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日中アフリカ支援合戦で、軍配が上がるのはどっちだ?

2018-10-21 01:59:29 | 外交・海外支援

日中アフリカ支援合戦で、軍配が上がるのはどっちだ?

2018年10月18日(木)18時00分  Newsweek 
トリディベシュ・シン・マイニ(インド・ジンダル・グローバル大学助教)
 
 

日本政府はアジアとアフリカの連結に意欲を燃やしている(8月にナイロビで開催されたTICADのサイドイベントでスピーチする安倍首相)


<過剰債務を懸念し、中国との違いをアピール――控えめに実績を積む日本に存在感あり>

 

10月6~7日、東京でアフリカ開発会議(TICAD)閣僚会合が開かれた。来年8月に横浜で開催される7回目の

首脳会合、TICAD7に向けて討議を行うためだ。

 

TICADは日本政府が主導し、国連、国連開発計画、世界銀行およびアフリカ連合委員会と共同で93年から

開催されている。アフリカへの関心の喚起を目的とする国際会議で、開始以来、アフリカ開発に中心的役割を

果たしてきた。

 

日本は08~13年にアフリカで小中学校1321校を建設し、4778の医療施設を改善し、1079万人に安全な

飲料水へのアクセスを提供。16年にケニアで開催された前回のTICADでは、向こう3年間にインフラや

医療分野に総額300億ドル規模の投資を行うと、安倍晋三首相が表明した。

 

中国にしてみれば、先般の閣僚会合はさまざまな意味で気になる。最も注目すべきは、日本はアフリカ諸国の

債務レベルへの懸念から融資に慎重になっていると、河野太郎外相が言明したことだ。

インフラ開発のためにアフリカに過剰な融資をする中国よりも、日本のほうが思いやりがあるとの含みがある。

 

河野は中国との違いを印象付けるかのように、日本はアフリカのインフラ開発支援に当たって、地元住民への

経済的恩恵や設備の維持・管理手法の伝授を重視しているとも発言。さらに、医療や防災分野での支援に

前向きだと繰り返した。


悪いイメージがないから

問われているのは経済関係だけではない。日本はアフリカとアジアを結び付け、前回のTICADで安倍が

打ち出した「自由で開かれたインド太平洋戦略」にアフリカを取り込む未来像を描いている。

実現のため、インド政府と推進する「アジア・アフリカ成長回廊」構想では、両地域の連結性向上や経済成長の

促進を目標としている。

 

一方、北京では9月3~4日に中国・アフリカ協力フォーラムが開催され、習近平(シー・チンピン)国家主席が

総額600億ドルのアフリカ金融支援を表明。対中懐疑論を解消すべく、「一帯一路」経済圏構想はウィンウィンを

目指すもので、アフリカ諸国の内政に干渉する意図はないと強調した。

 

日本には払拭すべき悪いイメージがない。国際協力機構(JICA)はアフリカで数多くの重要なインフラ事業を

支援しているが、やり方は控えめだ。ウガンダで送電網、タンザニアやザンビア、モロッコで鉄道・高速道路の

建設を支援し、昨年にはケニア政府と、モンバサ港周辺のインフラ整備のため、最大124億6600万円の

円借款貸付契約を結んだ。

 
日本企業にとって有望な進出先
 
アフリカは日本企業にとっても有望な進出先だ。同地で操業中の日本企業は昨年時点で795社。自動車需要の
 
高まりを受けて、日産やトヨタは製造設備や販売網の拡張を始めた。

 

アフリカ進出をめぐって、中国が日本との競争に直面するのは明らかだ。日本は多額の金融支援を行ってきた

ばかりでなく、超一流のインフラ設備を建設してきた実績があり、しかもそれを誇示しない。アフリカでの

中国の存在感拡大をアメリカがほぼ傍観している現状を考えれば、日本が果たしている役割の意義は以前に

増して大きい。

 

日本にとって重要なのは、アフリカを見据えた戦略実現のために他国、特にインドと手を携えることだ。

全方向に目配りした方針を貫き、アフリカの経済的・政治的課題に率直に物を言う日本の姿勢は尊敬に値する。

日本とアフリカの関係こそがウィンウィンになるはずだ。

<Newsweek 2018年10月23日号掲載>

大手自動車の新たな製造拠点:北アフリカ 。中東とアフリカの走行台数、2040年に9000万台に急増するとの見方も