<スマトラ沖大地震・インド洋大津波>タイ;津波被災者支援のための署名活動

被災コミュニティーの土地を奪い、リゾート開発を目論む投資家、地方行政の動きに対して、「NO!」と言いましょう!

世界観光倫理コードについて (参考資料)

2005年04月13日 18時11分33秒 | 御署名のお願いです!
 持続的な開発は、コミュニティ全体を巻き込んだ、政府、企業、個々人のパートナーシップに基づくアクションによって達成できます。例えば、環境や遺跡の保護は、各種の法規制の整備、政策改革、調査研究、革新、企業の社会貢献活動等を通じて実現されるものです。
1999年国連の持続可能な開発委員会は、観光業に対し、企業としての自発的な規制を求めました。これに対して観光業は、国際レベルでは世界観光機関の世界観光倫理コード、地域レベルではアジア太平洋経済協力会議(APEC)の持続可能な旅行に関する倫理コードを策定・遵守するという形で応えました。持続可能性に関する最適慣行(ベストプラクティス)を示することによって、各国、各地でこの最適慣行に向けて向上・改善するという取り組みが行われるようになる予定です。

○2001年9月~10月に日本と韓国の共同で開催された世界観光機構(WTO)の第14回総会において、
フランジアリ事務局長は、以下の点に言及しました。

・観光の発展による文化的社会的影響を調整する必要

 観光開発は文化に影響を与える。観光は全ての人民に恩恵を与え、文化交流を導く。自由化とグローバライゼーションは持続しなければならないが、自由化の名のもと、資源の過剰な利用が正当化されてはならない。地域の文化継承、雇用確保、児童搾取防止等のため、世界観光倫理コードは重要であり、このコードを世界中に知らしめなければならない。コードは題目にとどまらず、観光産業関係者が活用できるものでなければならない。

○WTOは観光倫理コードを7月に国連に提出し、ECOSOC(経済社会理事会)において採択されました。この観光倫理コードに関しては、法的拘束力を持つものではありませんが、世界において、観光産業への「倫理的取り組み」が必要であるという機運が高まっていることは確かです。

○WTOでは、観光倫理コードに関する世界委員会を組織し、2004年3月3日に、イタリアのローマにおいて、第一回目の会議、そして10月7日にスペインのマドリードで第2回会議を開催し、2005年5月16-17日には、チュニジアにおいて第三回会議を開催します。

以下に、観光倫理コードの和訳を掲載していますが、観光倫理コードにおいては、直接的に観光開発を目的とした地域住民の強制立ち退きもしくは、同意なき移住などに言及はしていません。
しかし、地域住民、周辺環境を尊重したエコツーリズムの推進、「第5条 ホスト国・コミュニティーに便益をもたらす観光」、「第9条 観光関連産業における労働者及び経営者の権利(この点は、サービス産業で働く女性達や津波後の観光産業関連従事者のリストラなどに関連していると思います)、などの箇所において、観光開発が地域住民との合意・参加の上で推進されるべきものであることが謳われています。
 世界観光倫理コードに関しては、WTOの会議において現在審議中であるため、未だはっきりとした輪郭があるとはいえませんが、今後のより良い観光の姿を考察する上で、1つの指標になると思えます。


<世界観光倫理コード和訳>出所;国土交通省http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanko/wto/2001/wto2001_10_.html

(原文)
http://www.tourism.lt/nsv/engl/Codigo_tico_Ing.pdf#search='global%20code%20of%20Ethics%20tourism'

第1条 人々や社会間の相互の理解と尊重に関する観光の貢献

人類に共通な倫理的価値観の理解と促進は、宗教的・哲学的・道徳的信念の多様性への寛容と敬意の姿勢と共に、責任ある観光の根本であり帰結である。観光開発関係者や旅行者自身は、社会や文化の伝統、少数民族や原住民を含めた全ての人々の習慣に目を向け、その価値を認識しなければならない。
観光活動は、訪問する地域や国の特質や伝統と調和し、またそこでの法律・風習・慣習などに配慮する中で行われなければならない。
観光地の地域社会とその地域の観光関連の事業者はお互いに連絡を密にし、来訪する旅行者を尊重し、彼らの生活様式、好み、期待等をよく研究しなければならない。事業者に対する教育と訓練はホスピタリティの向上に貢献する。
旅行者、訪問者並びに彼らの所持品を保護するのは公的機関の役割である。外国人観光客については、彼らの持ち得る脆弱性に鑑み、特に注意を払わなければならず、また彼らが必要とする情報、予防、安全、保険、援助等に関する方策を具体的に講じなければならない。観光客や観光関連産業従事者に対する如何なる襲撃、暴行、誘拐や脅迫及び、観光施設や文化・自然遺産の故意による破壊は、厳しく非難され、また該当する国内法規により罰せられなければならない。
観光客や訪問者は、訪問国において犯罪行為や、その国の法規によって犯罪と見なされる行動をとってはならず、また地元住民に不快或いは有害と思われる行為及び、環境を破壊する行為を慎まなければならない。すべての不法な薬物・武器・骨董品・保護動植物や物品・危険物、国内規則による禁止物の取引をしてはならない。
旅行者や訪問者は、訪問しようとしている国の特性を、出発前からよく心得ておく責任がある。日常の環境と異なる旅先での健康や安全に関する固有のリスクを認識し、それらリスクを最小限に抑えるよう行動しなければならない。

第2条 個人と集団の充足の手段としての観光

休養、リラクゼーション、スポーツ、文化や自然とのふれあい等の活動に最も関連した観光は、個人と集団の充足のための特別な手段として企画・実践されなければならない。十分に自由な発想で観光を行った場合、自己学習、相互の寛容性や、人々や文化の正しく捉えた差異や多様性について学ぶ、またとない要素となる。
観光活動においては、男女の平等が尊重されなければならず、また、人権、特に子供、高齢者、障害者、少数民族や原住民などの最も脆弱な人々の権利が啓発されなければならない。
あらゆる種類の人的搾取、特に児童の性的搾取は、観光の基本的目的に反し、観光を否定するものである。これらに対しては、国際法に照らして全ての国の協力を得ながら精力的に闘い、これらの行為が外国で行われた場合には、加害者を自国と訪問国の両国の法規により譲歩することなく罰するようにしなければならない。
宗教、健康、教育、文化及び語学の交流を目的とする旅行は観光の特に有益な形態であり、促進されなければならない。
観光交流の価値や社会・経済・文化的効果及びリスクについての、教育カリキュラムへの組み入れは促進されなければならない。

第3条 持続可能な発展の要素としての観光

全ての観光開発関係者は、現在と将来の両世代の要望や願望を公平に満たすべく、確固たる、継続的で持続可能な経済成長を達成する観点から、自然環境を保全しなければならない。
水やエネルギーといった稀少で貴重な資源の節約や、廃棄物のできる限りの削減に資するようなあらゆる種類の観光開発については、優先的に扱われ、国や地方自治体によって奨励されなければならない。
有給休暇や学校の長期休暇などに起因する、観光客や訪問者の動きの時間的・空間的ずれと、より平坦な休暇の配分は、観光活動の環境に対する負荷を緩和し、観光関連産業と地元経済への有益性を高めるために推進されなければならない。
観光インフラ整備と観光活動の計画は、様々な生態系や種の多様性などで構成される自然遺産を保護し、絶滅の危機に瀕した野生生物の保全する方向で行うべきである。観光開発関係者、特に事業者は、これらが特に傷つきやすい地域(砂漠・極・高山などの地域や海岸・熱帯雨林・湿地帯など、豊富に自然資源を生成する地域や保護地域)において行われる際には、自らの活動に制限や規制を賦課することに同意しなければならない。
自然観光やエコツーリズムは、それが自然遺産や地域住民を尊重し、その土地の許容範囲を守って行われた際には、観光の地位を高める上で特に有用であると考えられる。

第4条 人類の文化的遺産の利用者であり、またその高揚の貢献者である観光

観光資源は人類共通の遺産に属する。それらが存在する領土の地域社会は、それらに対し特別な権利と義務を負う。
観光の政策や活動の策定は、それを保護し将来の世代にも引き継ぐべき芸術的・考古学的・文化的遺産に配慮しながら行われなければならない。観光客の訪問に対して広く開放しなければならない記念物、寺社、博物館及び、考古学的、歴史的遺跡については、その保護と改修において特別な注意が払われなければならない。個人が所有する文化的財産や記念物については所有者の権利に配慮しながら、また宗教的な建築物については礼拝の必要性についての偏見を無くして、一般の見学を推進しなければならない。
文化的遺産や記念物への訪問により生じた財政的資源は、少なくとも一部につき、これらの遺産の維持管理、保護、発展及び装飾のために使われなければならない。
観光活動は、伝統的な文化的製品や工芸、民間伝承等が衰退し標準化してしまうのでなく、保存され繁栄するよう、計画されなければならない。

第5条 ホスト国・コミュニティーに便益をもたらす観光

地域住民は、観光活動と関わりを持つべきであり、そこから生まれる経済的・社会的・文化的恩恵、特に直接的・間接的な雇用の創出を平等に分け合わなければならない。
観光政策は、訪問先地域住民の生活水準の向上や、彼らの要望の満足に寄与するよう策定されなければならない。観光リゾート地や宿泊施設の計画、建築、運営においては、可能な限り地域経済や社会構成との一体化を目指さなければならない。技能が同じであれば、地元人材を優先するべきである。
海岸地域、島嶼地域、並びに脆弱な地方や山岳地域に特有な問題に対しては、観光が、伝統的経済活動が衰退する中でしばしば発展に向けた稀少な機会を生みだすことから、特に注意を払わなければならない。
公的機関の法規によって規制される観光関連の事業者、特に投資家達は、自らの開発計画が周辺の環境や自然にもたらす影響に関する研究を行わなければならない。彼らはまた、最大限の透明性と客観性を持って、将来の計画や予見可能な影響についての情報を提供し、その内容について関係する住民と率先して対話しなければならない。

第6条 観光開発における関係者の義務

観光関連の事業者は、観光客に対し訪問地や旅行の条件、歓待や宿泊についての客観的かつ正直な情報を提供する義務がある。彼らは、顧客に対して提供される契約条項が、提供することを約束するサービスの性格、価格、質について、また自らの側に瑕疵があった場合に支払われる経済的補償について容易に理解できるものにしなければならない。
観光関連の事業者は、自らの責任に拠る部分においては公的機関と協力しながら、顧客の保安と安全、事故防止、健康管理や食品の安全などについて配慮しなければならない。同様に、彼らは保険や援助についての適切な仕組みの存在を確保しなければならない。彼らは国の法規で規定された報告義務を受け入れ、契約上の義務に瑕疵があった場合は公正な補償を行わなければならない。
観光関連の事業者は、自らの責任に拠る部分においては、観光客の文化的、精神的な充足に貢献し、彼らが旅行の最中に宗教的行為を実践することを許容しなければならない。
出発国と受入国の公的機関は、関係する事業者やその関連組織と協力し、旅行を設定した企業が倒産した場合の観光客の帰国についての必要な仕組みを確保しなければならない。
各国政府は、特に危機発生時に自国民に対して、外国旅行における困難な状況、更には遭遇し得る危険についての情報を知らせる権利と義務がある。しかしながら、彼らは、このような受入国の観光関連産業や自国の事業者の利益について不正な或いは誇張された表現で、偏見を持った情報を流さないようにする責任も有する。従って、渡航情報の内容については受入国の公的機関や関連する事業者と事前に協議しなければならない。発出される勧告は、遭遇した状況の危険度に対して厳格に整合するものでなければならず、また危険が発生した地理的範囲に限定されなければならない。このような勧告は、正常状態への復帰が認められた場合には速やかに緩和或いは解除されななければならない。
報道関係者、特に旅行関係専門の報道関係者や、電子通信手段を使用した近代的なメディアは、観光客の動きに影響を与える出来事や情況について、公正で均衡のとれた情報を提供しなければならない。彼らはまた、観光サービスの消費者に対して正確で信頼できる情報を提供しなければならない。この目的のために、新たな通信と電子商取引に関する技術も開発され活用されるべきである。メディアの場合と同様に、これらはどのような場合にもセックスツーリズムを助長してはならない。

第7条 観光に関する権利

地球上の観光資源の発見や楽しみを直接的・個人的に手に入れることへの期待は、世界中の全ての者に平等に開かれた権利である。国内外の観光客数の大幅な増加は、自由時間の持続的な増長を最も如実に表わしており、そこに妨げがあってはなければならない。
観光に関する普遍的な権利は、「世界人権宣言」第24条及び「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」の第7条(d)によって保証される、休息、余暇、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇に関する権利の当然な結果である。
余暇、旅行及び休暇によりよく活用することを容易にするソーシャルツーリズム、特に連帯的な観光は、公的機関の支援を得て開発されななければならない。
家族、青年、学生、高齢者及び障害者による観光は、より奨励し、促進されなければならない。

第8条 観光による移動の自由

観光客は、「世界人権宣言」の第13条に則り、国内外の法規に従って、国内外を自由に移動できる権利を有するべきである。彼らが、経由地、宿泊地及び観光地や文化的施設に、過度の手続や差別に阻まれることなく、到達できるようにしなければならない。
観光客や訪問者においては、国内外のあらゆる通信手段についての利用が確保されななければならない。彼らが、地元行政機関や法律、健康などのサービスを迅速かつ容易に利用できるようにしなければならない。また彼らが、発効されている外交協定に従い、出身国の領事に自由に接触できるようにしなければならない。
観光客や訪問者は、彼らの個人的なデータの秘匿権につき、殊にそれが電子的に記録されている場合において、訪問国の国民と同等に扱われなければならない。
査証や検疫・税関書類などの、国境を越える際の行政手続は、それが各国の権限に帰属するもの或いは国際条約の結果であったとしても、可能な限り旅行の自由や国際観光の広範な広がりを最大限にもたらすよう、適合させなければならない。これらの手続を多国間で調和させ、簡素化するための合意は奨励されなければならない。観光関連産業を不利にし、競争力を削ぐような課税などは徐々に無くすか、改善されなければならない。
出身国の経済状況が許せば、旅行者が旅行に必要な通貨への両替ができるようにしなければならない。

第9条 観光関連産業における労働者及び経営者の権利

観光関連産業の労働者や経営者は、その活動の季節性、当該産業の地球的な規模、並びに当該産業の性質からしばしば求められる柔軟性といった特別な制約に鑑み、出身国及び受入国の国家又は地方の行政組織により、基本的権利を特別な注意をもって保証されなければならない。
観光関連産業の労働者や経営者は、適切な初期及び継続的訓練を受ける権利と義務を有する。彼らには適切な社会的保護が与えられ、雇用の不安定性は可能な限り抑制されなければならず、当該産業の季節的労働者には、社会福祉に特に配慮した特別な地位が与えられなければならない。
どのような個人や法人も、必要な能力や技能がある場合は、現行の国内法規のもとで、観光分野に関する事業活動を展開する権利を与えられなければならない。特に中小企業の領域においては、起業家や投資家が、最小限の法的・行政的規制のみの適用をもって、観光分野に対し自由に参入できるようにしなければならない。
異なる国々の経営者や労働者の経験に関する情報交換は、彼らが給与を受けているいないにかかわらず、世界の観光関連産業の発展に寄与する。これらの動きは、適用される国内法規や国際協定に従いながら、可能な限り推進されなければならない。
国際交流の発展や活発な成長におけるかけ替えのない結束の要素としての、観光関連産業の多国籍企業は、それが時折手に入れる支配的な地位を悪用してはなければならない。彼らは、受入側の地域社会に文化的・社会的モデルを人工的に押し付ける原動力となってはなければならない。彼らが投資や貿易を行う自由を持つことは十分理解されるべきであるが、むしろ、利益や誘発的輸入の過度の吸上げによる、当該企業設立地の経済への貢献の縮小を避け、地域の開発に関わらなければならない。
出発国と訪問国の企業間の提携や釣り合いの取れた関係の構築は、観光の持続可能な開発と、彼らの成長において生じる利益の公平は分配に寄与する。

第10条 世界観光倫理コードの各条項の実施

官民の観光開発関係者は、本コードの各条項の実施に協力し、有効に適用されるよう監視しなければならない。
観光開発関係者は、国際法の原則に十分配慮しながら、世界観光機関を筆頭とする国際機関や、観光の開発や促進、人権の擁護、環境或いは保健を専門とする非政府組織の役割を認識しなければならない。
観光開発関係者は、世界観光倫理コードの適用や解釈において発生したあらゆる紛争について、第三者機関である「世界観光倫理委員会(World Committee on Tourism Ethics)」に調停を依頼しなければならない。



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