カップラーメンには、自由がない。
入れるお湯の量から、待ち時間、フィルムのはがし位置まで、決められている。
スープにしたって、粉末はお湯を入れる前で、液体は『お召し上がり直前にお入れください』と細かく指図されている。
夜中に腹が減り、カップラーメンでも食べようかと思ってフタをあけると、これでもか、というくらい小袋がでてきて、いちいちチマチマ開けていると、なんだかシミジミ哀れな気持ちになってくる。
なにもこんなにしてまで、とも思いつつ、カップ横の小さな文字の説明書きを食い入るようにみる。
待ち時間は大抵、ラーメン、そば系が3分、うどん系が5分と相場が決まっているが、俺は、固めが好きなんだ、と、1分ばかり、早めに食べ初めてしまう。管理社会に対する、ささやかな抵抗である。
カップラーメンに比べると、袋麺の管理体制は緩い。袋の破り方だって自由だし、袋の中身は、粉末スープ、麺、以上、といったわかりやすさだ。
かつては袋麺の中にも、やれ、香りの小袋だ、こだわり醤油ベースだと、小賢しいものを入れていた一派もいたが、結局は淘汰された。
いまでは、『サッポロ一番(味噌)』の七味や、『出前一丁』のゴマラー油など、ごく一部の残党にその面影を残すのみとなっている。人類は正しい方向へ進化している。
現在、袋麺の調理方法には、麺をゆでたお湯の処遇をめぐって、二つの流派が存在する。湯きり派と湯きらず派だ。
湯きり方式は、脂分がとれ、あっさりと上品な味が売り物だが、薬味以外の野菜類を起用しずらい、という欠点がある。
一方、湯きらず方式は、キャベツやにんじんといった野菜類を煮込んだスープをそのまま使えるので、選択の幅が広がる。事実、ほとんどの袋麺メーカは、この方式を推奨している。
ただし、麺を揚げた際の油がそのままスープに混ざるため、多少の野暮ったさはいかんともしがたい。
また、この方式は、丼を使わず、鍋に直接箸を突っ込んで食べる、いわゆる『鍋喰い』の温床となっているとの指摘もあり、評価の分かれるところでもある。
一方、特定の袋麺においては『湯切らず』方式以外はありえない、というものも存在する。
マルちゃんの『カレーうどん』(甘口)がそれだ。
このカレーうどんは、麺を茹でる際に発生するトロミを考慮にいれて、粉末スープ内の片栗粉が調節されている。
そのため、湯きりをしてしまうと、変にあっさりとした、サラサラのカレーうどんになってしまう。
そういうのが、好きだ、という輩もいるかもしれないが、無視。
トロミのない、カレーうどんなんて、ブリーフをはいた『くまのプー』だ。
ピンとこない奴は、置いていくぞー。
また、マルちゃんのカレーうどんには、長ネギがよく合う。
麺を入れる際に、斜め切りした長ネギ一本分を同時に投入する。 ネギから出た甘みと、芯の部分のトロッとした食感がたまらない。
よく掻き混ぜたほうがうまい。
ビラビラと平たい麺にスープが絡む。すすりこむときに唇に感じるなんともいえない、摩擦感がいい。普通のカレーうどんにはない、愉しみだ。
一度、油で揚げているせいか、麺に甘みがある。カレーうどんを名乗りながら、ある意味、カレーうどんを超えた境地を感じさせる。
マルちゃんこと東洋水産の袋麺には、このように、個性的な実力者が多い。 マルちゃんの『天ぷらそば』も、そのひとつだ。
製品名の「天ぷら」は、同封されている、トッピングに由来するが、これが、どうみても「天かす」にしか見えない。
マルちゃんの『タヌキそば』にすべきじゃないか。
逆に同社のカップめんのヒット商品、『みどりのタヌキ』には、ちゃんとした天ぷらがのっている。キツネにつままれたみたいだ。
ネーミングはともかく、味は素敵。やはり、本物にはない、独特の縮れ麺と、香り高い、出汁の香り。 なぜ、この香りがカップ麺で出せないのか、不思議でしょうがない。
僕の中で、そばのポジションは:
うまい蕎麦屋>マルちゃんの天ぷらそば>立ち食いそば*1>どん兵衛>やまだうどん
の順になっている(*1 『小諸そば』を除く)。
ところで、このマルちゃん、メキシコでは85%ものシェアをもっていて、メキシコでは、『早く~する』ということを『マルちゃん、する』というらしいぜ、アミーゴ。


入れるお湯の量から、待ち時間、フィルムのはがし位置まで、決められている。
スープにしたって、粉末はお湯を入れる前で、液体は『お召し上がり直前にお入れください』と細かく指図されている。
夜中に腹が減り、カップラーメンでも食べようかと思ってフタをあけると、これでもか、というくらい小袋がでてきて、いちいちチマチマ開けていると、なんだかシミジミ哀れな気持ちになってくる。
なにもこんなにしてまで、とも思いつつ、カップ横の小さな文字の説明書きを食い入るようにみる。
待ち時間は大抵、ラーメン、そば系が3分、うどん系が5分と相場が決まっているが、俺は、固めが好きなんだ、と、1分ばかり、早めに食べ初めてしまう。管理社会に対する、ささやかな抵抗である。
カップラーメンに比べると、袋麺の管理体制は緩い。袋の破り方だって自由だし、袋の中身は、粉末スープ、麺、以上、といったわかりやすさだ。
かつては袋麺の中にも、やれ、香りの小袋だ、こだわり醤油ベースだと、小賢しいものを入れていた一派もいたが、結局は淘汰された。
いまでは、『サッポロ一番(味噌)』の七味や、『出前一丁』のゴマラー油など、ごく一部の残党にその面影を残すのみとなっている。人類は正しい方向へ進化している。
現在、袋麺の調理方法には、麺をゆでたお湯の処遇をめぐって、二つの流派が存在する。湯きり派と湯きらず派だ。
湯きり方式は、脂分がとれ、あっさりと上品な味が売り物だが、薬味以外の野菜類を起用しずらい、という欠点がある。
一方、湯きらず方式は、キャベツやにんじんといった野菜類を煮込んだスープをそのまま使えるので、選択の幅が広がる。事実、ほとんどの袋麺メーカは、この方式を推奨している。
ただし、麺を揚げた際の油がそのままスープに混ざるため、多少の野暮ったさはいかんともしがたい。
また、この方式は、丼を使わず、鍋に直接箸を突っ込んで食べる、いわゆる『鍋喰い』の温床となっているとの指摘もあり、評価の分かれるところでもある。
一方、特定の袋麺においては『湯切らず』方式以外はありえない、というものも存在する。
マルちゃんの『カレーうどん』(甘口)がそれだ。
このカレーうどんは、麺を茹でる際に発生するトロミを考慮にいれて、粉末スープ内の片栗粉が調節されている。
そのため、湯きりをしてしまうと、変にあっさりとした、サラサラのカレーうどんになってしまう。
そういうのが、好きだ、という輩もいるかもしれないが、無視。
トロミのない、カレーうどんなんて、ブリーフをはいた『くまのプー』だ。
ピンとこない奴は、置いていくぞー。
また、マルちゃんのカレーうどんには、長ネギがよく合う。
麺を入れる際に、斜め切りした長ネギ一本分を同時に投入する。 ネギから出た甘みと、芯の部分のトロッとした食感がたまらない。
よく掻き混ぜたほうがうまい。
ビラビラと平たい麺にスープが絡む。すすりこむときに唇に感じるなんともいえない、摩擦感がいい。普通のカレーうどんにはない、愉しみだ。
一度、油で揚げているせいか、麺に甘みがある。カレーうどんを名乗りながら、ある意味、カレーうどんを超えた境地を感じさせる。
マルちゃんこと東洋水産の袋麺には、このように、個性的な実力者が多い。 マルちゃんの『天ぷらそば』も、そのひとつだ。
製品名の「天ぷら」は、同封されている、トッピングに由来するが、これが、どうみても「天かす」にしか見えない。
マルちゃんの『タヌキそば』にすべきじゃないか。
逆に同社のカップめんのヒット商品、『みどりのタヌキ』には、ちゃんとした天ぷらがのっている。キツネにつままれたみたいだ。
ネーミングはともかく、味は素敵。やはり、本物にはない、独特の縮れ麺と、香り高い、出汁の香り。 なぜ、この香りがカップ麺で出せないのか、不思議でしょうがない。
僕の中で、そばのポジションは:
うまい蕎麦屋>マルちゃんの天ぷらそば>立ち食いそば*1>どん兵衛>やまだうどん
の順になっている(*1 『小諸そば』を除く)。
ところで、このマルちゃん、メキシコでは85%ものシェアをもっていて、メキシコでは、『早く~する』ということを『マルちゃん、する』というらしいぜ、アミーゴ。

