「トイレはどこですか?」 だった。
ニューヨーク・ロングアイランドのルーズベルト飛行場を飛び立ったのは、33時間29分30秒前の5月21日22時21分(到着時の現地時刻)、5,810kmを単独で飛行してきたのである。
多量の燃料を積むために操縦席の前方に燃料タンクを設置したので座席からは直接前方が見えないという条件下で、強い睡魔に襲われながらも操縦を続けたのである。
着陸後にまず口に出た言葉としては納得のいくものであるが、空港に押し寄せた観客が期待する言葉ではなかった。
幸い近くにいた人達には英語が理解されなかったので、続けて問いかけた。
「誰か英語を話せる人はいませんか?」 そして英語を話せる人に
「ここはパリですか?」 と尋ねたのである。
エッ、目的地を確認して着陸したのではなかったのか。
これでは後世に残る物語にはならない。
仕方がない、少し時間を戻そう。
ルーズベルト飛行場を飛び立ってからもう30時間以上経っただろうか。
睡魔を克服したリンドバークが操縦席から顔を出して前方を見るとボヤッとした灯りらしきものが見えてきた。
更に飛行を続けると、明らかに地上の灯りだと確信した。
その時リンドバーグは愛機スピリット・オブ・セントルイス号に向けてこう叫んだのだ。
「翼よ! あれがパリの灯だ」
この物語はウィキペディア「チャールズ・リンドバーグ」の「大西洋単独無着陸飛行」の項を参考にしたフィクションです。
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