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ソフトバンクはスプリント分離を急げ 不振の米通信子会社を手放してキャッシュを確保すべきだ

2017-06-29 04:08:26 | 産業・企業情報

ソフトバンクはスプリント分離を急げ

不振の米通信子会社を手放してキャッシュを確保すべきだ

2017 年 6 月 28 日 09:05 JST   THE WALL STREET JOURNAL

 

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 日本のテクノロジー大手 ソフトバンク は、金の卵を産み、借金という餌を食べるガチョウだ。少なくとも、同社を創業し

た孫正義社長は先月そう語った。


 だがガチョウが卵を産み続けるつもりなら、まず必要なのは米通信会社スプリントへの投資が引き起こした消化不良を

治すことだ。


 多額の借金を抱えたスプリントは、ソフトバンクが83%保有している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、スプ

リントがチャーター・コミュニケーションズおよびコムキャストとの独占交渉に入ったと伝えた。結果としてどのような種類

の案件になるのかは不明だ。両社はスプリントへの出資の見返りに、有利な条件で同社のネットワークに無線サービス

を提供しようとしているのかもしれない。ありそうにないが、共同でスプリント買収を目指す可能性もある。

 

 これらの交渉は、スプリントとTモバイルの合併という選択肢が消えたことを意味するわけではない。スプリントはTモバ

イルとの合併を目指していたが、監督当局が阻止するシグナルを発したため、2014年に計画を棚上げした。だがその

後ドナルド・トランプ氏が大統領に就任したことを受け、米国は以前より合併案を受け入れやすくなったとの期待を孫氏

は表明してきた。スプリントはチャーター、 コムキャスト との現在の協議を、将来Tモバイルと交渉することになった際に

活用できるかもしれない。


 結果がどうあれ、ソフトバンクにとっては他の卵を温めるためのキャッシュを解き放つため、スプリントを分離することが

重要だ。スプリントはこの1年でちょっとした回復を遂げたが、米業界の2強である AT&T 、ベライゾンとの戦いは依然

として厳しい。ソフトバンクが13年に過半数株を取得して以来、スプリントは赤字であり、純債務は326億ドルと、

EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)の3倍に上る。

ソフトバンクは目下、サウジアラビア、アップル、クアルコムなどが投資家として名を連ねる世界最大(930億ドル規模)

のテクノロジーファンド「ビジョン・ファンド」で手一杯だ。ソフトバンク自体は280億ドルの出資を約束しているが、ファンド

の構造が通常と違うため、株式の約半分を保有する予定。また、一定基準を超えた利益の約20%を受け取ることに

なっている。そのため、ビジョン・ファンドが成功すれば、ソフトバンクへの貢献は不振のスプリングよりずっと大きくなりそ

うだ。


 孫氏は「『ソフトバンク・ビジョン・ファンド』というガチョウがこれからさらに羽ばたいていく。その辺の庭をちょろちょろし

ているだけでは物足りない」と考えている。スプリントという重荷がなければ、ずっと楽に羽ばたけそうだ。

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孫社長の「金の卵産むガチョウ」半年で10兆円調達-ビジョンファンド

2017年5月22日 14:08 JST  Bloomberg

 ソフトバンクグループが最先端のテクノロジー企業などに投資する「ビジョンファンド」を発足させた。多額の融資を

てこに企業買収を繰り返し、同社を大きく成長させてきた孫正義社長の目利き力が、約半年で10兆円もの巨額資金を

集めることに成功した。

 

  孫社長がビジョンファンドの創設構想を発表したのは2016年10月中旬。それから約7カ月で中東2カ国の政府系

ファンド(SWF)のほか、米アップル、クアルコム、台湾のフォックスコンなどから930億ドル(約10兆3700億円)を集め

た。今後6カ月で1000億ドルまで上積みする計画だ。

 

ソフトバンクの孫正義社長が20日にビジョンファンドを発足

 

  ソフトバンクの孫正義社長は、発足に際して「情報革命の次の段階の基盤となり得るプラットホームを実現する事業

を立ち上げ、または成長する手助けができると信じている」とコメントした。ビジョンファンドの資金量は、ヘッジファンドな

らシルバーレイク4つ分、セコイアキャピタル14個分に相当する。

 

  ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真最高経営責任者(CEO)は「過去の投資実績で明らかなように孫社長の

目利き力は非常に優れている」と指摘。これほど短期間で資金が集まったのは、巨万の富を握る世界のビッグネームが

「今後にも期待できる」との認識を持つことができたからだという。


金の卵産むガチョウ

   孫社長は10日の決算会見で「今後、ソフトバンクの100億円以上の新規投資は原則ビジョンファンド経由になる 」と

述べ、企業買収戦略に同ファンドを活用していく考えを示した。また今後は「大きな投資のために借金を増やすというこ

とにはならない」と説明した。

 

  孫社長はソフトバンクを金の卵を産むガチョウに例えてこう説明する。卵の数(投資先の事業価値)は増えてい

るーー。「今からネット業界のゴールドラッシュが始まる。やるなら今だ」「投資を通じて自分のやりたいことを実現するた

め、新たな枠組みを作った。われわれのノウハウとビジョンに投資してもらう」と述べた。

 

  ソフトバンクは2000年に中国の電子商取引最大手、アリババに2000万ドル(約20億円)を出資したが、今や4500

倍、900億ドル(約10兆円)に膨らんでいる。17年3月期決算は国内通信事業の好調やアリババ株の一部売却益など

も寄与し1兆4263億円の過去最高益を記録した。5月の純有利子負債は約8兆円に上る。

 

  ビジョンファンドの投資戦略は、次世代イノベーションの実現を目指す企業などへの大規模かつ長期的な投資が

基本。上場・非上場などは問わない。あらゆる物とインターネットをつなぐ「IoT」や、人工知能(AI)など情報技術(IT)

関連だけでなく、金融テクノロジー関連企業などにも投資する。


巨額資金の行方

   関係者によれば、ビジョンファンドには、サウジのSWFが最大450億ドルを出資する意向を表明しているほか、アブ

ダビのSWFは最大150億ドルの出資を計画。シャープは10億ドルを投資することを決めている。ソフトバンクは最大

280億ドルを出資する計画だ。

 

  ミョウジョウ・アセットの菊池氏は、ビジョンファンドの考え方について「1社の自己資金に限界がある中で他者の資金

を取り込んで支配権まで取れる新しいビジネスモデル。非常に期待している」と評価する。

 

  一方で、シカゴ大学ブース経営大学院のスティーブン・カプラン教授はプライベートエクイティー(PE)投資からのリ

ターンは過去数年急減しているとし、「1000億ドルと聞いてギョッとした」と驚く。「すでに資金が余っているところにさら

に資金をつぎ込むなんて意味がない」と指摘している。