC東京は、1トップのマルセロ・ヒアンにロングボールを送ることで活路を見出そうとした。それ自体はルヴァンカップの大宮戦同様だが、その分、中盤を飛ばすことが多く、シャドーの位置に入った北原などはあまり効果的にボールに関与できなかった。それでも、6分にドリブルでペナルティエリアへ侵入したマルセロ・ヒアン、12分に佐藤恵允のスルーパスに反応してペナルティエリア右へ抜けた小泉、その直後のCKからファーサイドでダイレクトボレーを放った佐藤恵允と、それぞれ決定機にシュートを放つが、G大阪・GK一森の好セーヴなどでネットを揺らすことができない。
22分、G大阪は鈴木徳真のスルーパスに抜け出した半田がペナルティエリアに侵入してパスを送ると、イッサム・ジェバリがシュート。FC東京のDFがブロックするも、ループしたボールがGK野澤大志ブランドンの頭上を越えてそのままネットに吸い込まれ、G大阪が先制かと思われたが、VARが介入して主審はオンフィールドレビューを実施。イッサム・ジェバリがシュートを放った際にオフサイドの位置にいた半田が、ゴールマウスへ向かってクリアをしようとした安斎の進路を防いでプレイに関与したとして、ゴールの判定を変更し、ノーゴールとなった。
ここで先制できなかったことが、G大阪としては流れを一気に引き寄せられなかったことにも繋がる。その後、FC東京は安斎、遠藤とFKからゴールを狙うも活かせず。ゴール前までは攻め込むが、ペナルティエリア内で決定的なシュートを放つまでには至らず。FC東京は7本(枠内5本)、G大阪は本(枠内0本)とシュート数ではFC東京が優勢だったが、ともに多くのチャンスで賑わせたという印象は持てなかった。
後半開始早々の47分、FC東京陣内でFKを獲得したG大阪は、満田がペナルティエリアへボールを送ると、イッサム・ジェバリがシュート。だが、上手く脚を振り抜けずにミスヒットし、ゴール右へ外してしまう。FC東京はクロスボールへの対応がまずく、G大阪の選手をフリーにさせてしまう場面が散見していたが、そのクセはここでも露呈。マークの受け渡しに課題が残ったままなのは気がかりな部分だ。G大阪にとっては、前半のノーゴール判定とこの絶好機を逃したことが、拮抗した展開から終盤一気にFC東京へ流れが傾く遠因となってしまう。
二次、三次攻撃というような流れを作れないFC東京は、白井、俵積田、高の3枚替えを敢行。さらに橋本をピッチに送り込む。それに対して、G大阪は前半からあまり効果的なボールを受けられずにいたファン・アラーノを宇佐美へスイッチ、続いてサイドから突破を試みていた山下諒也を岸本に、美藤を倉田に代えて、打開を図っていく。
ややG大阪がペースを握り始めながら、それぞれの決定機をGKの好セーヴもあって活かせず。スコアレスドローの雰囲気も漂い始めたが、86分にFC東京は自陣でG大阪のパスを奪うと、小泉が俵積田へボールを送る。ドリブルを開始した俵積田が左サイドのスペースを駆け上がると、ペナルティエリアで中谷と岸本の間へ切り込んでシュート。これがゴール右隅へ決まって、FC東京が先制。その勢いのまま、90分にはゴールライン際までボールを持ち込んだマルセロ・ヒアンが福岡との競り合いで倒れるも、そのボールを佐藤恵允が回収。右サイドへ流れた橋本へボールが渡ると、橋本はペナルティエリア手前へ駆け込んできた高へパス。これを高が右から巻いていくような弾道のミドルシュートをゴール右上に決めて、FC東京が追加点を挙げる。さらに、アディショナルタイムの94分には、ペナルティエリア左から侵入した高のスルーパスに抜け出した俵積田がシュート。一度GK一森がブロックするも、その跳ね返りが岸本に当たって、そのままゴールイン。FC東京は10分も経たずに立て続けに3得点を挙げ、リーグ戦では2月26日の第3節名古屋戦以来、9試合ぶりの勝利を手繰り寄せた。
結果的には終盤の連続得点でいい形に終えたようにも見えるFC東京だが、攻守ともにまだまだ課題は多い。攻撃ではパスの精度もそうだが、サイドラインを駆け上がってもパスを前へ送らずに戻してしまうことも多く、チャンスを自ら削いでしまう場面も。相手へ怖さをもたらすことができなかった。守備ではやはりセットプレーでの対応。特にクロスボールでのマークが甘く、容易くシュート場面を作らせてしまい、、失点のリスクを高めてしまっている。また、自陣での中途半端なクリアや自陣から持ち出そうとしてパスミスで一転ピンチを迎えて、その後相手の波状攻撃を受けてしまうところも。この試合でも岡などにそのシーンが目立った。ピンチに身体を投げ出して防ぐビッグプレーもある一方、イージーミスになりかねないプレーもあり、その振り幅を良い方へ寄せて行かないと、上位陣に対するのは厳しくなってくる。
ボールを繋ぐ部分とロングボールや縦に早く展開する部分、攻撃のヴァリエーションを持つことは不可欠だが、その時々の意識の共有はまだまだか。個に頼ることは悪ではないが、個に頼ってしまってばかりでは窮屈になる。常に適度な距離感、トライアングルを保ちながら、数的に足りる形で攻め込むことができるかが、チャンスシーンの創出を増やすカギとなってくる。
ひとまず、未勝利を8試合で止めて、暫定ながら降格圏を抜け出すことには成功した。ただ、勝利を継続しないことには、順位を上げていくのむ難しくなってくる。次節・清水戦は中3日で迎えることになるが、ホームで戦えることは利点だ。名古屋戦以来に味スタで勝利し、一つでも上の順位へ喰い込みたい。
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明治安田J1リーグ 第12節
2025年4月25日(金)19:33KO
国立競技場
入場者数: 44,519人
天候:曇 / 気温:21.5℃ / 湿度:41%
主審:飯田淳平
副審:西橋 勲、森川浩次
第4の審判員:吉田哲朗
VAR:笠原寛貴
AVAR:唐紙学志
FC東京 3(0-0 / 3-0)0 G大阪
【得点】
(東):俵積田晃太(86分)、高 宇洋(90分)、オウンゴール(90+4分)
(G):
〈試合経過〉
08分 警告 東京 岡 哲平
62分 交代 東京 長友佑都 → 白井康介 / 東 慶悟 → 高 宇洋 / 北原 槙 → 俵積田晃太
70分 交代 東京 遠藤渓太 → 橋本拳人
70分 交代 G大 ファン・アラーノ → 宇佐美貴史
80分 交代 G大 山下諒也 → 岸本武流 /美藤 倫 → 倉田 秋
86分 得点 東京 俵積田晃太
89分 交代 東京 小泉 慶 → 野澤零温
89分 交代 G大 満田 誠 → デニス・ヒュメット
90分 得点 東京 高 宇洋
90+4分 得点 東京 オウンゴール
◇◇◇
【FC東京メンバー】
〈スターティングメンバー〉
GK 41 野澤大志ブランドン
DF 05 長友佑都
DF 07 安斎颯馬
DF 30 岡 哲平
DF 32 土肥幹太
MF 10 東 慶悟
MF 22 遠藤渓太
MF 37 小泉 慶
MF 53 北原 槙
FW 16 佐藤恵允
FW 19 マルセロ・ヒアン
〈控えメンバー〉
GK 13 波多野豪
DF 04 木本恭生
DF 99 白井康介
MF 17 寺山 翼
MF 18 橋本拳人
MF 33 俵積田晃太
MF 08 高 宇洋
FW 28 野澤零温
FW 39 仲川輝人
〈監督〉
松橋力蔵
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【FC東京 2025シーズン 試合日程】
◇2025明治安田J1リーグ
第01節 02月15日(土)14:00〇FC東京 1-0 横浜FC(A・ニッパツ)
第02節 02月22日(土)15:00✕FC東京 0-1 町 田(H・味スタ)
第03節 02月26日(水)19:00〇FC東京 3-1 名古屋(H・味スタ)
第04節 03月01日(土)14:00✕FC東京 0-2 鹿 島(A・カシマ)
第05節 03月08日(土)16:00△FC東京 0-0 湘 南(H・味スタ)
第06節 03月15日(土)14:00✕FC東京 0-1 福 岡(A・ベススタ)
第07節 03月29日(土)17:00✕FC東京 0-3 川 崎(H・味スタ)
第08節 04月02日(水)19:00△FC東京 2-2 東京V(A・味スタ)
第09節 04月06日(日)13:00✕FC東京 0-1 岡 山(A・JFEス)
第10節 04月11日(金)19:00△FC東京 1-1 柏 (H・国 立)
第11節 04月20日(日)15:00△FC東京 1-1 C大阪(A・ヨドコウ)
第12節 04月25日(金)19:30〇FC東京 3-0 G大阪(H・国 立)
第13節 04月29日(火)13:05 FC東京 ✕ 清 水(H・味スタ)
第14節 05月03日(土)14:00 FC東京 ✕ 新 潟(A・デンカS)
第16節 05月10日(土)15:00 FC東京 ✕ 神 戸(H・味スタ)
第17節 05月17日(土)16:00 FC東京 ✕ 浦 和(A・埼 玉)
第18節 05月25日(日)15:00 FC東京 ✕ 広 島(H・国 立)
第19節 05月31日(土)19:00 FC東京 ✕ 京 都(A・サンガS)
第20節 06月14日(土)19:00 FC東京 ✕ C大阪(H・味スタ)
第21節 06月22日(日)18:30 FC東京 ✕ G大阪(A・パナスタ)
第15節 06月25日(水)19:30 FC東京 ✕ 横浜FM(A・日産ス)※1
第22節 06月28日(土)19:00 FC東京 ✕ 横浜FC(H・味スタ)
第23節 07月05日(土)19:00 FC東京 ✕ 柏 (A・三協F柏)
第24節 07月19日(土)19:00 FC東京 ✕ 浦 和(H・味スタ)
第25節 08月10日(日)19:00 FC東京 ✕ 鹿 島(H・味スタ)
第26節 08月16日(土)19:00 FC東京 ✕ 湘 南(A・レモンS)
第27節 08月24日(日)19:00 FC東京 ✕ 京 都(H・味スタ)
第28節 08月31日(日)19:00 FC東京 ✕ 名古屋(A・豊田ス)
第29節 09月13日(土)・14日(日)・15日(月)00:00 FC東京 ✕ 東京V(H・味スタ)
第30節 09月20日(土)00:00 FC東京 ✕ 川 崎(A・U等々力)
第31節 09月23日(火)00:00 FC東京 ✕ 福 岡(H・味スタ)
第32節 09月27日(土)・28日(日)00:00 FC東京 ✕ 横浜FM(H・味スタ)
第33節 10月04日(土)・05日(日)00:00 FC東京 ✕ 清 水(A・アイスタ)
第34節 10月18日(土)・19日(日)00:00 FC東京 ✕ 広 島(A・Eピース)
第35節 10月25日(土)・26日(日)00:00 FC東京 ✕ 岡 山(H・味スタ)
第36節 11月09日(日)00:00 FC東京 ✕ 町 田(A・国 立)
第37節 11月30日(日)00:00 FC東京 ✕ 神 戸(A・ノエスタ)
第38節 12月06日(土)00:00 FC東京 ✕ 新 潟(H・味スタ)
※1 横浜FMが「AFCチャンピオンズリーグエリート 2024/25」準々決勝以降進出の際は6月25日(水)19:30に、敗退時は5月6日(火)14:00に開催
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