日本は空母打撃群を創設するのか?

先日、日本の海上自衛隊は、護衛艦「しらぬい」(DD-120)を配備した。
「しらぬい」は最新の対潜用艦船で、エネルギー消費を小さく抑え、低騒音で航行するために、
特別に設計された複合エネルギー設備を有している。
また「しらぬい」には、特殊対潜ミサイル「RUM-139VL-ASROC」と、日本で
開発・製造された「タイプ07VL-ASROC」が搭載されている。この種の艦船は、
潜水艦を追跡し、こっそり近づいて魚雷や対潜ミサイルで攻撃することが可能だ。
興味深いことに、過去20年間に製造された海上自衛隊の最新の一連の艦船は、2隻の艦船、
又は4隻の艦船から構成されている。
「あたご型護衛艦」はイージス・システムを搭載した対空防衛艦2隻で、ネームシップは
2004年に建造開始された。
「あきずき型護衛艦」は対空防衛艦4隻から成り、ネームシップは2009年に建造開始された。
「あさひ型護衛艦」は対潜艦2隻で、ネームシップは2015年に建造開始された。
「まや型護衛艦」はイージス・システムを搭載した対空防衛艦2隻で、ネームシップは
2017年に建造開始された。
全部で10の艦船が建造されており、最新の「まや型護衛艦」をのぞく護衛艦は、すでに艦隊に
加わっている。このような一連の新しい艦船は、偶然に建造されたわけではない。
この背景にあるのは、おそらくは、空母打撃群の創設と関係する、ある計画があると考えられる。
実は、海上自衛隊はいずも型の空母をすでに2隻保有している(ネームシップは2012年に
建造開始)。これらの艦船はヘリコプター搭載型空母であるが、それだけでなく、垂直離着陸が
可能な米軍のF-35B戦闘機の離発着基地にもなる。2018年11月、岩屋毅防衛大臣は、
日本がF-35Bの取得を見込み、F-35Bを離発着させるため、「いずも」の改造を
検討していると発表した。
航空母艦は、いかなるときも駆逐艦なしでは航行しない。例えば、米国の空母打撃群には
空母以外に、対空防衛艦隊としてイージス・システム搭載のミサイル巡洋艦が1~2隻、
対潜水艦防衛艦隊として駆逐艦3〜4隻、対潜水艦用艦隊として1〜2隻の原子力潜水艦、
さらに補給艦隊によって構成されている。このように、空母護衛艦隊は、敵の爆撃機や艦船、
潜水艦の攻撃から空母を防衛する。
上記で紹介した海上自衛隊の一連の最新護衛艦の構成は、護衛艦隊による空母の防衛を
可能にする。その場合、イージス・システム搭載の対空防衛艦船1~2隻と対空防衛艦船2隻、
対潜水艦用艦船1隻で構成される。潜水艦部隊は、そうりゅう型で構成されるかもしれない。
そうりゅう型は合計で11隻建造されており、うち2隻は、最新の強力なリチウムイオン
バッテリーを装備している。
海上自衛隊の空母のオペレーション範囲はまだ不明だが、燃料補給用タンカーの護衛が通常の
任務に含まれているため、実質的には無制限と見なすことができる。しかし、日本の全ての
仮想敵国は太平洋の西部地域(中国、北朝鮮)に位置しているため、日本の空母打撃群は、
南シナ海と東シナ海、日本海、オホーツク海の海域での作戦に備える可能性が高い。
最大で28機のF-35B戦闘機を擁する可能性がある2つの空母群は、本質的な軍事力であり、
太平洋地域における軍事力の配置図を大きく変えることになる。
日本で空母打撃群の創設計画の存在が発表されなかったとしても、この計画の技術的可能性は、
護衛艦「しらぬい」が艦隊の構成に加わったということですでに存在する。
そのような打撃群の編成は、必要な際に、指示を下すだけで十分であろう。
ドミトリー ヴェルホトゥロフ
1981年、クラスノヤルスク地方、アチンスク出身。2002年、クラスノヤルスク国立教育大学史学部卒業後、現代アフガニスタン調査センターに就職。フリーランスで様々な通信社に記事を書いている。ソ連邦、第2次世界大戦の歴史について13冊を執筆。2008年からは北東アジア安全保障問題研究を開始。アジアの経済発展、特に産業、エネルギー、安全保障、軍事分析、軍事政治関係が専門分野。