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A Running Stone Gather no moss

タイトル変えました。iSaonのブログです。

『アメリカンドッグ』の真実

2007-12-03 13:14:13 | 食べ物だもの
『アメリカンドック』と言えば、ソーセージに、ホットケーキミックスの衣をまとい、油で揚げた食べ物です。

高速道路のパーキングエリアや、スーパーの売店、屋台などでおなじみのB級食品だけど、なんか最近、あまり見かけなくなったような気がしない?同じ売店・屋台系の定番である、たこ焼き(銀だこ)やヤキソバ(富士宮ヤキソバ)が表舞台を歩むのに比べると、B級食品の『負け組み』に属していると思う。

まあ、考えてみれば、ドーナッツにソーセージ突っ込んで、ケチャップかけて食べてるわけで、練り肉、小麦粉、油、砂糖、ケチャップと、低価格・高カロリーの代表格を一同に集めたような食い物だから、今の世の中で生き残っていくのは厳しいのかもしれない。

ところで、このB級食品は『アメリカンドック』と呼ばれることもあれば、『フレンチドック』と呼ばれることもある。なんでも北海道では、フレンチドックと呼ばれていて、これに砂糖をまぶして食べるのが普通らしい(オェッ)。

アメリカ人とフランス人では、結構、大きな違いだと思うが、そもそも『ドッグ』なんだから、何を言ってもはじまらない。

しかし、僕の遠い記憶では、これ、『ホットドック』と呼ばれていたと思うんだけど。

ホットドックが実は、ソーセージをパンで挟んだものだ、と知ったのは、結構大人になってから。少なくとも、中学生くらいまでは、僕の中では『ホットドック』には串が刺さっていた。本当のホットドックは、あれは『ソーセージパン』と呼んでいた。

だから、真実を知ったときには、驚愕した。騙された、とも思った。イタリア料理には『ナポリタン』がない、と知らされたときと同じくらいショックだった。

でも、今回、この記事を書くにあたって、調べてみたところ、別の事実が判明した。

米国では、『アメリカンドック』とは呼ばない。じゃあ、なんと呼ぶのかというと、これが、『コーンドック』と呼称するらしい。とうもろこしの粉を使っているから。

しかし、米国では、細長い豚肉ソーセージのことは、すべて『ドック』というらしく、焼いたり、揚げたりしてあれば、『ホット』な『ドック』だから、コーンドックのことを『ホットドック』という場合もあるんだってさ。

よかった、よかった。

実は子供の頃、母親が自宅で『ホットドック』を作ってくれたことがある。

彼女の考えとしては、ソーセージに衣をつけて揚げれば『ホットドック』。だから、迷わず、串に刺した魚肉ソーセージに、水で溶いた小麦粉を付けて、油で揚げた。

これに、ケチャップとカラシ(もちろん、和ガラシ)を付けて、我々に食べさせた。

もともと、あの甘い衣が僕は好きではなかったので、母のホットドックは、これはこれで、悪くはなかった。ただ、どうしても、ケチャップよりも、お醤油をたらしたいという誘惑に駆られた。

でも、ちょっとでもお醤油をたらしたら、それは、まごうことなき、『魚肉ソーセージの天ぷら』になってしまうので、母親の手前、ガマンした。

思えば、あの頃、ソーセージといえば、魚肉ソーセージをさしていたような気がする。

本来のソーセージは『ウィンナー』と呼んでいたし、ウィンナーの呼び名に収まりそうもない長いウィンナーを見かける機会はあまりなかった。そもそも、ソーセージがなんの肉からできているかなんて、あまり気にかけなかった。すべては形状と長短できまっていたような気がする。

だから、その後、動物系のソーセージが普通になった後でも、マクドナルドが、円形のハンバーグみたいなものを『ソーセージ』と呼んで売り出したときには、僕はずいぶんと混乱したものだ。

たぶん、あの時は誰もが、

「えっ?これがソーセージ?うそっ!」

って思ったはずだけど、魚肉ソーセージが、本当のソーセージだと信じていた人たちは、もう一度、恥をかくのがつらいので、外見上、何事もなかったような風を決め込んでいた。きっとそうだ。

トーフの品格

2007-11-12 16:57:55 | 食べ物だもの
豆腐って、イイ奴だと思う。

来世、自分が食品に生まれ変わったとしたら、断然、豆腐になりたい。竹輪とか、さつま揚げは、願い下げだ。

豆腐は、実に様々な料理に使われる。ユーティリティプレイヤーだ。しかも、冷奴や、肉豆腐のように、主役も張れる大物なのに、すき焼きや、ゴーヤチャンプルーのような料理にも、ほんのチョイ役として気安く応じてくれる。

普通、主役級の大物俳優が、主役以外の役で出演するときには『(友情出演)』なんて、ただし書きが入ったりするが、豆腐が、ゴーヤチャンプルーに出演するときには、そういった恩着せがましいそぶりは微塵も見せない。

実に、見上げた心意気ではないか。

そんな豆腐を慕う仲間は多い。湯豆腐の場合を考えてみよう。湯豆腐は本来、土鍋に昆布一枚敷いて、湯を引いて、豆腐をにたたたた(スマン、噛んだ)、煮立たせる簡単な料理だが、家によっては、これに白菜や、長ネギ、あまつさえ、甘塩タラの切り身や、牡蠣を入れるところもある。

このような豪華な鍋でも、あくまでも『湯豆腐』なのだ。『タラちり』とか、『牡蠣ちり』と名乗っても、まったく問題ないのにもかかわらず、タラや、牡蠣をして、

「いや、ここは豆腐さんのホームだから」
「僕ら、ちょっと隅っこのほうで、遊ばせてもらいますから」

と言わしめているのである。なんたる人徳。

こんな料理が他にあるだろうか。『ニンジンの甘煮』という料理の付け合せに、ステーキが乗るか?

皿一面にツマが敷かれていても、そこにマグロが一切れ乗った瞬間、その料理は『マグロのお造り』になり、もはや、『大根とニンジンの千切り』とは誰も呼ばない。料理の世界とは元来、そういうものなのだ。

料理以外でも、主役以外の名前を、その組織名にいただくのは、僕の知っている限り『内山田洋とクールファイブ』だけだ。

僕が、海外出張から帰った日の晩、我が家の食卓には必ず、マグロの刺身と豆腐が並ぶ。夏は冷奴で、冬は湯豆腐。冷たい、サッポロ黒生(350ml)をぐぐーっとやって、七味たっぷしの豆腐を口に放り込む。鼻から抜ける、たおやかなる大豆のそこはかとなき香り。

ハー、日本人でよかったと痛感する瞬間である。


実録・鍋奉行

2007-10-26 15:54:40 | 食べ物だもの
鍋奉行は、嫌われる。

イチイチうるさい、だとか、勝手に食わせろ、だとか、空気を読め、だとか、ケツの穴が小さいだとか、足がクサい、だとか、いろいろなことを言われる。

たしかに、鍋はみんなでワイワイ、ガヤガヤ食べるのが一番。文字通り、箸の上げ下げにまで口を出されて、いい気がする人はいまい。

しかし、鍋奉行だって、別にみんなを怒らせようとして、鍋を仕切っているわけではない、おいしいものを、できるだけ美味しく食べたい、食べてもらいたいと思えばこそ、つい口調も荒くなるというものだ。

親の心子知らず、奉行の心、町民しらずなのだ。

鍋奉行は、基本的に『遠山の金さん』である。普段は、町人の中に溶け込んで、だれも、この人がお奉行様だとは気がつかない。しかし、ひとたび事件があると、背中の桜吹雪が荒れ狂い、遊び人の金さんは、一転、『北町奉行・遠山左衛門尉』さま、おなぁーりぃー、となるのである。

料理店に行って、鍋を注文すると、まず、お店の人が鍋とコンロをもってくる。このとき、お店の人は決まって不機嫌だ。「なんでアタシがこんなもの、運ばなくてはいけないんだか」といった顔をしている。だから、テーブルの真ん中に灰皿なんか、おいてあろうもんなら、もう露骨に嫌な顔をする。

そして、火をつけるのだが、これが一度でついたためしがない。必ずカチッ、カチッと数回空振りし、『あれー?』とか覗き込んだりしてもまだ点かない。

この間、テーブルを囲むお客は私語が禁じられている。空気が重い。誰もが固唾を飲んで事態の推移を見守っているのだが、こんなとき、かならず『どれどれ』なんつって、コンロを覗き込もうとして、

『お客さん、危ないですから!』

なんて、怒られたりするお調子モンがいる。係長か主任クラスに多い。

鍋の仕切りやが奉行なら、店の従業員は、さしずめ、岡っ引きだ。十手がチャッカマンだ、御用だ、御用だ。

ようやく、コンロに火が点き、鍋にスープが張られる。金さんも一安心だ。あたりを見渡し、誰も皿の菜箸に手をつけていないな、と確認したところで、やれやれ、しょうがない、オレが材料、入れてやっか的に立ち上がろうとすると、いきなり、春菊を鍋に放り込んでいる奴がいる。

なぁーにぃー?(by クールポコ)、菜箸だけをマークしていたが、こやつは、自分の割り箸を取り出した。オレとしたことが、うかつだった。しかし、最初に春菊を入れるとはなぁんたる暴挙。春菊は煮えばな、だろうが、ていうか、まだ、スープが煮立ってねーだろが。

『おもてをあげーい!』といきり立ちそうになるが、

『ダメだよ、ツチヤくーん、最初は、お魚から入れなくちゃ』

と、イケダ主任のフォローで、事なきを得る。さすがだ、イケダ主任。次回の査定は期待してくれたまえ、と心でつぶやく金さん。

しかし、そうは言いながらも、この女、タラと一緒に、葛きりも入れてるぞ、

『アタシ、葛きりダーイスキ』

このっ、クソアマ、溶けちゃうだろうが、葛きりが、もったりしちゃうだろーが、スープが!えーい、査定の話はナシだ!

ダメだ、もー、黙っていらんない。こいつら、全然わかってない、

やかましぃやい! 悪党ども!!おうおうおう、黙って聞いてりゃ寝ぼけた事をぬかしやがって!

この桜吹雪に見覚えがねぇとは言わせねえぜ! 黙って、菜箸をよこしやがれい!

いいか、鍋には順番ってもんがあるんだ、まずは肉や魚、次に根菜類や白菜のしろいところ、エノキと春菊は食べる直前に、食べきれる分だけを入れて、決して、鍋に残さない。ジョーシキだろうが。

それから、カツオ系のスープは、あまり沸騰させな、っていうか、このタラ、塩抜きがあまいぞ。

おいコラ、タカハシ! 最初っから、スープをゴクゴク飲むなっつーの、ビンボー人が。

アオキ、だれが、白菜、入れていいって言った、なめてんのか、あー?いったん鍋の中身を食べ終わってからじゃないと、スープが濁るんだよ!だいたい、お前は、そんなだから、仕事も中途半端なんで、ガミガミ ...

あれ?コンロの火がよわいぞ、オネーさん、ちょっと代えて。

おやー、なんだぁ?この店、雑炊のご飯が洗ってないぞ。ご飯を水でゆすいでおかないと、サラサラに仕上がらないでしょうが。

『で、でも課長、ア、アタシ、もったりした雑炊も好きです。米粒のひとつひとつが、出汁を吸って ...』

エンドウ、お前一人の鍋じゃないんだぞ、なんのために、スープを濁らさないよう、ここまで努力してきたと思ってんだ。すべては、サラサラの雑炊が食べたかったからじゃないか。

『ワタシも好きだな、もったりした雑炊』

オ、オカダさん、古株のあなたまで、そんなこと言われちゃ困りますよ。僕はみんなのことを思ってですね ... クドクド ... そりゃ、僕はあなたより、年下だし、面白くないこともあるでしょうよ  ... クドクド ... でも、だからと言って  ... クドクド ...

あー、秋のお江戸の夜は更けてく ....


鍋の季節よぉ♪

2007-10-19 19:03:40 | 食べ物だもの
8月が『恋の季節』だとしたら、10月はなんの季節でしょう。うん、そうだね、プロテインだね、じゃなくて、『鍋の季節』ですね(このギャグ、わかる人が何人いるやら)。

鍋料理、好きだな。子供のころは、家族でもこんなに楽しいのだから、友達や好きな娘と鍋を囲んで騒げたら、どんなに楽しいだろうって、ずっと思ってました。

だから、お酒が飲めるようになるとすぐに、友達の家で鍋パーティを始めました。たしか、18歳のころです。この場合、お酒が飲めるというのは、法律上のことではなく、お酒をうまい、と感じるようになった歳のことね。
最初の鍋は、たしか、土鍋に湯を煮立てて、持ち寄ったものをぶち込んで、ポン酢で食べるという、闇鍋に限りなく近いものだったと思う。

鮭の缶詰とか入ってたもんな。

お酒は、ビールと日本酒。あのころのビールって、やたらサイズのでかいものがあって、缶ビールの1リットルや2リットルなんてのがあったような気がする。日本酒は『剣菱』。

その後、働き出して、浦和の寮に入ったばかりのころ、ふと、鍋をやろうと思い立ち、近くのスーパーに買い物に出かけたことがあります。

白菜だ、エノキだと、定番食材を入れて、ふと、魚売り場を見ると、鮭のアラが。そうだ、魚のアラって、いい出汁がでるんだよな。ということで、購入。

魚のアラは、たしかにいい出汁がでる。しかし、それには、ちゃんと下ごしらえが必要で、塩を振って、しばらくおくなり、下茹でするなり、網で焼くなりしないといけない。

しかし、当時のアタイは、ものを知らなかったから、ちょこっとゆすいで、そのまま鍋へ投入。もちろん、ものすごい匂いになりました。

やがて、三々五々、寮に帰ってくる先輩達。鍋と聞いて、喜ぶものの、その強烈な匂いをかいで、すごすごと自分の部屋へ引き上げていきます。

さすがに、これはダメだと思って、捨てようとしたら、一番年長で強面、自称グルメの先輩が帰宅。食わせろというので、えーい、ままよ、と差し出せば、これをガバガバ食べ始める。

あっという間に、平らげて、歯なんかシーシーしてる。世の中にはスゴイ人がいるもんだと思った。

今から思えば、鮭のアラは、石狩鍋にするんだよね。下茹でどころか、酒かすと味噌とニンニクで徹底的に臭みを取るんだ。何年か前に作ってみたけど、とてもおいしかったです。

あの先輩に食べさせてあげたいな、と思いました。


カラアゲを熱く語る

2007-10-05 15:18:15 | 食べ物だもの
以前、横浜の関内で仕事をしていた頃、伊勢崎町に行きつけの居酒屋さんがあった。

この店の良いところは、マスターが楽しい人で、店が空いていて、値段が安いところ。逆に、悪いところは、何を食べても不味かったところだった。

ホント、感心するくらいに、料理がダメだった。どれも、食べられないという程ではないのだけれど、食べると、ちょっとだけ不愉快になるというか、テンションの下がる料理ばかり。

あるとき、ここのマスターに言われました。

『isaonさんって、ホントにカラアゲがお好きなんですね。毎回、必ず注文されますもんね』

さすがに、

『他に食えるようなもんがねーだろ!』

とは言えないので、薄ら笑いで誤魔化しましたが、考えてみれば、別にこのカラアゲが、旨いわけでは決してない。冷凍を温めただけのピザや、少し臭いお新香の盛り合わせと同じように、『ダメ』な料理であることに変わりはない。思いっきり、日清製粉の『からあげ粉』使ってるし、ブロイラーだし。

しかし、なぜか、カラアゲだと許せてしまう。テンションの降下を最小限に食い止めることができる。なんでなんだろうね。

そういえば、カラアゲの味うんぬんに関して、熱い議論を聞いた記憶がない。

行列のできるカラアゲ店とか、カラアゲランキング、ベスト10、なんてテレビ番組も見たことがない。

でも、カラアゲって、オカズ界の中では、結構な重鎮だと思う。お弁当に、定食に、居酒屋のメニューに、はたまた、パンの間に挟まったり、蕎麦やラーメンに上に浮いてたりもする。

特に、カラアゲのない弁当ってちょっと考えられないでしょ?

それくらい優秀なユーティリティプレイヤーなのに、味について語る人は、カーネルサンダースを除くと、ほとんどいない。目玉焼きと比べてみると、その差は歴然だ。

僕は、誰がなんと言おうと、冷たいビールに一番合うのは、ケンタッキーフライドチキンのオリジナルチキンだと思っている。

熱々のチキンと冷え冷えのビール、それとコールスローがあれば、もうこの世に何もいらないと思う(大げさに言えば)。

口中の、ケンタッキーのチキンの油は、ビールでは十分に落とせない。チキンひと齧りにつき、ビール1ゴクゴク、コールスローひとさじ、というのが理想だ。

KFC以外のカラアゲでは、なんといっても、学校給食のカラアゲ。これが美味かった。

当の昔に冷めきっているのに、いや、冷め切っているからこそウマイ。特に、皮の部分のパリパリしたところが香ばしくてサクサクしていて、ちょっと油っぽくって、たまらない。

あれも、相当ビールと合っただろうね。小中学生でなかったら、ビールほしさに、のたうち回って、教室の中で錯乱したかもしれない。手元にライフルがあったら、きっと乱射していたと思う。

そういえば、カラアゲのときって、必ず、『キュウリとキャベツの塩もみ』がでてなかった?あれも、うまかったよね。『キュッ、キュッ』って音で頭痛くなったりしてさ。

母親が作るから揚げは、あまり粉を使っていなかったのか、表面が濡れていて、とても柔らかだった記憶がある。逆に我が家のカラアゲは、片栗粉と小麦粉を半々にまぶしてあるので、カラリとしている。

子供の運動会などで、近所の人たちと一緒にお弁当を食べることがあると。どこの家も例外なく、カラアゲが入っている。ときどき交換しあったりして、

『お、ヤマモトさんとこのカラアゲは、ショウガが効いてて、ウマイっすね』

なーんて言いながらも、頭の中では『うーん?』。ちょっとだけ、友達の母親が握ったオニギリを食べている時のような居心地の悪さを感じてる。やっぱ、自分んちのカラアゲの方がウマイよな、と思う。

見渡すと、他の家のダンナさん達も同じような顔をしている。

カラアゲが、熱く語られない所以である。